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リポート

“小商い” で地域に生きる 移住者の “身の丈” 起業 ~千葉 いすみ~ 4月15日

きょうからシリーズで東京・神奈川・埼玉・千葉、いわゆる『東京圏』の話題をお伝えします。

このエリアでは最近、 “身の丈に合ったビジネス・『小商い』” を個人で立ち上げようという動きが目立っています。『起業』というと、費用がかかり リスクが高いというイメージがあるかも知れませんが、千葉県いすみ市周辺では、移住してきた人たちが低コストで小さなビジネスを始めています。

 

東京から特急電車で1時間10分の千葉県いすみ市。

普通の民家の前に、月に1度 ケーキ屋さんの看板が出ます。売られているのは地元の果物をふんだんに生かし、植物由来の食材だけを使ったケーキ。

 

わかりにくい場所ですが、東京からも客がやってきます。

「毎月楽しみに来ています」 「フェイスブックを見て おっ!と思って」

 

作っているのは磯木知子さん。東京から移住して5年前からここでケーキを売っています。

「小商いですね。直接会って 話して 買ってもらうスタイルが合っている」

磯木さんは、以前は東京の洋菓子店で働いていましたが、豊かな自然にひかれて6年前、夫と いすみに移り住みました。

そして始めたのが、ケーキを1人で作って1人で売る小商いでした。

 

ケーキを作る工房は空き家を安く借り、宣伝は、自分で撮った写真をSNSにアップ。飾りに使う花は庭などで調達します。

必要な資材購入や営業許可の手続きを合わせても、初期費用は5万円ほどで済んだといいます。

「商売を始めたり、会社を始めたり、大がかりなことではなくて、自分で持っているものを生かしてできる範囲で始めることができる」

 

近年、豊かな自然を求めて移り住む人が増えている いすみ市周辺のエリア。

 

北海道でチーズ作りを学び、古民家を改装した工房でチーズ作りをしている30代の女性や、泥を使った染め物作りをしている3人の子どもを持つ女性など。

空き家が低コストで借りられることなどを生かして、小商いが盛んになっています。

 

そうした中、頻繁に行われるようになってきたのが 小商いの人が集まるイベント。この地域では、ほぼ毎週末開催され、1,000人以上の客が来ることもあります。

訪れていた人からは「ふだんスーパーで売っていないものがたくさんあっていい」という声が聞かれました。

こうした場が、新たに移住して小商いを始める人たちの生活を支えるようになっています。

 

以前 東京で金融機関を担当する弁護士をしていた男性は、いまは夫婦でお菓子や惣菜を販売しています。

「お金をぐるぐる回していても、誰も喜んでいる顔が見えない。こういうほうが幸せだと本当に思う」

 

ケーキ屋の磯木さんもこの日、およそ130個のケーキを作って出店。午後には完売しました。

「おいちい!」 「おいしい?よかったね」

 

磯木さんは「自分が表現したいこと、やりたいことを自由にできるのが小商いのいいところ。100パーセント自分しだい」と話していました。

自分の裁量の中で生きがいを見つける小商いの人たち。その生き方はこれからの地域社会を少しずつ変える力を秘めているのかも知れません。

 

小商いの人たちによるイベントの多くは、企画や運営も自ら行っていて、ケーキを作っている磯木さんも、年に何度かはイベントを主催するそうです。

問い合わせ先

◇イベントを開催した場所について
 「大多喜ハーブガーデン」
 千葉県夷隅郡小土呂2423
 電話:047-082-5331

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