先週、消費者庁が「こんにゃくゼリーの大きさを1センチ以内にする」という安全性の目安を発表したことは既に周知の通りだが、またもやネット上では批判の声が続出している。
こんにゃくゼリー問題に関してはこれまでにも何度も述べてきたので、書いている私自身もいい加減に食傷気味になってきたが、相変わらず、この問題は迷走し続けているようなので、懲りずに問題追及してみたいと思う。
まず、「1センチ以内にする」というような指標が出てきたということは、“幼児や老人が食べることが前提になっている”ということである。しかし、以前の記事でも述べた通り、こんにゃくゼリーを食べて死亡したのは乳幼児と高齢者だけであり、これまでに10歳以上60歳以下で死亡した人は誰もいない。(正確に言えば、8歳以上67歳以下で41歳に1人だけいる)
(参考サイト)国民生活センター
それなら、わざわざ幼児や老人が食べることを前提に基準を設けるのではなく、いっそのこと、「こんにゃくゼリーは10歳以下、60歳以上は食べてはいけない」と決めてしまえば済むことであり、それで問題は完全に解決すると思う。
早い話、タバコやアルコールと同じように、こんにゃくゼリーにも年齢制限を設ければいいのである。それなら、もし幼児や老人がこんにゃくゼリーを食べて事故が発生した場合にも、法律上、自己責任が適用されることになるので、現在のような訴訟問題で迷走することも無くなるだろう。
未成年者が法律で禁じられたタバコを吸って、「身長が伸びなくなったのはタバコのせいだ!」とか「JTのせいだ!」と言っても通用しないし、法律で禁じられたアルコールを飲んで「急性アルコール中毒になったのはビールのせいだ!」とか「○○○ビールのせいだ!」と言っても通用しない。
ここでこう言う人がいるかもしれない。
「そんな法律を作ってしまえば、こんにゃくゼリーを食べたいと思っている子供や老人は食べることができないではないか!」と。
その通り。確かにこんな法律を作ること自体が馬鹿げていると思う。しかし、そんな法律でも作らない限り、問題が解決できない社会の方がはるかに馬鹿げているということである。「毒を以て毒を制す」という諺もある通り、「無茶な法律を以て無茶な苦情を制す」しか方法が見当たらないのであれば、そのような無茶な法律の制定も止むを得ないと思う。
現在、消費者庁で検討されているのは、こんにゃくゼリーの形状のみであり、窒息事故の可能性が有る乳幼児や高齢者までの全年齢者を対象とした対策を練っているがために、いつまで経ってもまともな対策が聞こえてこない。待ちに待って出てきた対応策というのが「こんにゃくゼリーの大きさを1センチ以内にする」というのだがら、呆れてしまう。
しかしこの問題は、こんにゃくゼリーという食品だけに限られた問題ではなく、マンナンライフという企業だけの問題でもない。食品製造メーカー全体の問題であり、もっと言えば日本国民全体に関わる問題である。
食品を製造しているメーカーにとっては、多かれ少なかれ、食品が喉に詰まって窒息するというリスクは付き物であるため、そういった事故が起こる度に企業バッシングが起こり、訴訟問題に発展していては、安心して食品の開発ができなくなってしまう。食品を1センチにするとか、10センチ以上にしなければならないというような法律などができてしまえば、食文化自体が成り立たなくなる可能性もある。
「食品の大きさを1センチにしなければならない」というような法律は、車の世界で言えば「時速30km以上スピードの出る車を製造してはいけない」と言っているのと、ほとんど同じようなものだとも言える。いくら事故のリスクがあるとはいえ、そのような無茶な法律が出来上がると、日本の経済自体が無茶苦茶になってしまう。同じように、食品製造メーカーが訴訟を恐れて、新商品のまともな開発ができなくなってしまえば、当然のことながら、日本経済にも重大なダメージを与えてしまうことになるだろう。
加えて、食品製造メーカーに対して訴えを起こした側が勝訴するような事態になれば、さらに恐ろしい社会が出来上がることになる。現代では乳幼児に対する虐待も大きな社会問題となっているが、食品を利用して虐待することで、賠償金を得ようとする不届き者が出てくるだろうことは想像に難くない。そういった無茶苦茶な社会にしないためにも、この問題はもっと深く広く考えて解答を導き出さなければならない。こんにゃくゼリーに年齢制限を設けるのも1つの(後ろ向きな)手段ではあるが、できればもっと冷静で前向きな解決策を模索することを期待したい。
記事
- 2010年12月26日 16:26