2019年の大河ドラマは、宮藤官九郎オリジナル脚本の「いだてん~東京オリムピック噺」です。
「いだてん」は、1912年のオリンピック初参加から、1964年の「オリンピック」開催までの激動の52年間を、歴史に翻弄されたスポーツマンたちの姿を通して描く「東京&オリンピック」の物語。
2020年の東京オリンピックを目前に控えた2019年の大河ドラマにふさわしい題材ですね。
こちらの記事ではドラマ『いだてん~東京オリムピック噺』の第6話と次回の第7話のネタバレや感想とあらすじを紹介していきます!
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「いだてん~東京オリムピック噺」第6話あらすじや感想とネタバレ
第6話あらすじ
オリンピックに送るに足るだけの選手を見つけて喜ぶ治五郎(役所広司)だったが、派遣費用が莫大で頭を抱える。おまけにマラソンを制した四三(中村勘九郎)は、負ければ腹切りかと恐縮し、短距離の覇者・弥彦(生田斗真)は帝大後の進路を考えたいと出場を断る。そんな二人に治五郎は「黎明(れいめい)の鐘」になれと熱弁する。そのころ、若き日の志ん生こと孝蔵(森山未來)も師匠・橘家円喬(松尾スズキ)に、車夫ならば落語に登場する東京の街並みを足で覚えながら芸を磨けとヒントをもらい、東京の“へそ”日本橋界隈をひた走る。
第6話の感想やネタバレ
第6話の感想
この時から可児さんは優勝カップのことをいつ言い出そうか思案していたと思うと少し笑えます。
所々にこういったシーンがあって、とても好きです。
明らかに愛想笑いの四三。絶対分かってない!(笑)
1年も便りをよこさないで、いきなりお金ですか…。「頼りがないのは元気の知らせ」とはよく言ったもんです。
始まりの地・日本橋で、それぞれの夢に向かって走り始めた2人がすれ違う…。ぐっと来ましたね!
治五郎先生の熱意はすごいですね!しかし、借金は返してないらしいですが(笑)
引き受けちゃった四三さん。初めはお金出してくれると思ってましたもんね。けど、うま~く口車に乗ってしまいましたね。さぁ、実次はどうするのか…。そして、やはり、終盤の四三と孝蔵がすれ違うシーンはぐっと来ました!!どうやら後ろの花火が五輪のマークだったとか…。
第6話のネタバレ
新しい足袋
四三は、播磨屋に謝ろうと店を訪れる。しかし、なかなか中に入れない四三。そこへ清さんが通りかかり、一緒に予選会に出ていたこともあり、四三の背中を押す。恐る恐る中に入った四三。すると、播磨屋は底を3枚重ねにした厚い足袋を完成させていた。四三は大喜びで走り出す。
資金繰りの壁
明治44年、オリンピックの代表を決定する会議が開かれる。そこには大日本体育協会の面々が集まっていた。しかし、大日本体育協会にはお金がなかった。明るいニュースと言えば、フランス大使館のジェラールから「おめでとう」の一言だけだった。そんな中、代表候補に挙がったのは、四三、弥彦、佐々木、井手、明石の5名。出場にあたり、渡航費、滞在費を合わせると、一人千円、つまり五千円はかかると言う。当時の五千円は、可児の給料7~8年分ほど。相当な大金に悩む一同。肝心の文部省はというと、国立大学の学生は国費で学んでいるにも関わらず、1ヶ月も海外で遊ばすなど話にならないと言っている。治五郎は世界記録を出しているのだと怒るが、安仁子はある新聞記事を見せる。そこには、四三の記録は誤測ではないかとあり、ますます怒る治五郎。そして、窓を開け、ひた走る四三を指差し、オリンピックに向けて練習しているのに、金が無いから連れていけないとは言えないと語った。資金援助を受けられない大日本体育協会は、選手の費用を全て負担することとなる。そこで可児は謝罪した。その理由は、羽田での予選会の優勝カップを経費で作ってしまったからだった。そして、計算の結果、1人しか連れていけないと可児が話す。そこで治五郎は四三には援助し、弥彦には自腹で言ってもらおうと考えた。
出場者、決まらず。
治五郎らは早速四三を呼び、オリンピックの代表となったことを告げるが、四三は断った。実は四三は羽田のマラソンがそんな大会だとは知らず出場し、オリンピックが何かも知らず、出場して負ければ切腹モノだと勘違いしていた。森本もオリンピックはそんなものではないと説明するが、イマイチ伝わらず、土下座して、「出ない」「負けたら生きては帰れない」という四三を見て、治五郎は「がっかりした」と連呼し、部屋を出ていった。さらに、弥彦まで参加を拒否する。予選では出ないと言いつつ、審判員として見ているうちに闘志に火が付いたと説明した。治五郎は弥彦を審判として連れて行くと言うが、それでも行かないと言う弥彦。文部省のお偉いさんからも釘を刺されたと断固断った。
大日本体育協会の会議室では揉めに揉めた。2位だった佐々木を出そうかという案もあったが、世間が納得しないだろうと言う治五郎。
この頃、中国(清)で辛亥革命が起こり、清からの援助が途絶えた留学生が帰国するとパニックを起こす。この留学生たちは羽田運動場建設に大きく貢献した生徒たちだった。そこで治五郎は学費は何とかすると言い切り、留学生の大半を残留させたが、数億円にもなる大借金を抱えてしまう。(治五郎は生涯、この借金を返せなかった)
四三の決意
そんな中、四三が校長室を訪れ、優勝杯を返却しようとする。そこで治五郎は改めて説得する。負けても切腹などしないと言い、ベストを尽くせばいいと諭す。そしてオリンピックの起源を説明した。また、かつて勝海舟が日米修好通商条約を結ぶ時、日本人はちょんまげに刀を差し、山猿とバカにされた話をする。つまり、初めに何かをするのは、とても勇気が必要で、しかし、その任務を負う者がいなければ、革新はないと話す。日本のスポーツ界のために黎明の鐘となってほしいと頭を下げた。その言葉に心動かされた四三は出場を決意。
しかし、治五郎は留学生の支援もせねばならず、四三をストックホルムへ滞在させる資金がない。そこで、治五郎は四三が国を背負うことを不安に思っているのを逆手に取り、費用を自分で出せば、その重圧から逃げられるのではないかと上手く言いくるめ、四三に自腹で参加を促した。
四三は一年ぶりに実家に手紙を書いた。何も知らず参加した羽田のマラソンで世界記録を出し、代表に選ばれ、嘉納治五郎に頼まれやむを得ず引き受けたことを包み隠さず記し、1800円もの大金が必要だと書いた。
昭和35年
田畑は芝でひどい渋滞に巻き込まれていた。その横を足袋で走る一人の男。運転手はそれに気づくが、田畑は気にしない。それより、ラジオから聞こえる落語が、志ん生か円生かを気にしていた。
明治45年
円喬に弟子入りした孝蔵は、車で円喬を乗せ、上野、浅草、人形町、日本橋をひた走っていた。円喬は車の上で落語の稽古をする。円喬はある日、孝蔵の好きな落語を聞き、その中の富久を話す。聞き入る孝蔵に落語は足で覚えろと言った。その頃は分からなかったが、後に志ん生は高座で、その土地を歩き、その土地の人の気持ちに触れろということだと語る。
四三のコース
ある日、清さんに練習コースを聞かれ、良くないと言われる。そして播磨屋の辛作は本番と同じような道がいいのではないかと言い、石畳が多いストックホルムに合わせ、日本橋がいいと分かる。そしてストックホルムは水の都だと聞いた清さんは、芝がいいと言った。その後、四三は上野から浅草、日本橋から芝へ続く道をひたすら走り続けた。
志ん生の富久
志ん生は五りんに富久を聞かせる。五りんの父親がハガキに「志ん生の富久は絶品」と書いていたからだ。
さて、明治の田畑は、日本橋に差し掛かった頃、ラジオから聞こえてくる落語が志ん生だと気づく。富久は本来浅草から日本橋を行って来いする噺だが、志ん生は勝手に日本橋から芝へと変えたのだ。田畑は、なぜ距離を延ばしたのかと聞かれ、「そんなに走る馬鹿いないからじゃねぇか」と答えたが、その横を芝で見た足袋の男が通り過ぎる。
「いだてん~東京オリムピック噺」第7話あらすじや感想とネタバレ
第7話あらすじ
治五郎(役所広司)の口車にのせられて自費で渡航費を用意しなければならない金栗四三(中村勘九郎)は、兄・実次(中村獅童)に藁(わら)にもすがる気持ちで資金援助の手紙を出す。いよいよ出場選手としてオリンピックのエントリーフォームに名を連ねる四三と弥彦(生田斗真)。弥彦の豪邸で海外の食事マナーを学びながら、四三は、三島家の冷めた親子関係を感じ取る。それは貧しくとも自分を応援してくれる家族とは全く異なる姿だった。しかし、いっこうに兄からの便りがなく困り果てる四三。そんなとき、目の前に救いの神が現る!?
第7話の反応と期待の声
第7話の展開予想
次回、四三の手紙が実家に届きますね。さて、実次はどうするのか…。おそらく、四三を応援するのではないでしょうか。
第7話の感想やネタバレ
第7話の感想
可児さんは終始いい人ですね!!こんな先生に出会えた四三はラッキーですね。
透明感がありますね!!そして、この池部家はきっと嫁ぎ先ですね。
迫力がヤバイ!!(笑)女西郷!!
さすがに「crabu=蟹」はちょっとひどいですね(笑)。まぁ、フォーティースリーもどうかと思いますが(笑)
かなり、大森夫妻をディスってましたからね…。お互い気まずいですね。
違うと知った時の永井先生を見てみたい(笑)
同じオリンピックに出る二人の境遇の違いがハッキリ見えた回でした。しかし、金がある弥彦が必ずしも幸せかは分からないと思いました。そして、やってきました!!実次!!なんだ、あの格好は…(笑)と思いましたが、やはり感動しました。
第7話のネタバレ
(可児)あっ ちょっと すいません。
(可児)ほらほら 走れ。
はい!
ちょっと ちょっと… 待てよ。
待てって。
(治五郎)金栗君が 自費で
オリンピックに行きたいと
言いだしてね…。
(弥彦)そうですか。
本人は 実に謙虚なんだが…
何せ 世界記録だからね。
確実に メダルは狙えるだろう。
…で どうする?
はい?
君のような 日本の未来を
しょって立つ若者に
先進諸国のスポーツ文化を
見てもらいたい。
これは遊びじゃない。 視察だ。
文部省に文句は言わせん。
返事は急がん。
いやいや 返事 してますよね。
先ほどから何度も。
行きません。 学業を優先します。
まあ 記録がね…。
えっ?
いやいや…。
えっ… えっ 記録が何ですか?
いや… 確かに 羽田の決勝では
君が12秒で群を抜いておった。
しかし 世界レコードが…
あ 10秒5分の4だもんな。
いやいやいや…。
君の優勝に異議を申し立てる
抗議文が少なくなくてね。
「そもそも 審判員の三島弥彦には
出場権が与えられていない」。 ああ…。
「記録とて 実に怪しい」。
「天狗か何か知らないが
まぐれじゃないのか?」。
便りの… 来んとです。
何?
金の無心ば したばってん…。
「1,800円という大金が必要です」。
(勝蔵)カンチョー!
ああっ!
「どうか どうか工面して頂けませんか?」。
いっちょん 返事の来んとです。
(ため息)
兄も母も 自分が走ることを
よく思っていません。
それでなくとも 1,800円もの大金
出せるわけがありません。
しかし どうする?
出発まで 三月を切ったぞ。
学校は休学します。
金は… ひとまず借金します。
そんな… そんなにまでして 君…
オリンピックに出たいのかね?
はい。 嘉納先生のお言葉ですから。
厳格な… いや 崇高な…
いや 偉大な… いや と…。
と?
と…。
と…?
あっ 都会的な?
とつけむにゃあ人です!
その嘉納先生が 行けとおっしゃる。
断る理由は なかです。
何を言ってるんだ 君は。 そんなこと
言われたって ないものはないんだよ!
すいません!
(3人)ああ…。
辛亥革命の借金もある。
積もり積もって10万!
今や 私は10万の男だぞ!
はい!
いや しかし 一度は出すと言った手前
せめて 旅費の500円だけでも
我が体協が…。
出せるのかね?
あいにく 手元に現金が…。
だったら 黙っていなさい!
(孝蔵)<嘉納先生が怒るのは無理もない。
10万といえば
今の貨幣価値で ざっと数億円>
(大森)三島君は どうなりましたか?
(安仁子)赤ゲットの四三だけでは
ホームシックになりかねない。
…というのが
ヒョウの意見です。
引率する監督がいれば別だがね。
回想
引率する監督がいれば別だがね。
(永井)弥太郎氏が許可せんでしょうな。
横浜正金銀行は弟の弥彦に任せ 本人は
近々 日銀総裁に就任するということだ。
金があるのに行けない三島に
行けるのに金がない金栗か。
三島君は行くよ。
(弥太郎)どういうことだ?
(弥太郎)分かるように説明しなさい。
酒とタバコを ピタリと
やめたそうじゃないか。
俺は許さんぞ。 断じて 三島家…。
よし!
何をしてる? 弥彦は何をしておるのだ!?
(福田)え 今から郵便物ば配る。
名前ば呼ばれたもんは出るように。
(福田)どぎゃんした? 金栗。
金栗の郵便物…。
金栗の?
なか… ですよね。 すんまっせん。
おっ あったばい。 金栗。
はい。
(実次)「前略 四三よ
あっぱれ。 よくやってくれたぞ」。
おお… 実次 四三が新聞に載っとるばい!
(実次)えっ?
見や!
(実次)何?
(実次)「家中の者も 皆 喜んでおる。
お前は 家門の誉れだ」。
(スマ)四三が治五郎先生につんのうて
外国に行くてちばい! アハハ…。
(実次)「お前が 外国に行けるのは
千載一遇の好機だ。 行ってこい。
行って 力いっぱい 走ってこい。
やはり お前は とつけむにゃあ男ったい」。
金栗?
あっ… 可児さん…。
えっ?
(実次)「兄ちゃんは 毎日 陰膳を据えて
お前の武運長久を祈っておる。
母さんも 神棚に手を合わせて
健闘ば祈っておる。
金のこつは案ずるな。
必ず 俺が なんとかする。
お前は 何も心配せんでよか。
たとえ 田畑を売ってでも
必ず 外国へ行かせてやる。
お前には それだけの価値があるったい」。
なし 可児さんが泣くとですか。
だって… だって…。
よかったな 金栗。
はい… はい。
(可児の泣き声)
はい!
(泣き声)
あ!
(泣き声)
「ようっ!」
(太鼓の音)
「ようっ!」
(拍子木の音)
ひゃあ!
「前略 兄上様の本当の優しさば存ぜず
ただ わからず屋のコチコチだと
信じ込んでいたこと
どうか お許し下さい」。
ありがとうございます。
(鐘の音)
おはようございます。
おはよう。
「兄さんの力で育てられ
東京高師にまで行かせてもらい
外国にまで行かせてもらえる。
四三は 幸せ者です」。
失礼します!
≪(治五郎)入りたまえ。
はい!
金栗四三君だ。
紹介するまでもないが韋駄天だよ。
改めて 三島弥彦だ。 よろしく頼むよ。
はい!
韋駄天と痛快男子の
そろい踏みだ。 フフフ。
座りたまえ。
座らんのだよ 金栗君は。 ハハハ。
さあ 可児君 いいかね?
はい もちろん。
さあ こちらへ。
お願いします。
たかが かけっこごときに
夢中になる年でもありません。
ストックホルムへは行きません。
そぎゃん立派な大会なら
なおのこつ 無理です。
そもそも 羽田ん あれが
そぎゃん大きな大会とも知らんで…。
よし。 これで君たちは
オリンピックの日本代表だ。
金栗君 三島君。 勝てとは言わん
精いっぱい闘ってきてくれたまえ。
はい!
はい!
(拍手)
ばんざい!
(一同)ばんざい! ばんざい!
(志ん生)ハハハ…。
あたくしの出番か。
(笑い声)
え 断っておきますが 今日
あたくし あんまり出番がないんです。
この間 ちょっと頑張り過ぎちゃったんで
調整日になっております。
(笑い声)
(可児)ストックホルムへは
陸路で向かいます。
シベリア鉄道で 2週間かけて
ロシアを横断するコースです。
(弥彦)僕ら2人だけですか?
それは…。
もちろん 私のほかに
1名ないし2名の同行者はつける。
その上で 2人には
英会話のレッスンを受けてもらう。
安仁子さん ちょっと こちらへ。
(安仁子)はい。
あっ…。
安仁子。
(英語で)
(治五郎)西洋式の礼儀作法
食事のマナーも身につけてもらう。
えっ… 飯の食い方まで?
ハハハ…
洋食は箸は使わんからね。 フフフフ。
それなら 我が家に
コックも給仕もおります。
差し支えなければ
うちで やりませんか?
あっ それは助かる。
是非 お言葉に甘えて。
なあ? 可児君。
えっ? あっ すいません
ちょっと聞いてませんでした。
(弥彦)あとで 地図を描いてあげよう。
あっ あの… お世話になります!
ヘイ! かしこまるな 金栗天狗!
僕と君は 盟友なんだぜ?
あ…。
(孝蔵)<え お茶の間の皆さんは
彼の暑苦しさに慣れてきた頃でしょうが
四三君にとっては これが ほぼ初対面>
おいおい… 怪我するなよ。
や!
(一同)ああ…。
(野口)金栗さん オリンピック
自費で参加するって本当なんですか?
(橋本)国から 金は出ないのですか?
(野口)世界記録ですよ!?
国を背負って闘うのに 自弁とは。
(平田)一体 いくらかかるんですか?
ざっと 1,800円とか。
(一同)1,800円!?
心配せんでよか。 国の兄さんが
ちゃんと援助ば してくれるらしか。
(美川)それはいかにも眉唾物ですね。
(野口)美川さん。
とにかく厳しい…。
とつけむにゃあ!
鬼のような倹約家で 石頭の頑固者。
そのくせ 野心の塊で 誇大妄想狂。
とても 快く金を出すような種類の
人間じゃありません。
びた一文 出さんでしょうな。
出すて言うてしもうたとです。
ご承知のとおり うちは
酒蔵も潰してしもうて
先立つもんもなか。 ばってん
何としても行かしてやりたか。
金ば 工面してやりたかとですたい!
(金栗キヨメ)また 見栄ば 張りおって!
世界記録 出したとよばい 四三は!
こぎゃん名誉なことは なかととばい!
(春野)まあまあ まあまあ 実次さん
いや 俺も 力になりたかばってん
そぎゃん大金は… なあ。
(子どもの泣き声)
こうなったら
田んぼば 手放すしかなかね。
田んぼ…。
(泣き声)
(実次)田んぼは 最後の手段ばい!
これ… 春野先生
こん魔よけば刀 買うて下さい!
(春野)「魔よけ」て
ばってん それ 効き目なかったもんね。
お亡くなりになったでしょう お父さん。
(スヤ)お父さん
池部さんは どぎゃんやろか?
えっ… 池部さんって あの…
玉名の庄屋さんですか?
いや… スヤ よかね?
スヤさん。
すいまっせん。
いらっしゃい。
いらっしゃいませ。
どぎゃんしました? 実次さん。
あ やっぱり 恐れ多かですけん。
心配なか。
重行さん。
(重行)やあ スヤさん。 よう来たね。
お客さん?
はい。
(重行)まあ 家にあがらんね。
(スヤ)行きましょう。
(重行)足元 気を付けて。
はい。
もう どこ?
ばばっ!
ば…。
あっ あああ…。
あっ ああ… いや あの…。
いや… 違う違う…。
おい 金栗君!
あ!
(弥彦)玄関は遠いから 庭から入りたまえ。
すいまっせん!
すいません…。
(和歌子)ご無礼をば。
(せきばらい)
お母様は 了承しておられるのだよね?
オリンピックの件。
僕から 正式に
ご挨拶した方がいいのかな?
(弥彦)ピアノでも弾きましょうか?
えっ? いやいや そんな…。
えっ 君が? ピアノ… どこに?
金栗君 君 趣味は何かね?
しゅ… しゅ… しゅみ?
僕は最近 キャメラに熱中していてね。
(可児)ピアノじゃないのか。
(ピアノ)
自分で現像もするんだ。
食事を終えたら見せてあげよう。
母上 おいででしたか。
(可児)ご無沙汰しております!
大日本体育協会の可児です。
シマ 紅茶を5つ テラスに頼む。 大至急。
(シマ)はい。
ハハハ… 透明人間になった気分だ。
(弥彦)そろそろ始めましょうか。
金栗君 おなかすいただろ。
趣味は走ることです。
(安仁子と可児の笑い声)
すんまっせん。 ばってん
走る以外 何も楽しみは なかです。
(和歌子)熊本人じゃ。
母はね 外摩人なんだよ。
うわ そぎゃんですか!
いや うちは田原坂の近くで
西南戦争の話ば 父から よう聞かされ…。
意味んなか話 まだ続けやっとな。
いやいや… ハハハ…。
(安仁子)ハハハハ!
便…。
いや… 厠へ。
(ため息)
あっ…。 あの これですか?
失敬。
えっ 乃木さん?
<そうです。 日露戦争における悲劇の将軍
乃木希典大将が たまたま居合わせる
当時の三島家は 政財界の要人たちが集う
サロンだったのです>
頂きます。
お母様も立ち会われるのかね?
フォーティースリー。 ポッポ。
フォーティー… 何?
(安仁子)スプーンは 手前から向こう。
手前から…。
すんまっせん。
(スープをすする音)
オ!
(安仁子の英語)
頂きます。
ノー! ノー ノー ノー。
フォーティースリー
ナイフの持ち方は こう!
あっ 「四三」。
つまり 43という意味ですな。
安仁子…。
ああっ!
ナイフで人を指さない。
あっ すいません。
頂きます。
そん「頂きます」は
毎度毎度 言いやっとな?
フォーティースリー
英語で「頂きます」は何ですか?
あ… えっと…
何でしたっけ?
そんな言葉ありません。
そのテーブルで 一番目上の人が
手をつけたら食べ始める。
それがマナーです。
すんまっせん。
(シマ)金栗さん… 金栗さん。
あの…
これ 私たちが食べるものですけど
よかったら
寮に帰ったら召し上がって下さい。
あっ ごめんなさい。
ほとんど お口にされてなかったので…。
すいまっせん。
あっ いや 私じゃなくて弥彦坊ちゃまが。
すいまっせん。
何もかんも違うな。
ピアノ 写真機… 乃木大将…。
こぎゃん裕福なうちの子じゃなきゃ
出られんとですな オリンピックは。
私は うれしかったです。
えっ?
頂きますって言ってもらえて
うれしかったです。
あっ… ここは日本だし 日本人だし
言っていいと思います。
頂きます。
10里も走るって どんな気持ちですか?
えっ?
疲れるだけなら走らないと思うんです。
疲れた先に何か
10里走った人にしか分からない
喜びっていうか ご褒美みたいなものが
あるんじゃないかなって。
いっちょん分からんです。
えっ?
分からんけん 走っとっとです。
失礼します。
まだ反対しとるのかね?
(可児)ええ。 仏頂面で にらまれて
マナーどころじゃないですよ。
で また 安仁子が…。
アハハハ!
容赦ないんだ。
出た 安仁子。
大体 何なんだ あの出しゃばり女は。
もともと 大森氏は アメリカ滞在中
安仁子のハウスボーイだったとかで。
その ハウスボーイってのは?
小僧ですな。
そりゃあ 尻に敷かれるわ。
(笑い声)
ところで ミスター クラブは
なぜ くっついていったのかな?
あ いや 校長に
行けって言われたんです。
やはり 可児君が選ばれたのか。
いえいえ いやいや。
もう 金栗君一人じゃ
劣等感で縮み上がっちゃうだろうから
君が アメとムチの アメをやれと。
そりゃ 私には務まらん。
私じゃ ムチと肋木だ。
ハハハ… いえいえ
いや 永井さん 思い出して下さい。
校長は 1人ないし2人の同行者を
考えてると おっしゃいましたよ。
いやいや…。
≪(せきこみ)
永井さん… 永井さん 永井さん。
≪(せきこみ)
誰だ… あっ!
あっ…。
アイム ソーリー。
か… 可児君 可児君…。
何も聞こえなかった。
(せきこみ)
<兄の実次からは何の音沙汰もないまま
2か月が過ぎていった>
(美川)これ 届いたの いつ?
うん… 一月… いや 二月近く前?
はあ… 金栗氏
催促した方がよくないかい?
そぎゃん厚かましかこつ できんばい。
そんに ほら 手紙には
「たとえ 田んぼば売ってでも」…。
売るわけないだろう!? 田んぼは 命の源!
兄上に負担ば かけとうなかけん
ほら こぎゃんして
本やら家具やら売ろうと思うとるばい。
はあ… そこまでして
君は オリンピックに…。
ばってん ほかに売れるもんは…。
これでしょ。
地球儀か。
いや これだよ これ。 どう見ても
これが一番高く売れる…。
これは売れん! 売ってはいかん気のする。
(ため息)
そもそも 金栗氏
体協が支弁するという話だったのに
いつ なぜ 自腹を切ることに
なったのかね?
校長先生のご提案たい。
君が 君の金で ストックホルムに行って
思う存分 走るのであれば
勝とうが負けようが 君の勝手。
そぎゃん話があるかね!
分かっと。
だまされてるよ。
まんまと口車に乗せられてるよ 金栗氏。
校長に直談判すべきだ。
失礼…。
≪(治五郎)私を誰だと思っとる!?
10万の男だぞ 私は!
100人近い留学生の学費を
肩代わりしたんだよ? 払えるか 君に。
100円 200円の利息で ガタガタ騒ぐな!
あの… 誤解をなされると困るので
言っておきますが
10万持ってる男のことを
10万の男と言うのであって
先生の10万は借金です。
何?
いえいえ その… 額が大きくなると
感覚がまひするもので
いや 無論 校長ほどの器がなければ
10万の借金は やろうと思っても…。
返さんとは言うとらん。
返さんとは言うとらんぞ!
(可児)すいません! ああっ!
ああっ ばばば…!
おう 韋駄天。
あっ…。
入りたまえ。
失礼します。
ハハハ… 英会話とマナー講座で
だいぶ搾られてるそうだな。
…で 何だね? 今日は。
あっ その… 私は その…。
本当にオリンピックに行くとでしょうか?
行くよ。 行かんで どうする? ハハハハ。
は… はい。
ばってん…。
可児君! ここを片づけておいて。
(可児)はい。
ちょっと つきあいたまえ。
はい。
私が 海を渡って 欧米視察へ行ったのは
29の年だ。
その際 はなむけにと
ある人が これを譲ってくれた。
誰だと思う?
勝 海舟だよ。
ばばばっ!
ハハハハハ…。
<言わずと知れた
幕末の大スター 勝 海舟。
あっ 「大河」っぽいので
もう一回 言います。
勝 海舟! 嘉納治五郎に
多大なる影響を与えた
いわば ライトマンの親玉。
講道館の看板も 勝 海舟によるものです>
「ヨーロッパへ行くそうだね 嘉納君」。
「そうなんです 勝先生。
何かアドバイスを」。
「うん。 欧米ではね 家の中で
靴を脱いじゃいけないよ」。
えっ!?
「えっ!? 欧米では 土足なんですか?」。
「そうだよ」。
はだしは マナー違反だよ。
「じゃあ マラソンのアベベなんてのは
はだしになって 外 走って
とんでもねえ マナー違反だ」。
(笑い声)
以来 験を担いで ここ一番の勝負には
必ず これを着ることにしている。
フランス大使館に出向いて
オリンピック出場を決めたのも この服だ。
質に入れるとですか?
勝負の時にしか着んからね。
何しろ 勝 海舟の刺繍入りだ。
値打ちが下がらん。
これを持って 三越へ行きたまえ。
ここに書いてあるとおりに言えば
仕立ててくれる。
これは 体協からではなく
私個人からの はなむけだ。
校長…。
校長… ありがとうございます。
ありがとうございます!
うん。
さあ 早く行け。
はい!
(孝蔵)<…と その足で
日本橋は三越呉服店へ行きました。
まさに その足で行きました。
2週間後 立派なフロックコートと
背広が届きました>
よし こっちだ。
あっ はい。
はい。
ここに。
はい。
よし… うん やはり こっちだ。
あっ はい。
はい。
(写真を撮る音)
えっ? 決まってる?
そうか まだ言ってなかったか。
同行者は2名。 そう決まって
IOCにも伝えてある。
2名?
(治五郎)すまんが よろしく頼むよ。
はい!
その… もう一人は 永井さんですか?
ハハハ 永井君は行かんよ。
えっ?
彼がいないと 学校も体協も回らん。
(可児)えっ… では誰が?
安仁子夫人だよ。
えっ!?
通訳も必要だし 身の回りの世話も
女性の方が
こまやかな気遣いができると思ってね。
ほう…。
(ノック)
入りたまえ。
あっ ちょっと待ってて。 すぐ行くから。
安仁子さん。
(英語で)
サンキュー。
(笑い声)
(安仁子)ヒョウ!
あ そうですか。
いや 予想だにしませんでした。
いや… 安仁子さんと私が ハハハハ。
なぜ 君が 安仁子夫人と行くんだね?
えっ?
監督は大森君。
つまり 大森夫妻に行ってもらう。
えっ? では 可児は
何をよろしく頼まれたのでしょう?
留守番をよろしくという意味だよ。
あ… 2人って… ああ!
(ドアが開く音)
どうも。
永井君にも伝えておいて。
あっ はい。 立派に務めさせて頂きます。
何か あったのかね?
奮発しちゃったよ。
シベリア鉄道で
途中下車するかもしれないからね。
ほ。
カンフォタブル。
(弥彦)うん 様になってるじゃないか。
様になっても しょんなかです。
形ばっかり出来上がってくばってん
実感のなかです。
本当に行くとだろか? オリンピック。
ご家族は喜んでるそうだね。
そっが また… つらかです。
いらん苦労ばっかりかけてしもうて
母上は 氏神様にお祈りば しよるて。
兄上は 田畑売っても 金ば送るて
言うてくれました。
羨ましいな。
そぎゃんですか?
(弥彦)うん。
シマ 後を頼む。
はい。
祝福されて激励されて走る方が
心強いだろう。
うちは駄目だね。 話が通じない。
「三島家の名を汚すつもいじゃったら
親子の縁をば 切りもす」とさ。
母は 兄にしか関心がない。
兄は 金にしか関心がない。
ばってん… 我が子に関心のなか親が
おるでしょうかね?
期待に応えんでいいから気楽だがね。
これ 里に送りたまえ。
はい。
お よく撮れてるな。
本当ですね。
(弥彦)ハハハ…。
(スマ)うまかな。
(シエ)うん うまなった。 フフフ。
アハハハ…。
フォーティースリー!
あああ… すいまっせん!
「おい お前さん
何だって そんなに走るんだい?」。
「火事なんだよ 火事」。
なして擦り切れっとですかね?
(辛作)走るからだよ。
外 走るもんじゃないからね 足袋は。
なして走っとですかね?
知らねえよ。
清さんは なして走っとですか?
(清さん)フフッ それは おめえ…
金になるからだよ! ハッハッハッハ!
はあ… そん… そん金のなかけん…
走られんとですよ 俺は。
(清さん)俥屋は走ると金になる
マラソンは走るのに金がかかるか。
嘉納先生… すいまっせん!
(徳)募金をよろしくお願いします!
ありがとうございます。
募金をお願いします。
募金をお願いします!
ありがとうございます
ありがとうございます。
(電車のベル)
(電車のベル)
あっ しもた。
募金を!
失敬。 あ ちょっ…。
あ!
韋駄天のお出ましたい!
兄上!
なして!? なして東京におっとね!?
金1,800円 持ってきたばい!
アハハハハ!
兄上?
たまがったか 韋駄天! ハハハハ!
何…?
何も言うな お前は!
(泣き声)
あ!
何千 何万人のオリンピック選手が
日本から出ても
第1号は金栗四三!
(可児)<日本人初のオリンピック大会へ
出発!>
勝とうなどと思うな!
<旅立ちといえば 涙。
会いたい人はおりますか?>
あぁたを信用したわけじゃなか。
スヤさんばい。
1,800円の大金
出せるわけがありません。
いつの時代でも アスリートにとって
資金集めは大問題。
オリンピックに3度出場し 去年
現役復帰を果たした外橋大輔さんも
お金がかかるフィギュア界で
さまざまな苦労を経験しました。
(外橋)衣装は手作りで
常に作ってくれたりとか
九州なんかの試合の時も
ホテル 泊まらずに
車の中で寝てとか
というのもやりました。
外橋さんの地元では
そんな彼を少しでも支援しようと
自然に
募金が集まるようになったといいます。
お客さんが 「お釣り もういいよ」って
言ってもらって…
ペットボトルに 穴 開けた分に
そのまま入れて
オリンピック 全然関係ない時に
「試合 頑張れ」とか「オリンピック」って
書いて 置いてたんです。
(外橋)手を差し伸べてくれたりとか
それこそ 募金をもらうっていうのも
そういうことばっかりが
結構 続いてきたから
やってこられたんだなっていうのは
思いますかね。
トップアスリートになってからは
閉鎖危機のリンクの募金活動にも参加。
素直に 今 スケートが好きだな
っていうふうに言えるので
いつまで滑れるか
全然 分かんないんですけど
何か自分ができるサポート
自分じゃなきゃできないことって
あるんじゃないかなっていうのは
思ってて。
地元に支えられたオリンピアンは
恩返しを続けていきます。
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「いだてん~東京オリムピック噺」第6話と第7話のネタバレ感想やあらすじの紹介まとめ
2019年の大河ドラマは、33年ぶりに近現代史を扱う「いだてん~東京オリムピック噺」です。
オリンピック初参加から「オリンピック」開催までの激動の52年間を、描く「東京&オリンピック」の物語。
第6話では…四三が自腹でのオリンピック参加を決めました!
第7話では…四三はお金の段取りがつき、弥彦も反対の中、参加を決めました!
この記事では、ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺』を各話ごとに詳細にネタバレとあらすじや感想を更新していきますので、ぜひご覧ください!