オーバーロード ~経済戦争ルート~   作:日ノ川
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前話から少し飛ばして数日後、エ・ランテルに視察団が付いた後の話


第94話 王女誘拐事件

 エ・ランテルの貴賓館。

 王族や大貴族を迎える時のみ使用されるその建物は都市長であるパナソレイの邸宅を初めとした、エ・ランテル全ての建物の中で最も立派な造りをしている。

 王都から派遣された視察団の中でも、貴賓館は王族であるバルブロとラナー、そして少数の護衛のみが滞在していた。

 視察自体は順調に進み、目的の一つでもある冒険者組合への視察、その当日の朝、事件は起こった。

 

「どうだった!?」

 蒼の薔薇のリーダー、ラキュースが自分の持ち回りの場所を捜索後、合流した双子に詰め寄る。

 返答を聞く前から、彼女たちの暗い表情で答えは分かった。

 

「いない。潜入の形跡もなかった」

「こっちも。イビルアイも魔法の痕跡は見当たらないって」

 報告を聞きながらラキュースは必死に冷静さを保とうとする。

 こう言う時こそ、冷静にならなくてはならないのは冒険者の鉄則だ。

 

「どこに行ったの。ラナー」

 彼女たち蒼の薔薇の護衛対象であり、ラキュースの親友でもある王国第三王女ラナーが、貴賓館の一室から忽然と姿を消したのだ。

 貴賓館は王家の者たちを迎える建物だけあって、堅牢な造りとなっている。それは物理的なものばかりではなく、魔法的な防衛力も同様であり、更に彼女たち蒼の薔薇が常に近くで警護をしていたというのに、朝護衛を交代したラキュースが彼女の寝室として使用していた部屋を確認すると、ラナーの姿は消えていた。

 室内は荒らされた形跡もなく、夜間扉の前で警護していたティナにも気付かれることなく、何者かがラナーを連れ去ったのだ。

 

「やっぱり八本指の仕業かな」

 

「法国の可能性もあるわ。ラナーの確保も奴らにとっては重要な任務のはずだから」

 そう。今ラキュースが自分で口にしたように、貴族派閥の結束を高める意味で、ラナーの身柄を確保することはバルブロにとって重要だと分かっていたはずだ。

 だが自分たち蒼の薔薇が護衛しているという慢心と、バルブロと八本指あるいは法国との癒着の証拠を握ることに力を注いでいたこともあり、護衛が手薄になってしまった。

 まさかこんな強引な手段に打って出るはずがないと高をくくっていたのも理由の一つだろう。

 

「おい! 妹はまだ見つからんのか!」

 大股でこちらに近づいてくる男の声に、ラキュースは瞬時に湧き上がる怒りを隠し、王族に対する礼を取った。

 

「殿下。目下のところ全力を挙げて捜索しておりますが、未だ見つかってはおりません。もう暫く猶予を頂きたく思います」

 

「フン。人類の英雄、アダマンタイト級冒険者が聞いて呆れる!」

 

「申し訳ございません……ですが室内に荒らされた形跡はなく、また魔法の痕跡もございません。よって何者かが物理的な手段で室内に潜入し、眠らせたラナー王女を連れ去ったものと推察されます。ですのでもっと広く情報を募り捜索する必要が──」

 現場の検証は既に終わっている。

 まず初めに魔法による誘拐。つまりは転移魔法などを使用して鍵を開けることなく室内に侵入すると言った方法は否定された。

 あの部屋は転移魔法などを阻害する材質で作られていたからだ。

 イビルアイやアインズが使用する長距離転移を使える者はごく僅かであるが、次元の移動(ディメンジョナル・ムーブ)のように短い距離を移動する転移魔法を使える者はそれなりに存在する。それらを使用して壁抜けを行って内部に侵入する方法を警戒し、宝物庫や地位の高い者の部屋などはそれらを阻害する素材で作るのはよくあることだ。

 イビルアイも自身の転移魔法で内部に侵入することは出来ないと言っていた。

 となれば残る方法は物理的な手段だけだ。

 忍者であり元暗殺者の双子に気付かれることなく、侵入するのは難しいが、高い力量を持った野伏(レンジャー)や盗賊が静寂(サイレンス)透明化(インヴィジビリティ)無臭(オーダレス)と言った隠密用の魔法を重ね掛けするか、マジックアイテムを大量に使えば不可能ではない。

 しかしそうした魔法にも時間制限がある。

 貴賓館は大きく、庭も広大だ。その間ずっと魔法の効果が残るはずがない。どこかで一度立ち止まり魔法をかけ直すか、隠れながら行動する必要がある。

 だとすれば貴賓館の周囲に配置されている護衛や、外の住人たちから話を聞けば何か情報が掴めるかも知れないと考えたのだ。

 

「ふざけるな! 王女が誘拐されたなど知られてみろ。王家の信用問題に発展する! それがわからんのか!」

 浴びせられたその怒声は、この男にしては珍しく正論である。

 町娘や商売人を狙った誘拐事件というのは、その殆ど全ては街道を移動中に狙われるものだ。

 都市内、それも最も堅牢な造りであるはずの貴賓館から王族が誘拐されたなど知られれば、王国の防衛力そのものが疑われてしまう。

 だからこそ、王侯貴族の誘拐が起こった際には、捜索であれ取引であれ、周囲に知られることなく秘密裏に行われることが多い以上、バルブロの言葉にも一理ある。

 だが今回に限っては話が違う。

 

(この男、良くもぬけぬけと!)

 状況から見て、ラナーの誘拐を手引きしたのはバルブロに違いない。

 八本指か、あるいは法国の特殊部隊ならば自分たちにも気付かれずラナーを誘拐することは不可能ではない。

 いや、そうした者たちでなければこれほど鮮やかに誘拐を成功させられるはずがない。と言うべきか。

 

「そもそもこんな事が知られては、ラナー自身の名誉にも傷が付くだろうが」

 駄目押しをするようにバルブロが鼻を鳴らして言い放つが、その言葉に焦りが混じっていないことにラキュースは気がついた。

 チラリと目だけでティナを確認すると、彼女もまたラキュースにだけ分かる程度に首を振って肯定する。

 今バルブロが言ったのは要するに誘拐されたラナーが──考えたくはないが──性的な意味で慰み者となってしまった場合、嫁がせる際の価値が下がると言いたいのだ。

 不愉快極まるが、王侯貴族の婚姻に置いて女性側の貞操は確かに重要となる。特に王位を継ぐ可能性がほぼ無く、王族の血を継ぐことが唯一の仕事だと認識されている第三王女であればなおのこと。

 そしてそのことに最もこだわらなくてはならないのはバルブロだ。

 何しろ、ラナーとの婚姻という餌をちらつかせることで貴族派閥から裏切り者を出さないようにするのも、貴族派閥内でのバルブロの役目なのだから。

 つまり、もしこの誘拐劇がバルブロと関係ない第三者によるものであれば、もっと焦っているはずなのだ。

 バルブロはその性格上、演技が得意なはずもなく、出来たとしても元暗殺者のティナや、貴族社会と冒険者業界、その両方で生きてきたラキュースを騙せるはずもない。

 

(やはりこいつが手引きしたと考えるべきね。だとしたら、少なくともラナーの身の安全は保証されているはず)

 命だけではなく、それこそ貞操に関しても、貴族派閥の者に高値で売るために手出ししないように厳命されているはずだ。

 だからこそ、ラキュースが大々的に捜索をすべきとした提案をあれほど強固に反対したのだろう。

 

「承知いたしました。それでは、ご命令通り我々だけで極秘裏に調査を──」

 

「もうよい! お前たちが役に立たないことは理解した。これから先は私がボウロロープ候から預かった精鋭兵団の者たちに探させる。お前たちはクビだ。とっととここから失せろ!」

 

「そんな!? 殿下、相手の戦力は未だ不明です。精鋭兵団だけでは──」

 

「何だと? 彼らは我が義父が直接選抜した精鋭たちだ。父上から直接ラナーの護衛の任を任せられたというのに、止めるどころか気付くことも出来なかった者たちとは比べものにもならんわ。とっとと失せろ。これ以上口答えをするのなら、護衛失敗の責任だけではなく、不敬罪で引っ捕らえるぞ。そうなればお前だけではなくアインドラ家にまで迷惑が掛かることになるが、それでよいのか?」

 

「そんなの──」

 家の名誉と親友の未来。

 秤に掛けるまでもないと声を上げようとするが、その直前、バルブロの死角からティナが手を動かした。声を出せない状況で意思疎通を図るための手話だ。双子のように通常会話と同じ速度で理解できる程ではないが、いざという時のために彼女たちが使用する手話の内容も頭に入れてある。

 その動きは、撤退の合図。ここで無理をすれば身動きが取れなくなってしまうから一度退くすべきだ。と言いたいのだろう。

 確かにここで食い下がってもバルブロから許可を取ることは出来ない、ならば解雇され独自の判断で動いた方が良い。

 

「……承知、しました」

 

「ふん。お前たちの任務は失敗だ。大人しく王都に戻っていろ。組合には私から正式に抗議文を送らせて貰う。当然だがこの話をこの都市の冒険者組合に流すような真似はするなよ。組合への視察も予定通りに行わねばならんからな」

 冒険者組合は都市ごとに独立した組織であり、報告の義務などないが、冒険者そのものに疎いバルブロはそのことを知らなかったのだろう。

 だがこの期に及んで予定通り視察を行うと宣言する、優越感に満ちたバルブロの笑みを見て、ラキュースは主犯がバルブロであると改めて確信した。

 その相手に対し、何も言い返すことも出来ないことに怒りと、同じだけの屈辱を感じながらも、ラキュースは親友を救うために大人しくその場から引き下がるしかなかった。

 

 

「ここなら大丈夫か」

 

「……ええ」

 エ・ランテルに張り巡らされた三重の城壁の真ん中に存在する城壁内周部、主に市民が生活する区画まで移動した蒼の薔薇一行は、人目に付かない路地裏に固まって作戦会議を開始した。

 

「くっそ。頭に来るぜ。あの馬鹿王子」

 苛立たしげに地面を蹴飛ばしながらガガーランが吐き捨てる。

 

「確かに。でも、今回は向こうが上手だった」

「まさか私たちの警戒網を突破する力を持った奴らが居るなんて」

 

「私たちも知らないうちに、慢心していたと言うことか。以前のドラゴンや魔神ではなく、人相手ならば私たちを出し抜ける者などいないと考えていたわけだ」

 物理的な警戒をしていたティアとティナ、そして初めに魔法的な防衛を確認していたイビルアイがそれぞれ反省を述べているが、何も彼女たちだけの責任ではない、これは蒼の薔薇全体の問題だ。

 イビルアイの言うように、自分たちはどこかで相手を軽く見ていた。

 精鋭兵団は数こそガゼフ率いる戦士団と比べ遥かに多いが、隊の練度や個々の強さは大したことが無く、冒険者で言えば金級にも満たない──一対一で戦えばクライムでも容易く勝利を収められる程度の力だ──魔法や斥候の技量においては、イビルアイや双子と比べられる領域にもいない。

 だからこそ、自分たちが護衛に付いた時点でラナーの身柄確保は諦め、もう一つの目的である法国との接触に全力を向けるものだと思っていた。

 その為ラナーを全員で護衛するのではなく、交替制にして残ったメンバーはバルブロを遠くから監視していたのだ。

 何か動きがあればその証拠を掴み、イビルアイが王宮に転移して王にその証拠を渡し、バルブロ延いては貴族派閥の力を削ぐ手札を得るつもりだった。

 事前に王とラナーから、そうした任務も請け負っていたのだ。

 その隙を突かれたと見るべきだ。

 

「相手が貴族派閥だけではなく、法国自体も含まれていると考えるべきだったわね」

 

「まあ、そっちの反省はもう良いだろ。というか今そんなことをしても意味ねぇよ。俺たちが今考えなくちゃならないのは姫さんをどうやって見つけだして、救い出すかってことだ」

 わざとらしく明るい口調で言い、空気を変えるガガーランに、ラキュースは思わず苦笑する。

 ガガーランにはいつも助けられている。

 夢を見て家を奔走したばかりの未熟な冒険者だった自分を助けてくれた、初めての冒険者仲間。

 それからずっと彼女には世話になってばかりだ。

 今回もそう。ガガーランの言うとおり反省や後悔は後で良い。取りあえず犯人がバルブロであるならば、ラナーの安全は保証されているが、それもいつまで続くか分からない。

 貴族派閥結束に利用するにしても、戦争が終わるまでの間、ラナーの身柄を確保し続けなくてはならないからには、どこかに幽閉しておくはずだ。

 しかし実行犯が八本指か、あるいは法国の特殊部隊などであった場合、その幽閉場所を特定することも困難だ。

 だからこそ、一刻も早く捜索を開始する必要があった。

 

「そうね。でも、私たちが派手に動いたら、相手に対策を取られかねない。何とか相手の目を誤魔化す必要もあるわね」

 ラナーに危害を加えることはないだろうが、蒼の薔薇が王都に戻らず、エ・ランテルで捜索を開始すれば相手はそれこそ、急いでラナーを別の場所に移動させるかもしれない。

 しかし蒼の薔薇が都市を出ていったと見せかければ、慌てて移動させる必要はなくなるはずだ。

 

「となると、先ずは大人しく王都に戻った振りをして、改めてここに戻って捜索するってことか。出来るのかよ? そっちの三人はともかく俺とラキュースは隠密行動得意ってわけでもないだろ?」

 

「……そうだな。私たちだけで捜索してもいいが、相手は既に一度こちらを出し抜いた連中だ。救出後の護衛も含めると出来れば五人全員で動きたいところだな」

 

「じゃあ、捜索は私たちがするから、二人は都市の外で待機しておいて見つかったら呼び出して改めて中に入って貰うっていうのは?」

 確かにそれならある程度の問題は解決するが、その場合でもどうやってラキュースとガガーランがエ・ランテルに潜入するかという問題は残っている。

 

「それなら──」 

 途中まで口にしたティアが言葉を止め、臨戦態勢を取りかける。が、直ぐに何かに気づいたように、呆れた息を吐いた。

 

「この足音。クライムがこっちに来るよ」

「あの童貞。大人しくしとけって言ったのによ」

 このメンバーの中では恐らく最も彼のことを気にかけ、貴賓館でラナーを捜索している隙を突いてクライムと接触し、直接忠告してきたガガーランも苦笑する。

 自分たちとは別に、従者としてラナーに同行していたクライムだが、護衛として雇われた冒険者という立場である自分たちとは違い、ラナー直属の従者でありながら、彼女の誘拐を防げなかった責任を取らされ、正式な処分が下るまでの間、謹慎状態にあったはずだが、どうにかしてそこを抜け出して来たようだ。

 

「おう、童貞。お前謹慎中だろ、こんなところに出て良いのかよ。姫さんのことは俺たちに任せろって言っただろうが」

 姿を見せたクライムが何かを言う前に、ガガーランがキツい口調で言い放つ。

 普段の彼であれば、主の立場を悪くするような行動は取らないはずだが、流石にラナー自身に危機が迫っている状況では大人しくできないということだろう。しかし、現時点でクライムが居ても役に立つことはない。

 むしろ、これがバルブロに知られれば、より警戒されてしまう。

 だからこそ、ガガーランはその心意気は買いつつも、苦言を呈しているのだ。

 

「も、申し訳ございません。ですが……」

 罰の悪そうな顔をしているクライムの様子にラキュースは違和感を覚えた。

 クライムは幼い頃ラナーによって命を救われて以後、彼女を盲信し、命すら捧げても良いほどの忠誠を誓っているのは知っている。

 それほどの相手が誘拐されたというのに、クライムがいやに落ち着いているような気がする。

 ラキュースたちのように冒険者として、数々の修羅場を乗り越えてきた者であればまだ分かる。そうした無謀な行動が余計に危険を招くのだと理解しているからこそ、ラキュースは親友がさらわれた状況であっても、落ち着いて行動することを心がけているのだから。

 しかしクライムは訓練こそ重ねているが、実際にこうした現場に遭遇したことはない。そして先ほどラキュースたちが推理したバルブロが誘拐の主犯である以上、ラナーの身の安全が保証されている。という考えも彼は知らないはずだ。

 居ても立ってもいられず軟禁場所を抜け出すという、リスクしかない方法を選択するのはまだ理解できるが、その後ラナーではなく、自分たちを捜すという選択をするのは明らかに不自然だ。

 

「……クライム。一つ教えて。もしかして、貴方こうなることを知っていたの?」

 だからこそ、ラキュースはクライムの言葉を遮り、問いかける。

 何か事情があるのなら、先にすべて聞いておかないと、これからに差し支えると考えたのだ。

 その言葉を受けたクライムが、僅かにたじろいだ後、観念したように懐から一通の手紙を取り出した。

 

「万が一自分に何かあった場合は、これを読み、その通りに行動するようにとラナー様から命じられておりました。何かあるまでは決して中を見ず、皆様にも伝えないようにとのことでしたので、その……」

 その言葉を聞いて合点が行った。

 恐らくラナーはこうなることを予測していたのだ。元々誰も思いつかなかった法案をいくつも考えつく発想力や、暗号の解読などを瞬時に行える思考力など、頭を使って行うことに関して、天才という言葉が相応しい人物だ。

 現在の情勢やバルブロの立場を考慮すれば、この結論に行き着ても不思議はない。

 

「まったく、あの娘は。分かっていたのなら私たちに言ってくれれば、対処のしようもあったのに」

 事前にそれを聞いていれば護衛を交代制ではなく全員で行っていただろう。

 

「自分の安全より、バルブロと法国との癒着の証拠を掴む方が大事だと思ったのかも。私たちに言えば護衛を最優先していただろうし」

「あのお姫様ならあり得る」

 

「……それと恐らくラナー様は、自分の兄がそこまでするとは信じたくなかったのかもしれません」

 

「今まで何度騙されてきたと思っているのよ」

 クライムの言葉に呆れつつも、ラナーならばあり得ると思ってしまう。

 彼女の考える政策には、貴族への根回しを必要としない王の直轄領だけで行っても十分成果が出るものも幾つかあったが、それらを妨害してきたのは二人の王子たちだ。

 後継者争いを続けている王子たちはラナー政策が成功し、彼女の評価が高まることで、ラナーにも後継者の芽が出るかもしれないと危惧していた。

 王国では女性が王位を継いだ前例こそないが、頭も切れ、市民からの人気も高いラナーならば、周囲を根回しの巧い者たちで堅めさえすれば、現在の後継者たちの誰より良い為政者となるのは、容易に予想が着くからだ。

 そうした事情もあって──バルブロがそこまで考えているとは思えないが──彼女の人気をこれ以上高めたくない兄たちに、ラナーは何度となく裏切られてきたのだ。

 だと言うのにこの後に及んでバルブロを信じようとするなど、もはやお人好しという言葉だけでは済まないが、こうして事前に予想しクライムに手紙を託していたところを見ると、ただ無条件に信じるのではなく、対策を講じた上で、杞憂であって欲しいという一縷の望みに託したのかもしれない。

 

「とにかくよ。そいつにはなんて書いてあったんだ?」

 

「はい。先ずは自分がさらわれた場合、主犯は恐らくバルブロ殿下、そして実行犯は法国の特殊部隊か八本指だろうと」

 

「おう。それは俺たちも話し合ってた。だから取りあえず、姫さんの身の安全は保証されてるだろうってな」

 

「そうでしたか。流石はアダマンタイト級冒険者の皆様、ここにもそう書いてありました。ですから私にはその場合でも慌てず、先ずは皆様と合流するように。と指示を頂いております」

 

「なるほど。小僧の性格を理解した上での指示か。何も知らなければお前はそのまま飛び出すか、バルブロにくってかかりそうだからな」

 有りうる話だ。

 元々クライムは、ラナーのためならば自分の命などいくらでも投げ出そうとする少年だ。

 ラナーの安否も不明なまま、バルブロが怪しいと気付いた場合、クライムがそうした行動に出るのは想像に難くない。

 

「それで。合流した後は? 監禁場所についてのヒントとか、見つける方法とか書いてないの?」

 ティナの言葉を聞いたクライムの表情が再び曇り、何か言いづらそうな間を空けたが、それも瞬きほどの時間であり、直ぐに続きを口にする。

 

「……漆黒のモモン様、そして魔導王の宝石箱の協力を仰ぐように。と、ゴウン殿の魔法であればラナー様の位置を特定できるはずだと記されていました」

 クライムが言いづらそうにしていた理由が分かった。

 同時にラナーが、自分が誘拐される場合に備えて準備をしておきながら、そのことをラキュースに伝えなかった理由も。

 ラナーはこの状況になった時点で、ラキュースたち蒼の薔薇だけでは力不足だと考えたのだ。

 八本指と法国どちらも底知れない相手であり、場合によっては以前のヤルダバオトのような魔神が関わっている可能性すら有る。

 そう考えるとラナーの選択は何も間違ってはいない。

 だがやはり、自分たちの実力を信じられていないように感じてしまう。

 それは全員が同じだったようで、モモンのことを盲信しているイビルアイすら、不満げに鼻を鳴らしていた。

 

「……まあ、法国も絡んでいるんならそう思われても仕方ねぇか。実際に俺たちも一度出し抜かれてるわけだしな」

 

「いえ。ラナー様は決して皆様の実力をお疑いになっているわけでは……」

 憮然とした態度で吐き捨てるガガーランにクライムが慌てて付け加える。

 これで自分たちが気を悪くして、モモンとの共闘を断るとでも思ったのだろうか。確かに思うところが無いとは言わないがが、モモンの実力を誰よりも良く知り、またラナーの身の安全も掛かっている現状でそんなことを言うはずがないというのに。

 

「心配いらないわ、クライム。漆黒の実力は私たちが一番良く知っているもの。モモンさんならきっと力になってくれるはずよ」

 

「ですが大丈夫でしょうか。モモン様も冒険者、本来冒険者の皆様は──」

 

「国家の問題に介入すべきではない。ね。私たちが言えたことではないけれど、モモンさんならば恐らく問題はないわ」

 今回も含めて既になどと無く、ラナーからの依頼を受けて国家の問題に介入している蒼の薔薇だが、モモンたち漆黒もまた冒険者としての決まりよりも優先していることがある。

 言うまでもない魔導王の宝石箱、つまりはアインズからの依頼だ。

 そしてそのアインズは法国との戦争に力を貸すと約束した。今回の誘拐劇は単なる王国内の権力争いではなく、法国との戦争にも重要な意味を持つ。それが分かっているから、ラナーもモモンだけではなく、魔導王の宝石箱の力も借りるように言ってきたのだろう。

 

「決まりだな。小僧、モモン様の下へはお前が向かえ」

 

「わ、私がですか!?」

 

「そうだ。お前が逃げ出したことが知られれば、バルブロは警戒を強めるだろう。だからこそ、私たちは王都に向かう振りをするために一度エ・ランテルを出る。バルブロからすれば我々がお前と合流することなく、都市を出たことを知れば安心するはずだ。お前一人では大した障害にはならないと考えるだろうからな」

 イビルアイの容赦のない台詞に、クライムが拳を握る。憤りを覚えている訳ではなく、自分の実力不足を理解しているからこその行動だろう。

 イビルアイも気付いているはずだが、そのことには触れずに話を進める。

 

「私たちはエ・ランテルを出て、そのまま身を隠しておく。その間にお前がモモン様と魔導王の宝石箱に協力を要請しろ。魔導王の宝石箱の力を借りることが出来れば、例の集団を転移させられる巻物を使ってバルブロたちに気付かれることなく合流できる」

 説明した後、イビルアイがこちらに同意を求めるように視線を向ける。

 それを除いても、色々と目立つ蒼の薔薇と異なり、例の白色の全身鎧を置いてきたクライムの方が冒険者の多いこの都市では目立たず行動できるのは間違いない。

 イビルアイにしては些か慎重な作戦ではあるが、もはや敵はバルブロではなく、法国だと考えるべきだ。それならばこれでもやり過ぎと言うことはない。

 

「……そうね。それで行きましょう。クライム、良いわね?」

 

「はい! ラナー様をお救いするため、必ずやモモン様を説得して参ります」

 肩に力が入りすぎている。

 いくらラナーの安全がある程度保証されていると行っても絶対ではない。クライムからすれば手紙によって辛うじて冷静さを保っているだけなのだ。

 少し力を抜かせた方が良いと判断したラキュースが動く前に、ガガーランが明るい声を上げる。

 

「モモンなら問題ねぇだろうが、黒髪の女が出てきたら気をつけろよ。あの女、場合によっちゃ話も聞かないで追い出そうとするぞ」

 

「そう言えば、カッツェ平野に行く前に来た時は、追い出されたね」  

 

「ナーベは美人だけど、性格がきつい……ちなみに私はそういうのも嫌いじゃない」

 ガガーランに合わせるように双子も軽口を叩き、それにイビルアイも乗っかった。

「そうだな。あの女はモモン様に近づく奴にきつくあたってくるが、その場合はゴウン殿の名前が有効だ。ゴウン殿の前では借りてきた猫のようになってたからな」

 

「は、はい。やってみます」

 まだ多少ぎこちなさはあるが、先ほどよりは大分堅さは取れた。これならなんとかなるだろう。

 その後合流場所や時間を決めてから、クライムを送り出し、蒼の薔薇はわざと目立つように大通りの真ん中を歩きながら、エ・ランテルを後にした。

 

 

 ・

 

 

 エ・ランテルの冒険者組合長、プルトン・アインザックは目の前に座る人物から告げられた言葉に、緊張した面持ちで問い返した。

 

「バルブロ殿下。それはどういった意味でしょうか?」

 

「何度も言わせるな。お前たち冒険者組合も戦争に参加せよ。これは命令だ」

 反論など許さないとばかりに、王国の第一王子、バルブロ・アンドレアン・イエルド・ライル・ヴァイセルフが強く言い放つ。

 エ・ランテルの冒険者組合のトップであり、都市の顔役でもあるアインザックだが、王族との面識など無かった。いや王族に限らず、関わりのある貴族など依頼主以外では、都市長のパナソレイぐらいだ。

 その彼も外見とは裏腹に、思慮深く例え相手が平民であっても礼儀を忘れることなく接することの出来る貴族である。

 だからこそ、こうした自分の地位を盾に上から目線で命令する相手に対し、どう接すればいいのか正解が見つけられない。

 だが、答えるべき内容に関しては既に決まっている。

 

「恐れながらバルブロ殿下。それは出来かねます」

 ピクリとバルブロの眉が持ち上がり、如何にも不快だと言わんばかりに目付きが鋭くなる。

 

「出来るか出来ないかなど聞いてはいない。これは命令だ。冒険者だろうと何だろうと、王国に住んでいる以上は王国の民。その国の一大事に立ち上がるのは当然のことだろうが」

 鼻息荒く食ってかかるバルブロに、アインザックはため息を吐きそうになる己を必死に押さえ込んだ。

 実際に領土を持ち運営している貴族たちならば、冒険者の存在価値をよく分かっているが、この王子はこれまで領土も持たず運営に関しても全くの素人だ。

 だからこそ、こんな言葉が出てくるのだろう。

 

「……殿下。手前味噌になりますが、冒険者の戦力は一般の兵に比べ強大です。だからこそ、我々が戦争に参加しては相手方も同じように冒険者を動員し、冒険者が一般の兵を刈っていく形となり、結果としてより多くの被害が──」

 

「それは聞いた。正直納得はできんが理解はしている。だが、今回は別だ。今回の相手は法国だ。あの国には冒険者組合は存在しない。つまり、相手が冒険者を動員してくることなど無いのだ。それならば何の問題も無かろう」

 

(やはり狙いはそれか。魔導王の宝石箱で聞いたあの宣言。この分では王国も一丸となって戦う決意を固めたと言うところか)

 三国同盟による法国との戦争。

 本来三ヶ国を相手にする法国に勝ち目など無いはずだが、時に国家よりも早く情報を得ることもある冒険者組合として、あの国の実力、その一端は理解している。

 六百年間に渡り、異種族から弱小種族である人間を守り抜いた力は侮れない。

 それこそ、三ヶ国が束になり、あの魔導王の宝石箱が力を貸したとしても、絶対に勝てるとは断言できない。

 だからこそ、並の軍隊よりも強大な力を持った冒険者を戦力として取り込みたいという考え自体は理解できる。

 しかし、本来冒険者とは人々を驚異から守るために存在している。

 ようは法国の理念に近い。実際冒険者組合の雛形を作ったのは法国だという話もあるほどだ。

 もっとも、あの国ほど苛烈に異種族はすべて殲滅すると言うわけではなく、アインザック自身はあくまで人々の驚異になる存在を排除するための力だと認識しているが。

 

 同時に、だからこそ冒険者は国家に取り込まれてはならない。

 一度国家に取り込まれてしまったら、必ずまた同じことを強要される。

 その相手が帝国ならば、相手も同じように冒険者を動員してくるのは目に見えている。

 その後待つのは、互いに弱い戦力を狙いあって起こる泥沼の被害拡大だ。

 人々を守るために存在する冒険者が、被害を拡大させるなどあってはならない。

 それに、この男は信用できない。

 今回の視察自体は以前から聞いていた。もしかしたらそうした打診があるかもしれないとも考えていた。

 だが、現在の王は名君とは言えないが、そうした冒険者の事情を理解し、賛同してくれていたはずだ。

 そうでなければ、とっくの昔に帝国との戦争に無理矢理参加させていたに違いない。

 その王が今になって、こうも強引なやり方で冒険者組合を取り込もうとするとは思えなかった。

 

(ラナー王女も一緒と聞いていたが、姿が見えないのも気になる。体調不良と言っていたが、本当はこの話を聞かせたくなかったから連れてこなかったのではないか?)

 モンスター討伐による報奨金など、冒険者にとっても利益のある政策を提案し、蒼の薔薇とも懇意にしているラナーならば少なくともバルブロよりは冒険者に対する理解があるはずだ。

 この男もそれが分かっていて、話を聞かせないために一人で現れた。

 そう考えると辻褄があう。

 それを確かめる意味で、アインザックはひとつ鎌を掛けてみることにした。

 

「殿下。一つお聞かせいただきたいのですが、それは陛下直々のご勅命と考えてよろしいのでしょうか?」

 王の勅命。

 それは即ち、この国の最高権力者である王が自ら下した命令だ。

 この国に生きる者は基本的にそれに逆らうことは許されない。

 とはいえ、現在の王はそれを強行出来るほど絶対的な権限を持っている訳ではないが、少なくともその言葉を偽ることは例え王族であっても許されていない。

 だからこそ、こうした場でもバルブロは嘘はつけない。

 後でアインザックが王国に確認し、嘘がばれれば、第二王子という他の後継者候補のいるバルブロは廃嫡されかねないからだ。

 

「……貴様。父上の命でなければ聞けないと言うのか!? この土地は誰のものだと思っている! ここは王の直轄領、即ちヴァイセルフ王家の土地だ。俺はその第一王子であり後継者。であれば勅命などでなくても命令を聞くのは当たり前のことだ!」

 顔を怒りで染めあげながら、立ち上がり声をあらげるバルブロの態度で理解する。

 

(やはり陛下の命令ではなく、この男の独断か。おそらくは打診か、せいぜい圧力をかける程度に留めておくように言われていたが、この男は自分の手柄にするためにそれを隠していると言ったところだな)

 ならば話は簡単だ。

 

「……私の一存では決められません。組合の者や関係各所の様々な者たちに意見を聞く必要がございます」

 

「三日だ。三日以内に終わらせろ。私が他の場所を視察している間だ。しかし言っておくが、もし断れば、この国にお前たちの居場所はなくなる。そう理解しておけ」

 この男でもこの場で決断が不可能なことぐらいは理解できるらしい。

 しかし、恐らくバルブロははき違えている。

 既にアインザックがバルブロの提案を受け入れる前提で、各所に話を通すだけと思っているようだ。

 

「承知いたしました」

 深々と頭を下げるアインザックを鼻で笑い、護衛を引きつけれたバルブロはその後、早々に組合から引き上げていった。

 最後に見えた背中は如何にも自信に溢れ、交渉を成功させた自分を誇っているかのようだったが、アインザックの心は彼の望む答えとは真逆に傾いていた。

 

 

「バカバカしい。国に居場所がなくなるだと? 冒険者がそんなことを恐れるはずがないだろうに」

 一人になったアインザックはため息と共に吐き捨てる。

 そもそも冒険者は例えその国に住んでいようと、国の住人だという意識は薄い。

 大抵が余所からやってくる者ばかりだからだ。

 実際待遇や、依頼の量や質によって、ホームタウンを移す冒険者も多い。

 もしバルブロが言うように、王国が法律を盾に無理矢理自分たちを取り込もうとするのならば、アインザックは所属している冒険者たちには他の土地、いや他の国へ行くように勧め、空の組合を渡すだけだ。

 

「いや、待てよ──これも魔導王の宝石箱の影響の一つなのか」

 ふと、現在組合が抱えているもう一つの頭の痛くなる問題を思い出し、アインザックは眉間に皺を寄せる。

 今回の件はもしかしたら、それと繋がりがあるのかも知れない。

 打診という形にしろ、国が冒険者組合に介入しようとしたことは無かった。

 今まで冒険者組合が特権的な独立性を確保できていたのは、代わりとなる存在が無かったためだ。

 どの国でもモンスター討伐には苦慮している。

 弱いモンスターならばともかく、強大なモンスターは一般の兵士には倒せない。

 王が自由に動かせる者で、そうした強大なモンスターを討伐できるのはガゼフ・ストロノーフくらいなものだ。

 それも複数の地域に同時に現れたらどうしようもない。

 だからこそ、その対処が可能な冒険者をどの国も優遇してきた。

 しかし、今周辺諸国には魔導王の宝石箱という強大すぎる力が現れた。

 これによって護衛や防衛に関しては、冒険者の力を借りる必要がなくなり、帝国や聖王国の一部で既に普及し始めているアンデッドや、ゴーレムならば、他の仕事も取って代わられる日も近い。

 国もそれが分かっているから、こうした強引な手段に打って出たとは考えられないだろうか。

 

(勅命ではないのは、むしろ陛下の温情なのかも知れない。ならば今回の件を拒めば、本当に強引に取り込むことも考えられるか)

 危険な思考をしていることを理解し、口には出さず考える。

 先ほどの提案自体はバルブロの独断であったとしても、ライポッサもどこかでそれを期待したからこそ、使者にバルブロを指名したとも考えられる。

 どのみち、他国に冒険者を逃がそうと、魔導王の宝石箱がこのまま店舗拡大を続ければ同じこと。

 冒険者の居場所は早晩なくなることだろう。

 そう考えて、同時に先日のことを思い出す。

 

「モモン君が言っていたのはこういうことか。だから急にあんなことを──」

 魔導王の宝石箱の話を聞こうとした自分に、あろうことか組合ごと店に取り込もうと言ってきたあの話だ。

 あの時もバルブロの時と同じように時間をもらったが、していることは同じでも誘い方や利益を考えれば、どちらを選択するかなど言うまでもない。

 もちろん、どちらの話も鵜呑みにするわけではなく、これから裏付けを取るつもりだ。

 特に魔導王の宝石箱に関しては話をしてきたのは、公式的には店と直接的な関わりのないモモンだ。店の関係者、出来ればアインズ本人から話を聞き、モモンの言ったことが本当なのか確かめなくてはならない。

 その上で間違いないというのならば。

 冒険者の形が変わる。冒険者を志す多くの者が夢見た未開の地を踏破せんとする者、モンスター専用の傭兵ではない本物の冒険者が誕生することになる。

 

「俺ももう少し若ければな……いや。まだ遅くはないか」

 かつては自分も冒険者として名を馳せた戦士だった。

 引退し、組合長になったことで仕事を行うことこそ無くなり、身体的にも全盛期よりは衰えただろうが、まだまだ並の冒険者以上の強さを維持しているつもりだ。

 ここに魔導王の宝石箱のバックアップによる武具やアイテムが加われば、自分もかつて夢見た本物の冒険者になれるのかも知れない。

 

「組合ごと彼らが取り込むのであれば、俺の仕事も少しは減るだろうしな……ラケシルの奴にも話してみるか」

 例の開店パーティーが始まる前から、いつの間にか姿を消していた魔術師組合長にしてかつての冒険者仲間の顔が思い浮かぶ。

 きっと彼ならば迷うことなく即答することだろう。あの時姿を消したのも、その後取り憑かれたように魔術の研究に没頭し始めたのも全てはアインズという超級の魔法詠唱者(マジック・キャスター)の存在を知ったからに違いないのだから。

 

「早速人を集めるか。さて、どこから責めるべきか」

 既に相談ではなく説得を試みようとしている自分に気付き、アインザックは苦笑しながら準備を開始した。




エ・ランテルでの話は本筋とはあまり関係ないのですが、今まで出てきた何名かの人物たちの行く末が決まる話でもあるので、もう少し続きます

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