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貸金業界で、経営の行き詰まりが相次ぐ。商工ローンの「ロプロ」(旧日栄、本社・大阪市)が2日、会社更生手続きの開始を申請。2月のSFCG(旧商工ファンド)に続いて破綻(はたん)した。融資先に返すべき多額の「過払い利息」を抱えたままで、今後どの程度弁済できるかが、焦点になる。
ロプロの6月末の負債総額は218億円。これとは別に、利息制限法で定められた率以上で貸していたため弁済が必要な「過払い利息」に絡む債務が推計4万件、2500億円あるという。
2月に監査役から社長に就いていた公認会計士の前田正宏氏は責任をとって辞任。家田孝常務が後任に就き、裁判所の監督下で再建を図る。2日に東京で記者会見した家田氏は「過払い利息の返還請求と資金流出が止まらず、事業継続は難しいと考えた」と述べた。
更生計画を決める債権者集会には、利息を払い過ぎていた借り手も債権者として参加できる。ただ、最終的に過払い利息がどの程度弁済されるかは、ロプロの財産内容や支援企業が見つかるかどうかに左右される。上場の消費者金融として初めて破綻したクレディアの民事再生では、一般の弁済率は40%だったが、30万円までは全額弁済された。
ロプロは70年に日栄として設立。78年創業の商工ファンドとともに中小・零細企業向けローンを開拓し、ピーク時は売上高にあたる連結営業収益が1520億円を超えた。
だが、99年に「家売れ、腎臓売れ、目ん玉1個売れ」と返済を迫る暴力的な取り立てが社会問題化。創業者の松田一男氏(87)は00年に社長を退任し、息子の龍一氏(56)が後を継いだ。02年には社名も変え、リストラを急いだが、06年の最高裁判決で過払い利息の返還が急増。09年3月期の営業収益は46億円に減り、4年連続の純損失を計上した。創業家の持ち株比率は今も3分の1を超える。
更生法の申し立て代理人の小畑英一弁護士は2日、創業家ら旧経営陣の法的責任も追及する方針を示した。ただ、家田社長は、破産手続きに追い込まれたSFCGとの違いを強調する。SFCGは破綻直前まで資産流出や貸し出し債権の二重譲渡などの不正行為が横行したとされ、それも一因になって東京地裁に再生の見込みがなくなったと判断された。
SFCG破産管財人代理でもある小畑弁護士は、ロプロの法令順守体制は「SFCGとは天と地ほどの違いがある」と述べ、再生に望みをつないでいる。
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貸金業界の市場は前年比20%程度のペースで縮み、破綻が相次いでいる。過払い利息の返還と規制強化、金融危機後の資金調達難の「三重苦」とされており、業界では、来年6月までに予定されている改正貸金業法の完全施行の見直しを求める声が出ている。
改正貸金業法は「多重債務問題の解決」を目指して06年に成立。完全施行されると、上限金利が年率20%以下に引き下げられ、総借入額を年収の3分の1以下に抑える「総量規制」も始まる。
ロプロの家田社長は会見で「(改正法による規制強化が)従来のビジネスモデルでは重しになっていたのは事実」と発言。業界は、規制強化の副作用として「貸し渋りを招く」「違法な高金利で貸すヤミ金融の被害が拡大する」と主張している。
法律では完全施行前の見直し規定があり、金融庁は今月中に検討を始める。借り手が個人事業者の場合に上限金利の規制を緩めるかどうかや、不況下での施行の是非が議題になりそうだ。
しかし、多重債務問題に取り組む団体や弁護士らは、個人事業者向け融資は、適正なものなら総量規制の対象外とされるなど十分に配慮されていると指摘。亀井静香金融相も9月の就任直後に、「今のところ(完全施行を)変更する考えはない。中小零細企業や仕事をしている人が普通の金利で借りられるよう、金融が機能していかないといけない」と述べている。
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■貸金業界をめぐる動き
06年1月 過払い利息返還請求急増のきっかけになった最高裁判決
12月 改正貸金業法成立、10年6月までに完全施行予定
07年9月 中堅のクレディアが上場している消費者金融として初めて経営破綻
08年9月 リーマン・ショック
09年2月 SFCGが経営破綻
9月 アイフルが私的整理入り
11月 ロプロが経営破綻
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