(5)
公園の横を通り過ぎた事は漠然と覚えてはいるが、それ以降は何処を如何歩いたのか良平は全く思い出せない。
ふと我に返った時にはコンビニの前の横断歩道を渡って自宅へ向かう路地を入るところだった。
腕時計の針は12時を少し回っていた。
母の寝室を後にしてから既に二時間近くが経過しようとしていた。
誠一と母には試験は夕方まで掛かると言っておいたが、二人はあれからどうしているのだろう。
立ち去った後の二人の行動を想像しながら歩いているといつの間にか自宅の前に着いていた。
二人は未だベッドの上にいるに違いないと信じる良平は再び玄関脇を通ってリビングまでそっと足を運んだ。
念のためにそっとリビングを覗いてみたが、掃除機は朝と同じ場所に放置されたままで、人の姿は見えなかった。
良平はリビング前の庭を横切り、再び寝室を覗こうと足を進めた。
「?・?・・・」
微かに何か音が聞こえてくる。
良平は耳を澄ましながら細心の注意を払って近付いていった。
空耳かと思ったほど小さかったその音は近付くに連れて次第に大きくなっていった。
もうはっきりと母の声だと判る。
公園の横を通り過ぎた事は漠然と覚えてはいるが、それ以降は何処を如何歩いたのか良平は全く思い出せない。
ふと我に返った時にはコンビニの前の横断歩道を渡って自宅へ向かう路地を入るところだった。
腕時計の針は12時を少し回っていた。
母の寝室を後にしてから既に二時間近くが経過しようとしていた。
誠一と母には試験は夕方まで掛かると言っておいたが、二人はあれからどうしているのだろう。
立ち去った後の二人の行動を想像しながら歩いているといつの間にか自宅の前に着いていた。
二人は未だベッドの上にいるに違いないと信じる良平は再び玄関脇を通ってリビングまでそっと足を運んだ。
念のためにそっとリビングを覗いてみたが、掃除機は朝と同じ場所に放置されたままで、人の姿は見えなかった。
良平はリビング前の庭を横切り、再び寝室を覗こうと足を進めた。
「?・?・・・」
微かに何か音が聞こえてくる。
良平は耳を澄ましながら細心の注意を払って近付いていった。
空耳かと思ったほど小さかったその音は近付くに連れて次第に大きくなっていった。
もうはっきりと母の声だと判る。
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