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【社説】

習主席来日へ 関係改善確かなものに

 中国の習近平国家主席が六月に大阪で開かれる二十カ国・地域(G20)首脳会議への出席を明言した。長い冬の時代を乗り越え、改善軌道に乗った日中関係を確かなものにする好機としてほしい。

 習主席は、新天皇陛下の即位にあたり日本側に祝電を送り「中日両国は一衣帯水の関係で友好往来の歴史は長い。手を携えて努力し共に平和発展を促進し、両国関係のすばらしい未来を開くべきだ」と述べた。

 二〇一二年の尖閣諸島問題をきっかけに、日中関係は極度に冷え込んだ。中国は「関係悪化の責任は日本にある」と一方的に非難してきたが、習氏が「手を携えて」との表現で、双方が未来志向で関係発展に努力する姿勢を示したことは歓迎できる。

 安倍晋三首相は七日、東京での程永華駐日大使の送別パーティーで、習氏の来日に期待を表明し「日中新時代を手を携えて築いていきたい」と同じ表現で応じた。

 四月の日中外相会談では、改善が進む日中関係を安定的に発展させることで一致。G20出席は習氏が一三年に国家主席になって初めての来日となる。中国主席の公式訪日は〇八年の胡錦濤氏が最後。日本政府はG20後の習氏の公式訪日も要請している。

 中国高官は最近、訪中した国会議員団に、安倍首相が意欲を示した日朝首脳会談の実現に向け、協力する考えも示したという。日中関係だけでなく東アジアの安定でも共に努力する前向きな姿勢の表れであると受け止めたい。

 米中貿易摩擦の激化を背景に、中国が周辺外交の一環として対日接近を図った側面は否定はできない。とはいえ、対話できる環境が整ってこそ、歴史認識や領土主権など長年の懸案解決に踏み込む道筋も見えてくる。

 国民の側に目を移せば、「言論NPO」の昨年秋の調査では、日中関係の重要性について双方とも七割以上が「重要」と答えた。気がかりなのは相手国への関心の差である。日本に「行きたい」という中国人は四割超だが、日本人は三割弱。逆に、日本人の約七割が「行きたくない」と答えた。

 歴史的に、政治の風向きが悪くなっても、地道な民間交流が日中関係を下支えしてきた。引っ越すことのできない隣国であるだけに、特に、若者には等身大の相手を自分で見てみようとする意欲を持ってほしい。それこそが、本当の相互理解の基礎になろう。

 

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