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【大相撲】

新大関の貴景勝、琴奨菊を突き出して2連勝

2019年5月14日 紙面から

貴景勝(左)が突き出しで琴奨菊を下す(神代雅夫撮影)

写真

◇夏場所<2日目>

(13日・両国国技館)

 新大関の貴景勝(22)=千賀ノ浦=が琴奨菊を力強く突き出し、2連勝とした。昭和の大横綱・大鵬の孫で幕下の納谷(19)=大嶽=は令和初白星を飾った。一人横綱の鶴竜(33)=井筒=は北勝富士を一方的に押し出し、連勝スタート。横綱、大関陣はそろって安泰だった。

 自慢の突き押しのリズムが乱れても、決して慌てない。立ち合いから圧力を掛けた貴景勝の右の突きが、すっぽ抜ける。琴奨菊に体を寄せられ、右上手でまわしを探られた。直後の一瞬、元大関の足が止まった。勝機を逃さなかった。素早くはたき、ぐらつかせて勝負あり。回り込んでから力強く突き出した。

 「考えていたら遅い。体の反応に任せた。普段やってることしか出せないし、次の攻め、次の攻めと。自分の思い通りにいかなくても、攻め直して良い形にすることが大事」

 注目を一身に浴びる新大関場所。2連勝スタートも、心身のバランスは手探り状態が続いている。初日は鼻血をこらえながらの土俵だった。この日も取組前に出血したことを打ち明けた。

 原因は不明。抗えないのなら、悩まない。「力を出し切ればそれでいい。相手に集中。それが15回、続く感じ」。大関とりも、一度は審判部の判断で見送りになった。力を出すことに集中した再挑戦で成就。そんな経験が、多少のアクシデントでは揺るがない落ち着きを生んでいる。

 八角理事長(元横綱北勝海)も「落ち着いているよね。(大関昇進の決め手となった)先場所の千秋楽は今以上に緊張しただろうから、その経験。優勝もして伸び盛り。伸びしろがあるし、勢いも感じる」と精神面の充実を評価する。

 幕内最年少の22歳ながら、自身とともに令和の角界を担うであろう若手の教育係の役割も任されている。今場所から、横綱大鵬の孫の納谷を付け人に従える。

 「アドバイスとかしゃべりかけるタイプじゃないから、相撲で見せられたら」。背中で語るお手本のような2連勝。新時代の土俵を、「無心でやったほうがいい」と迷いのない新大関が力強く彩っている。 (志村拓)

 

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