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【大相撲】

ド派手な船出! 新大関貴景勝「令和」の主役へ快勝発進

2019年5月13日 紙面から

遠藤(右)を下し、新大関で初勝利を挙げた貴景勝=両国国技館で(神代雅夫撮影)

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◇夏場所<初日>

 (12日・両国国技館)

 新大関の貴景勝(22)=千賀ノ浦=が平幕遠藤を一方的に押し出し、大関の第一歩と令和の初日を白星で飾った。一人横綱となった鶴竜(33)=井筒=も危なげなく小結御嶽海を押し出し、白星スタート。上位陣では大関高安が敗れた。新入幕は炎鵬(24)=宮城野=が徳勝龍を寄り切ったが、志摩ノ海(29)=木瀬=は矢後にはたき込まれた。

 とにかくド派手な新大関の船出だった。貴景勝が過去1勝1敗の遠藤を、もろ手の押しと合間の細かい突っ張りで圧倒。最後は上体を浮かせ、片足立ちになった相手を押し出す完勝だった。

 「ヘタレみたいな変な迷いをなくして行こうと思いました。いつも通りやればいいだけ。自分の中で『もっとやれた』という相撲だけは、取らないように気を付けた」

 新時代「令和」の新大関初日と、初めて尽くしの一番。朝稽古から普段通りに平静を装い続けたが、心も体も高ぶっていた。花道に入る直前、鼻に詰めたティッシュを取ると血がついていた。

 「気合入ってるからかな」。土俵下で取組を待つ間も鼻血は止まらなかった。「相手に分かっちゃうとアレだから」と弱みを悟られないように、はなをすすった。流血で勝負に水を差す事態は回避。気合を突き押しのパワーに変えてみせた。

 母の日と重なる夏場所初日は、負けなしの5連勝。ただ、角界入りしてからはプレゼントを用意したことがない。「プロだから」。白星で、感謝の気持ちを表現し続けている。

 白星発進は、初優勝を遂げた昨年九州場所から4場所連続となった。過去3場所は13勝、11勝、10勝。この日、両国国技館に足を運び、息子の勇姿を見守った父の佐藤一哉さん(58)は「強くないと大関にはなれない。平常心でやれば大丈夫」とファンの思いを代弁。不安よりも期待の大きさを強調した。

 まずは多くの“初”の重圧に打ち勝った。それでも、特別な意識は「ないですね」と新大関は表情を変えなかった。「15の壁を一つ一つ壊していく感じ。一気に5枚割れるわけじゃない」。勝っておごらず、令和の主役への道を歩んでいく。 (志村拓)

 

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