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【社会】

野田女児 父から性的虐待疑い 把握の児相 保護解除

 千葉県野田市の小学四年栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が一月、自宅浴室で死亡した虐待事件で、心愛さんが県柏児童相談所の一時保護中に児相職員に対し、父親の勇一郎被告(41)=傷害致死罪などで起訴=から下着を下ろされるなどの被害を訴えていたことが、県などへの取材で分かった。医師が性的虐待の可能性を指摘し、父親も行為を否定しなかった緊急性の高い事案にもかかわらず、柏児相は一時保護を解除していた。

 関係者によると、心愛さんは一時保護中の二〇一七年十一~十二月、面談した児相職員に「夜中に起こされ、パパが急にズボンを下ろしてきた。パンツも脱げた」と証言。「やめてよ」とすぐにズボンを上げたところ、勇一郎被告から「そんなこと言うとばれるだろ」と言われたと訴えた。

 面談した医師は「暴力行為だけではなく性的虐待も含み、恐怖心がかなり強い」として、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断。しかし、関係者によると、児相の事実確認に対し父親は「夜中ではない」とした上で「ふざけただけだ」などと説明したという。児相は十二月二十七日に親族宅で生活することを条件に一時保護を解除した。

 県は、性的虐待が疑われる訴えは「一回だけだった」としている。心愛さんは、ほかにも就寝時に手で口と鼻をふさがれ「息ができなくて死ぬかと思った」とも児相などへ訴えていた。

 県の子ども虐待対応マニュアルでは、性的虐待の疑いは保護の緊急性が高いケースに当たる。一時保護解除の理由について、県担当者は「柏児相は面談、心理診断、医学的診断などさまざまな情報を総合的に判断した」と説明。「父親の行為をどう判断すべきだったかは、県の第三者検証委員会の重大な検証事項だと受け止めている」と話した。

◆子ども守る意識欠如

<NPO法人「児童虐待防止協会」の津崎哲郎理事長の話> ズボンや下着を脱がす行為は「性的虐待」にほかならず、再発やエスカレートが最も懸念される。児相の一時保護の解除には非常に疑問を感じる。子どもを守る意識が欠落していると言わざるをえない。長期間保護できるように裁判所に申し立てて児童養護施設への入所を検討したり、警察や弁護士に協力を仰ぐなどするべきだった。

◆性虐待 理解せず

<野田市の再発防止検証委員も務める日本大の鈴木秀洋准教授の話> 子どもが性被害を打ち明けるには非常に勇気が必要で、回復はとても困難が伴う。柏児相はそのような性的虐待の構造を理解していなかったのではないか。あまりに軽い対応で看過できない。今後の検証委員会の中で重点的に議論していかなければならない。 

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