日本工営が開発・製造した「らせん水車」が、岩手県一関市にある農業用水路を活用した小水力発電所「八幡沢発電所」に採用された。国産らせん水車が商用として日本国内で導入された初の事例になるという。4月10日に運転を開始した。
らせん水車は、低落差で発電でき、枯葉や刈草などのゴミが詰まりにくい特徴から、農業用水路を活用した小水力発電所に向くとされる。今回、八幡沢発電所に採用されたらせん水車は、直径2.0×長さ9.6mで、最大落差は2.51mになる。
使用水量は最大1.346m3/s(常時0.642m3/s)、発電出力は最大19.9kW(常時9.3kW)。年間発電量は11万2759kWhを見込む。発電した電力は東北電力に全量を売電し、建設コストを回収した後、農業水利施設の維持管理に充て農業者の負担を軽減する計画。
施工は平野組(岩手県一関市)で、日本工営は水力発電設備の製造・据付け・電気工事・試験を担当した。事業主体である照井土地改良区は、らせん水車の特徴に早くから着目し、小規模発電所に海外製らせん水車を導入しており、今回が2例目となる。
日本工営は、鹿児島県薩摩川内市の小鷹井堰地点において、2015年6月~2016年6月にらせん水車(出力30kW)の実証実験を実施した。2016年7月~2017年6月には商用らせん水車製造を目的とした模型実験などの研究開発を行い、2017年7月から販売を開始している。