つばさ勉強会

第6回勉強会

◆実施日:平成31年3月2日(土)1000~1200
◆場 所:北部協働センター
◆講 師:第2術科学校長 1教部長 近藤庸二2佐
◆内 容:ステルスとレーダーの戦い
◆参加者:会員30名

◆講義内容

1 ステルスとは

●軍事的な「ステルス」の区分
  ステルス=隠密、隠す→発見されないように
        (機体の大きさ、騒音、熱源)
●電子ステルスの方法
  レーダー反射波を少なく
    RCSを小さくする(吸収、別方向へ反射)
●レーダーとステルスの関係
  RCS小→探知距離短く(RCSの4乗根に比例)
    F-15(25㎡)500kmで探知するとすれば
    B-52(100㎡)707kmで探知
    F-35(0.005㎡)59kmで探知

2 ステルス機の歴史

●ステルス機実現のきっかけ
  ソ連の技術者の論文(ソ連では注目されず)
  米軍研究所が論文入手→ロッキードが開発
●ステルス機が求められた背景
  ベトナム戦 SAMによる被害→ECM(逆探知可能)
  隠密機の実現を目指す(相手に気付かれない)

3 ステルス機の種類(世代による技術進歩)

●ステルス機の弱点(空力特性、電波発信制限、兵器搭載量)
●米国(F-117、B-2(同じ重さの金と同価格)、F-22、F-35)
●中国(J-20、J-31)
●ロシア(Su-57)
●日本のステルス機導入と戦闘機体系
  F-4      → F-35A
  F-15     → F-35A(一部STOL)
  F-15(近代化)→ 能力向上
  F-2      → 将来戦闘機、独自開発に着手

4 ステルス機の探知技術

●バイスタティック(マルチスタティック)・レーダー
  移動物体の探知→データのやりとりや計算処理が不可欠
  MIMOレーダー:研究終了、開発着手
●VHFレーダー
  障害物の陰まで電波が回り込みやすい傾向→探知可能性
  ロシア:VHF方式、UHF方式、S(X)バンドの3レーダーで構成
●量子レーダー
  "量子もつれ"を利用、量子レーダーは妨害不可能
  電子的な妨害を避け、高いバックグラウンドノイズの領域で動作可能
  まだ実現されていない 理論研究の段階

5 将来戦闘機に見る航空機の様相

将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」(平成22年)
  ・戦闘機を巡る動向
  ・戦闘機の世代推移予測
  ・将来戦闘機コンセプトから見る戦い方

「後記」

 内容的にはかなり専門的で高度な内容であったにも拘わらず、具体的データと写真、イラストを織り交ぜたパワーポイント資料により、レーダーの基本、ステルス技術の歴史・進歩、更には電子戦に踏み込んだ運用方法まで、分かりやすく説明していただき、将来戦闘機まで含め最新の技術動向を知ることができた。  

(内田記)

 

第6回勉強会の様子

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