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【大相撲】

貴景勝に心配は無用だった

2019年5月13日 紙面から

◇北の富士評論「はやわざ御免」

 令和元年夏場所初日も無事に終わった。なぜかホッとしていたのは、どうやら私だけではなさそうだ。幕内の取組も初日にしては力士の動き、そして相撲内容も悪くなかった。私が優勝候補の筆頭に挙げた豪栄道が、北勝富士に相撲をさせない圧倒的な強さをみせた。やはり私の目に狂いはなさそうである。

 次に名前を挙げた鶴竜も、これまた会心の取り口で実力者の御嶽海を一気に押し出して快勝。ますます私の見る目の確かさに大いに満足で、非常に気分が良い。

 少しだけ心配された新大関の貴景勝も、くせ者の遠藤を問題にせず押し出した。いらぬ心配をして損をした気分だ。この調子なら、今場所もやってくれそうである。

 栃ノ心も200キロ近い千代大龍を高々とつり上げ、復調ぶりをみせてくれたのは頼もしい。この分なら返り咲きの10勝は、そう難しくはないかもしれない。

 ところで、高安は相当に腰が痛そうだ。仕切りを繰り返すのも辛そうで、とても相撲の取れる状態ではないのではないか。もう2、3日取ってみてダメなら休んだほうが良い。引退した稀勢の里に1勝20敗の話は、いくら稽古とはいえしゃれにもならない。

 下位では、炎鵬が鮮やかな相撲で巨漢力士を翻弄(ほんろう)して場内を熱狂させていた。舞の海二世の出現である。くれぐれもけがには注意をしてもらいたい。宇良の二の舞だけはしてほしくない。

 ざっと初日の相撲の印象を述べてみたが、優勝は三役以上の全員にチャンスがある。白鵬が休場したので13勝あたりが優勝ラインとみる。だから、序盤戦が終えるころまでは予想はできないだろう。従って、優勝争いはおもしろくなるというわけであります。

 初日の話はこれくらいだが、テレビ中継で死去が発表された元横綱の北尾(双羽黒)は、確か八角理事長と同期。まだ若いのに、一体、何があったのだろうか。左の上手を引くと、振り回すような上手投げが強かった。他愛のないことで土俵を去ったが、残念なことである。

 それに、黒姫山さんも場所前に亡くなった。私と散歩コースが一緒で元気だったのに、突然の訃報に驚いた。右の追っつけが強烈で、私は左の肋骨(ろっこつ)を折られ、休場に追い込まれたことがある。デゴイチ(蒸気機関車のD51)と言われ、恐れられたぶちかましを思い出すと、今も左の脇腹がうずく。合掌。

 それから、先日の俳句の件だが、私はまだ一句も作っていないのに俳人とはおこがましい。本屋に行って、入門書でも買ってこよう。千秋楽までに何とか一句、詠んでみたいものだ。

 それから、勇躍、ゴルフに行ったが散々なスコアに終わってしまいました。俺には才能がないのがよくわかった。もう、やめようと思うが、酒も女性もゴルフもダメなら生きる意味がない。だから全部続けることにした。あしからず。

 またくだらない話で長くなった。2日目からはサラッと短くやりたいと思います。 (元横綱)

 

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