提督の憂鬱 作:sognathus
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その内容は可憐な少女たちがある一人の男を慕う想いから、近しい存在となる為にその主導権を賭けて料理で勝負するという内容だった。
金剛は燃えに燃えた。
自分も同じことをして提督にもっと自分を好きになってほしいと。
*舞台裏的でメタな発言あり。
*登場人物が多いのでセリフの前に名前あり。
「マイクの音量いいですか? チェック……チェック、あー、アー? あ、ワン、ワンツー、ワン……はいっ! 皆な様お待たせしましたカレーの味勝負大会の始まりです!」
ワアアアアアアア!
「解説は私、霧島が行います! 実況は那珂さんになります! 那珂さん、よろしくお願いします!」
「はーい! 那珂ちゃんでーす! 今日は頑張って実況するから皆よろしくねー!」
「おっと、今日は珍しくアイドル発言はないのですね。どうしたんですか?」
「ぶっちゃけアイドル言うの飽きただけ! 別にアイドルに拘らなくても目立って可愛いければ満足かなって!」
「なるほど、今更その結論に辿り着いたわけですね。無駄な回り道ご苦労様です!」
「ちょっと! いくらなんでもそれひどくない!?」
「さて、今回勝負に参加するチームを紹介します。まず最初は私の姉、金剛がいる金剛チームです!」ムシ
「イェーイ! 大佐ァ! 今日は頑張るから期待しててネ!」
「フォローは任せてください! ちゃんと食べられるものを作ります!」
「ちょ、ちょっと比叡!?」
「はい、是非お願いしますね、お姉様。では続いては加賀さんと赤城さんによる一航戦チームです!」
「ブイッ」ビシッ
「加賀さん、まだ勝利宣言は早いわよ。まぁやる気があるのは良い事だけど。あ、がんばりますねー」フリフリ
「おお、そこはかとなく感じる危なげが何か良いですね。ご活躍に期待します! では次は翔鶴さん率いる五航戦チームです!」
「なんか出番があまりないので、今日は凄く頑張ります♪」
「右に同じく! 美味しいの作って優勝して、大佐と一緒の出番獲得よ!」
「はい! 限りなくメタな発言ありがとうございます! さて次は、規格外駆逐艦コンビ、雪風&島風チームです!」
「ちょっと! なんで島風の名前が先じゃないの!?」キーッ
「ちょ、ちょっと島風ちゃんいきなり熱くなっちゃダメだよ」アセアセ
「はい、相変わらず元気いっぱいですね! そしてお次は先に紹介したチームと比べて能力に差があるという事で唯一の4人チームになります! 暁型、雷電響(らいでんきょう)チームです!」
暁「ちょっと! なんで暁の名前だけ外したのよ!?」
響「多分、暁の漢字の音読みが『ギョウ』だからじゃない? わたしの『キョウ』と音が似てるし、横に並べても離して読んでも語呂が悪いから……」
雷「あー、それで濁音がある方を敢えて使わなかったのね。『ギョウ』より『キョウ』の方が耳に優しい感じするものね」
電「納得なのです。暁ちゃん、気持ちは分かりますけどここは我慢なのです」
暁「う~、ぜっったい勝って皆の鼻を明かしてやるんだから!」
「響ちゃん雷ちゃん、解説ありがとうございます。そして電ちゃん、フォロー感謝します。暁ちゃんの奮闘に期待しましょう! では最後のチームになります! 最後は足柄、羽黒姉妹による妙高型下妹チームです!」
「下妹って……まぁ出るからには勝つつもりでやるけど」
「足柄お姉ちゃん頑張ろうね」ニコッ
「はい、凄く安定感のあるチームに思えます。それでは最後に紹介するのは試食によって判定をする審査員の方二名になります! 長門さん、大佐、よろしくお願いします!」
「カレーは大好物だ♪」
「……」
「あ、あれ大佐……? どうしました?」ヒソッ
いつも通りの長門に対してどこか沈鬱そうな表情をする提督に、霧島は心配そうな顔で話し掛けた。
「いや、こういう催し物は久しぶりでな。そして何故か頭が痛い」
「だ、大丈夫ですか? お願いしますね。それでは勝負を開始といきましょう! 那珂さん、合図をよろしくお願いします!」
「おっけー! それじゃぁいくよー、第一回カレー勝負大会……はっじっめー!」
パーン!
ワァァァァァァァ!
○金剛チーム
「……」ドゲザ
「お姉様……」
「お願いヨ、比叡。ワタシ実は cooking 全然できないノ……。助ケテ……」グス
「はい、分かりました。この比叡にお任せ下さい。先ずは野菜を切りましょうね。火が通り難いのからにしましょう」
「んー…… carrot?」
「正解です! 流石ですお姉様!」ナデナデ
「えへへ~♪」
那珂「だ、大丈夫なのかなこのチーム……」
○五航戦チーム
「翔鶴姉、パイナップル使うの?」
「うん。これ、缶詰のものを使わないところがポイントなのよ?」
「んー……甘み?」
「正解、缶詰だと実に詰まった甘みが果汁と一緒に殆ど出ちゃってるの。だから直ぐ使うのならなるべくパックに入った物がいいのよ」
「なるほどねー、どれくらい入れるの?」
「お鍋一つくらいなら輪切り一個で十分よ。これ、結構酸味あるからあまり入れ過ぎると、甘さもそうだけど匂いも結構キツくなっちゃうから」
「ふーん、そうなんだ。分かったわ! あ、お肉切るね」
那珂「はぁ、美味しそうなのが出来そう……。これは期待だね!」
○一航戦チーム
「加賀さん、その葉っぱなに?」
「シナモンよ」
「え」
「なに?」
「なんで葉っぱのままなの……?」
「? このままじゃいけないの?」
「生のままだと防臭や防虫くらいしか使い道が……。それでも多少は乾燥させないとダメなんだけど……」
「……」ハムッ
「ちょっと、加賀さん!?」
「……」ジワッ
「だ、大丈夫? もう普通のカレー作りましょう。ね?」
那珂「……」(見なかったことにしよう)
○規格外チーム
「カレーといったらゴールデンよね!」
「んー、わたしはどっちかというとバーモンドかなぁ」
「そうなの? じゃぁ一緒に入れる?」
「こっちは辛口だよ? 島風ちゃんは何口?」
「んーっとねぇ、甘口!」
「二つ合わせれば中辛になるのかな……? うん、そうしよ!」
「オッケイ! それじゃ入れるねー!」ドボドボ
「あ、もう入れて大丈夫なの? 具とかは?」
「もう切ったよ」
「流石、早いね。じゃぁ雪風はお水に浸けた鶏肉切ってくね。あ、フライパンの用意してもらっていい?」
「もうできてるよー。そのお水ちゃんと砂糖とか塩入ってる?」
「大丈夫、ちゃんと入れたよ。ほら、お肉ぽよぽよ」
那珂「な、なんか意外に凄く手馴れててテキパキしてる……。これが規格外の駆逐艦の力……?」
○雷電響+1チーム
雷「人参切ったわよ!」
暁「意外に手際いいわね……普段は悪戯ぱっかりする癖に。 電、油敷いた? もう炒めてる?」
電「バッチリなのです! 玉ねぎもお肉も良い感じなのです。人参、どうぞ!」
響「あ、人参入れるならこれも入れて。入れるの忘れてた」
雷「ん? なぁにこれ?」
響「クミンシード。一応香辛料だよ。香り良いの」
暁「へぇ~、いいじゃない! これは出来が期待できるわね!」
雷「美味しそうね、早く食べたい!」
暁「審査してもらうまでダメよ!」
那珂「あ、こっちはこっちで結構良い感じ。これも美味しそうなのができそうだなぁ」
○下妹チーム
「あ、姉さんチョコ使うんだ。それ、ダーク?」
「ええ、カカオ90%の苦ーいやつよ。これなら入れてもまろやかさが増すだけで変に甘くなったりしないものね」
「……ふふ」
「な、なに……?」
「やっぱりバレンタインだから?」
「……まぁ、ね」カァ
「うん、良いと思う! あれ、このお肉……」
「ああ、マトンよ」
「マトン……羊? 癖とか大丈夫かな?」
「相性がいい香辛料探しておいたから大丈夫よ。まぁ今回はチョコも入れるから結構調整難しいけど」
「……足柄姉さん、私頑張る!」
「いいじゃない。その意気でお願いね」ニコッ
那珂「おー、ここはここでいろいろ凝ってる。どんなカレーができるか一番楽しみなのはここかも!」
「なかなか良い感じに料理が進んでいる様ですね! それではここで審査員の方にこの大会に対するメッセージを頂こうかと思います。先ずは長門さんお願いします!」
「うむ、皆がどんなカレーを作っても私は平らげて見せる。味は二の次だ!」キリッ
「ちゃんと審査員してくださいよ!? あ、えっと……つ、次は大佐、お願いします!」
「まぁ頑張れ」ヒラヒラ
「……あ、ありがとうございます」(な、なんなのこの審査員の不安定さ……)
片ややる気はあるもの真面目に審査する気があるのか疑わしい者、片や真面目なのは間違いないがやる気があまり感じられない者。
霧島はそんな審査員二人の様子を見て大会の成り行きを不安に思うのだった。
アニメ観て自分の艦娘たちだったらどうなるかを考えて思いついた話です。
催し物は水泳大会以来ですが、良い感じにまとめられたと思います(というか水泳大会がひどいだけか。早く修正したい……)