@chablis777  
シャブリ

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♪~
(泰樹)結婚する気はあるか?照男が相手ならそういうことは 考えられんか?
(なつ)一度でも思ったら…もう家族には戻れんよ…!
♪~
(物音)
♪~
ここは どこなんですか?
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪「口にする度に泣けるほど憧れて砕かれて」
♪「消えかけた火を胸に抱きたどり着いたコタン」
(弥市郎)砂良があんたを見つけて助けたんだ。
サラ?
娘だ。
あの… ここは おじさんの家ですか?
ああ 森の奥にある。
あっ 俺は 阿川弥市郎だ。
私は 奥原なつといいます。
柴田牧場に住んでます。
あっ 今 何時ですか!?
(砂良)これかい?あ… すいません。
もう夜中なんですね。
早く帰らんと みんなが心配します。
外は まだ 風が やまん。
この闇夜に動くのは無理だ。
したけど…。
死にたきゃ帰れ。
みんなが 私を捜してるかもしれないし…。
大丈夫よ。
あんたが 外にいると思ってるんなら捜す方は とっくに諦めてるさ。
えっ?今頃は 死んだと思ってる。
明日の朝 生きて帰ればいいだけよ。
そうかもしれん…。
私 友達のところに行こうとしてたんです。
だから 家では 今頃友達のところにいると思ってるかもしれません。
そんで その友達はもう 今日は来ないだけだと思ってるかも。
えっ だったら 私 もし死んでても誰にも気付かれなかったってことですか?
あなた 芝居してるでしょう?
芝居なんかしてません!本当のこと言ってます!
そじゃなくて 農業高校の演劇部で。
えっ?(砂良)倉田先生の生徒でしょ?
えっ 知ってるんですか? 倉田先生を?
よ~く ここへ来て俺らの話をしつこく聞きたがっていたからな。
ああ… あの先生いろんな人の話を聞きたがるんです。
お前の思い じいちゃんに響かせろ。
ハハハ… 見たぞ あんたの芝居。
あ~…。
(砂良)倉田先生がどうしても見てくれって言うから。
そなんですか。
今日 泣いてたべさ? 歩きながら。
あ…。それ 見てたんだわ。
もうじき 吹雪になるのにのんきに泣きながら歩いてる人がいるな大丈夫かなって見てたら あんただった。
のんきに泣いてるつもりはなかったんだけど…。
それが 命取りになってお二人に ご迷惑をおかけしたんですね。
すいません…。あんた しっかりしてんのか子どもなのか 分かんないね。
あっ はい…。
多分 しっかりした子どもなんです。
自分で言うか。 ハハハ…。
ハハハ…。
(剛男)なつは 本当に天陽君ところに 無事着いたんだろうか?
(富士子)そんな…おっかないこと言わないでよ。
あっ… ごめん。
今頃 天陽君とどんな話をしてるんだろう。
本当に 照男の気持ちはそれでよかったのかな。
(照男)じいちゃん 俺は ダメだった。
なつは やっぱり 妹にしか思えないよ。
なつのことも 真剣に考えてあの子が出した答えなんだから。
きっと 何も変わってない。
私たちは 何も変わってないはずだわ。
♪~
これは どうするんですか?
もちろん 売るんだ。ここに 買いに来る人がいるんですか?
ここに来るのは 本物の熊か…雪女ぐらいだべ。
私が 雪女ですか?
雪女というよりは… 雪ん子だべ。
子どもで すいません。
しっかりした子どもな。ハハハ…。
帯広の土産物屋に持っていくんだわ。
お土産か…。
土産は 生活のためだけどそうじゃないのも作ってるわ。
弥市郎さんは 芸術家なんですね。
昔は 東京で 教師をしてたんだ。
学校の先生だったんですか?
終戦後に こっちに来て開拓はせずに 森に入ってこんな生活を始めた。
先生は 辞めたんですか?
さんざん 子どもたちに軍国主義を たたき込んできたからな。
続ける気にはなれんかった…。
魚 焼けたよ。 食べない?今日は 湖に これを取りに行ってその帰りに あんたを見つけたのよ。
もしかしてその魚は オショロコマですか?
倉田先生の芝居に出てきた!
(砂良)そ。 オショロコマ。
それじゃ あなたが…砂良さんが 白蛇の化身だったんですね!
は?きっと 倉田先生はあなたを モデルにしたんです。白蛇の化身を。
だから 助けてくれたんですね。
何でもいいから食べれば?
ありがとうございます。
んっ 本当においしい! オショロコマ。
砂良の母親も 空襲で死んだんだ。
えっ?
俺たちも あんたと同じだ。
空襲で 大事な人を失って 北海道に来た。
だから 倉田先生は あんたの芝居を俺たちに見せたかったんじゃねえのかな。
おじさんは 戦争を恨んでますか?
もちろん 今は恨んでる。
この子の母親を思い出す度怒りが込み上げてくる。
助けてやれんかった自分に対する怒りもな。
どしたらいいんですか?
そういう怒りや悲しみはどしたら 消えるんですか?
自分の魂と向き合うしかないべな。
魂…?
消さずに それを込めるんだ。
魂を込める?
そういう怒りや悲しみから新たな絶望を生まないために俺は こうやってこの木の中に閉じ込めてる。
それを 自分の魂に変えるのさ。倉田先生だって きっとそうだ。平和を祈って 魂込めてああいう芝居を作ったんだ。
はい…。
これは 何ですか?
分からん。
木の魂… 木魂としか言いようがねえべな。ハハハ。コダマか…。
♪~
(弥市郎)帰るのか?
すいません。早く帰らんと みんなが心配するんで。
目の前の森を まっすぐ行けばいいだけだ。気を付けてな。
はい。 本当に ありがとうございました。
♪~
♪~
なつよ…その目に映るもの 全てに 魂を込めよ。
♪~
(天陽)おはようございます!
おはよう。
あの… なっちゃんいますか?
(富士子)照男!俺のせいだ!
俺が行けって言ったんだ!待ちなさい!
あっ… ほら…!


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