---------------------------
----N----039---------------
----a-----------------------------
----t-----------------------
----u-Z-o-r-a--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------
(富士子)おはよう。(悠吉)おはようさん。富士子ちゃん 今日も おきれいで。
知ってる。 最近 それ 忘れてたっしょ?
何でだべか 急に思い出したべさ。
(菊介)なっちゃん 元気になったか?昨日は よく眠ったべな。
(なつ)うん…。
じいちゃん…。
ゆうべは ごめんなさい。
ゆうべ?
ゆうべのことは 忘れて下さい。
私 頑張るから。
ず~っと ここで頑張るから。
(泰樹)その必要はねえって言ってるべ!
じいちゃん!
何で そんなこと言うのさ?気が変わったの?
(照男)じいちゃんの方こそ 本当はお前に悪いことしたって思ってんだよ。
そんなこと言ったらじいちゃん 余計に傷つくべや。
したけど… やっぱり 私が間違ってる東京行くなんて…。
東京!?おい いいから 動け。
ああ…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(天陽)何で そんなうそついたんだ?
うそ?東京のお兄さんのためだなんて…。
東京に行きたいのはそれが理由じゃないべや?
それも理由さ。 うそじゃない。
アニメーションだろ。
漫画映画を作りたいんだろ?何で それを言わねえのさ。
言えんかった。
自分でも まだ信じられねえもんそったらこと…。
私に できると思う?
じゃ 何で東京に行きたいなんて言ったんだ?
そりゃあ…やってみたいからに決まってるしょ!
そう言えばいいべさ!
酪農よりも やりたいことがあるなんてそんな…じいちゃん 裏切るみたいなこと言えんかったわ…。
言わない方が裏切りだよ それは。
たとえ 裏切っても…その覚悟は ないのか?
東京へ行ったってできるかどうかなんて分かんないのに…。
そんなやつ 何もできねえな。
行かん方が ましだ。
だから 行かんよ。
もう 行けるわけねえわ。
それより 天陽君の話って何?えっ?
話したいことがあるって言ってたしょ?
ああ… それは もういい。
えっ?
何でもない。 忘れたわ。
(戸をたたく音)
(戸をたたく音)
(砂良)はい。(弥市郎)いい。
あの… 阿川さんですか?
そだが…。
突然 すいません。
せんだっては なつが大変お世話になったみたいで。
私は なつの母親です。
俺は 兄です。
ああ 柴田牧場の…。
(富士子)はい。あなたが 砂良さんかい?
なつが 大変お世話になったみたいでありがとうございました。
ありがとうございました。
どうぞ。あっ いえ…今日は お礼の挨拶だけでもと…。
いや 寒いから。
あ… そうですか?
それじゃ すいません。 お邪魔します。
あの… これは うちの牛乳です。
何もできませんがせめて これを飲んで下さい。
あ… したら 遠慮なく。 ほれ。
あっ… どうも すいません。
あっ いえ… 重いですから。
どこに置きますか?
ここ。はい。
(富士子)本当に助かりました。何て お礼を言ったらいいのか…。
一晩 ここに いただけです。
大したことは 何もしてない。
いいえ あなたは 命の恩人です。
それに なつはここが 本当に楽しかったみたいで…。
一晩中 寝ないで 絵描いてたからな。
♪~
(弥市郎)あの集中力は 尋常じゃなかった。
ここにあるものは全部 描いたんじゃないかな。
なつが 絵を…。
♪~
なつが そんなに絵を描くのが好きだなんて 知らなかった。
♪~
ありがとうございます。はい。
♪~
(タミ)漫画映画 作りたいのかい?なっちゃんも。
でも…。でも 柴田家の人には言えないんだ悪いから。 それで悩んでんだ。
(正治)いや そりゃ 柴田さんがっかりするべな。
東京に戻るって言ったらな。
でも 兄ちゃんも 手紙で書いてただろ。
今なら 会社は人手が たくさんいる時だから女でも 高卒でも 美大や芸大を出てなくても入れるかもしれないって…。
そうだ 兄ちゃんに相談すんのが一番早いわ なっちゃん。
おばさん 手紙書こうか?
なっちゃんが 自分で書いた方がいいだろ そこは。
ちょっと待ってよ 天陽君。
なして そんな急ぐの?
私の悩みに 答え出し過ぎだわ。
なっちゃんもともと 人間の生き方にいいも悪いもないんだよ。えっ?
それは人間がこしらえた観念にすぎないのさ。
自然の中で生きてるもんはそんなこと思わんべ?
急に難しいこと言わんでよ…。
なっちゃんも 自然になればいいだけだよ。
自分が どう生きたいのかどうしたいのか自然な気持ちに従えばいいだけだ。
何も 悩むことなんてない。
うん…。
♪~
(夕見子)何やってんの?
何 勝手に 人のノート見てんのさ?
あんた これ知ってた?
フフ… 知ってるも何もなつの落書きは病気で治らんわ。
これは 落書きじゃない…。
えっ?
♪~
(富士子)あの子 本気だったんだ…。
♪~
(とよ)あ~れ。
おう…。
あ~れ あ~れ…。
じゃ 帰るわ。
なっちゃん。ん?
うん… できるかどうか分かんなくても泰樹さんは たった一人で 海を渡って北海道に来たんだべさ。
泰樹さんは なっちゃんにとって見本だべさ。
誇りだべ?
したら なっちゃんが どうすべきか自然と分かるだろ。
なっちゃんは自分の信じたことをやればいい。
分かった…。
もう分かったから…。
天陽君 そんなに…そんなに応援しないでよ!
♪~
さよなら!
♪~
なつよ 君は 何を求めて天陽君のもとへ行ったのか…。
自然な気持ちが時には 一番 不自然なこともあるよな。