シリーズでお伝えしている『東京圏の “小商い” 』。2回目のきょうは、神奈川県逗子市です。SNSで 広告費をかけずに魅力的なライフスタイルを提案し、多くの客を呼び込んでいるケースを取材しました。
週末、多くの親子連れが住宅街の中にある里山に集まってきました。
宙にぶらさがった手作りのブランコや秘密基地作り。さらに、泥の滑り台まで。
およそ30家族が、会費を払い、東京などから参加しています。
参加した子どもからは
「楽しかった!」
Q.何が一番楽しかった?
「泥んこ!」という声が聞かれました。
大人も「子どもが崖を登ったり、泥んこになりながら遊んだりして、へとへとになって帰るときには『来てよかったな』という充実感が」といいます。
運営しているのは、塚越 暁さん、41歳。4年前、ビジネスとしてこの活動を本格的に立ち上げました。
「大人も子どもも、自分のその時の気持ちで感じるままに “何をやってもいいんだ” と。そういう場が本当に足りないと思い、それを僕らは作っている」
神奈川県逗子市は、都心から電車でおよそ1時間ですが、海や里山など豊かな自然に恵まれています。
以前は東京で大企業に勤めていた塚越さん。都会での子育てに充実感を得られず、ふるさとの逗子に戻って、いまの活動を始めました。
ただ、一番の心配は集客。元手が少なく、宣伝は費用のかからないSNSでしかできませんでした。
「SNSで世の中にシェアをして、みんなに無視されたり笑われたりしたらどうしようという不安が大きかった」
しかし、SNSの力は絶大でした。
フェイスブックに投稿した、自然の中で自由に遊ぶ子どもの姿が、都会の子育て世代の心をつかんだのです。
見た人が『いいね』や『シェア』をすると、投稿はその友人にも表示されるため、拡散の速さは予想以上でした。
参加者は「フェイスブックで紹介してもらい、子どもに見せて聞いたら『行きたい』って」 「いい活動を気軽に発信し、興味を持った人がちゃんと参加できるのはすごくいいと思う」といいます。
喜ぶ子どもの様子を撮影する参加者たち。それがインスタグラムなどに投稿され、さらに広がる共感が、逗子の里山の小さなビジネスを支えているのです。
逗子には、広告費をかけず、SNSで客を集める小さな会社が他にもあります。
ゼネコンを辞め、夫婦2人でユニークな建築業を営む中田裕一さんと妻の理恵さん。
依頼主にも壁塗りや床貼りなどを体験してもらう、参加型の家づくりを行っているのです。
「お客さんと一緒にやることで、愛着が生まれるとか。建物がどうやってできているかがわかるとか。知っていくほど 建物のことが大好きになると思う」
お客さんと一緒に家づくりを楽しむことが、中田さんたちにとっては 広告にもなります。
この日の依頼主は、飲食店を開こうとしている女性。タイル貼りの作業を一緒にやってもらいました。
「愛着とか・・・絶対毎日掃除しようという気持ち。『ずっときれいにしておきたい!』みたいな」
自分の家づくりに手応えを感じているお客さんの様子を、SNSにアップさせてもらいます。
中田さんは「SNSはすぐに発信して、またそこからつながりが生まれる。自分たちの思っていることと近い人たちに届きやすい。それが結果的に 一番効果的な宣伝になっている」と話していました。
誰もがSNSで発信し、共感が広がるいま、小さなビジネスにも大きな可能性が広がっています。
◆シリーズ【“小商い” で地域に生きる】◆
▽4月15日放送
▽4月17日放送
▽4月18日放送
◇野外体験活動について
「原っぱ大学」
※詳細は、HP・フェイスブックからお問い合わせ下さい。
◇参加型の家づくりについて
「中田製作所/ハンディハウスプロジェクト」
※詳細は、HP・フェイスブックからお問い合わせ下さい。