【コラム 撃戦記】敗れはしたが大健闘2019年5月14日 紙面から 敗れはしたが、黒田は大健闘だった。ムザラネのうまさに対抗して序盤はジャブを果敢に繰り出しラウンドをリード。中盤以降に期待を持たせた。しかし、ムザラネは百戦錬磨だった。中盤からは堅いディフェンスかショートのコンビネーションの連打で主導権を奪い徐々にペースをアップ。長身の黒田のジャブをつぶして終盤の11回にはダウンを奪う寸前まで追い込んだ。 黒田はライトフライ級でプロデビュー。6年前の世界初挑戦もライトフライ級で王者レベコ(アルゼンチン)に0-3の完敗。課題を残したままのフライ級転向だった。 壁は予想以上に厚かった。長身の黒田は距離を取ってのパンチは得意だが、詰められると劣勢になる。決定的だったのはパワー。パンチのないボクシングは相変わらずで見栄えがしなかった。仕上がりは良かったが、パンチがないからメリハリがない。それでも挑戦者らしく前に出たのは買えるが、世界を取るにはボクシングに工夫や戦略が必要だ。ムザラネのような技巧派にはもっとトリッキーなパンチも必要だろう。今のボクシングでは現役続行は難しい。 (格闘技評論家)
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