2019年の大河ドラマは、宮藤官九郎オリジナル脚本の「いだてん~東京オリムピック噺」です。
「いだてん」は、1912年のオリンピック初参加から、1964年の「オリンピック」開催までの激動の52年間を、歴史に翻弄されたスポーツマンたちの姿を通して描く「東京&オリンピック」の物語。
2020年の東京オリンピックを目前に控えた2019年の大河ドラマにふさわしい題材ですね。
こちらの記事ではドラマ『いだてん~東京オリムピック噺』の第17話と次回の第18話のネタバレや感想とあらすじを紹介していきます!
Contents [hide]
「いだてん~東京オリムピック噺」第17話あらすじや感想とネタバレ
第17話あらすじ
1915年、戦争でベルリンオリンピックの開催中止が決定し、選手のピークを迎えていた四三(中村勘九郎)は激しく落ち込む。ふさぎ込む姿を野口源三郎(永山絢斗)らが心配するなか、熊本からやって来た妻・スヤ(綾瀬はるか)が四三の無念を受け止める。夫婦として共に痛みを分かち合い、スヤの愛を力に四三は再び走りだす。四三の再起に刺激を受けた治五郎(役所広司)は明治神宮にスタジアムを作る目標を立てる。やがて彼らは、東京-京都間の東海道五十三次を全国の健脚たちと共に走る構想を思いつく。これが「駅伝」誕生の瞬間だった。
第17話の感想やネタバレ
第17話の感想
スヤさんほどの別嬪がマラソンバカの四三に水をぶっかけるんですから、このリアクションになって当然。
おちこむ四三に本気の言葉をかけた清さん。四三だけでなく、こちらの心にも響きました。
壮観というより笑いでは?
四三をほんとうに好きなんだなぁ、スヤさん。
四三のオリンピックに代わる目標が見つかった瞬間。応援します!
女子も走りたいというシマちゃんに対して「体の作りが違う、壊れるぞ」「女子は健康な子供を生むために…」と嘉納先生は保守的なことを言います。まだ、そういう時代だったんですね。それを思うと、四三は先進的。
いつも怒り心頭だった幾江の満面の笑み!
喜びに満ちあふれてます!
いだてんの新たな幕開けともいえる回でしたね。オリンピックが戦争のせいで無期延期になり、落ち込む四三でしたが、スヤや周りの人たちの助けでそれを乗り越えます。スヤとの絆が深まり、オリンピックをあきらめたことでマラソン選手の育成と駅伝大会を行うという目標が見つかります。そして、スヤの妊娠!激動の中に明るさを感じました。
第17話のネタバレ
(幾江)何ね いきなり。
こん前
追い返されたばっかりたい。
(孝蔵)<大正4年6月。
ベルリンオリンピックの中止が
報じられました。
欧州戦争の長期化が原因でした>
<彼は まだそのことを知りません>
(岸)かけたまえ。
(四三)はい!
(永井)あのな 金栗…。
(治五郎)思い出すな 金栗君。
ストックホルムの時も 君は
頑として座らなかった。
あん時は
何も知らず ご無礼いたしました。
だが… 今は違う。
ストックホルムの敗北を経て
君は立派に成長した。
レースごとに記録を更新し
ついに2時間19分!
まさに 脂が乗った状態!
(岸)嘉納さん…。
今が旬!
なぜ わざわざ 言いづらいムードに。
分かっとる。
言うよ 言うから。 黙ってなさい 君は。
えっ… あの どぎゃんしたとですか?
オリンピックは中止だ。
(治五郎)欧州戦争の長期化により
無期延期! 無念!
詳しいことは分からんのだが
そういうことだ。
(幾江)スヤ。
スヤとマラソン どっちが大事か
聞いてみなっせ。
今なら マラソンに勝てるかもしれんばい。
うちと マラソン…。
もう構わんけん 連れて帰ってこい スヤ。
(清さん)うん ドイツが戦争中なら
どっか よそでやりゃいいんじゃねえの?
(シマ)オリンピックをですか?
うん。 アメリカとか支那とか。
おっ 日本でもいいや。
(辛作)できるわけねえだろ。
えっ 何でだよ。 こっちから行くのと
向こうから来るのと 何が違うんだよ。
(福田)すんまっせん。 金栗は こちらに?
また来やがったよ。
おい 野口 橋本! おい!
(野口)はい。
(福田)あっ 久しぶり!
あっ 福田先生 ご無沙汰してます。
わざわざ新潟から?
ああ。
(橋本)もう丸2日
部屋から一歩も出てないそうです。
俺が行くばい。
こちらです。
そっとしといてやんなって!
(野口)よし 今夜は泊まり込みだな。
(清さん)おう ハハッ。
何で 清公まで行くんだ。
おい ちょっと… おい!
勝手にしろい!
(徳)んっ!
うん?
(野口)金栗さん!
(橋本)金栗君!
あれ? …わっ!
(一同)わっ!
もう… 何だ 何だ もう閉めきって。
(清さん)元気出せよ 韋駄天!
気晴らしに走ろうぜ。 つきあってやるよ。
なっ?
なし?
な… 「なし」って?
オリンピックの のうなったとに
なし 俺は走っとですか?
(清さん)立て。 ほら 立て! ほら!
こんにちは。 主人は?
あっ! ああ ああ…。
(階段を転がり落ちる音)
ばっ… 四三さん?
ぜいたく言ってんじゃねえよ!
(野口)清さん…。
(清さん)自分で
行き先も決められねえんだぞ 俺たちは。
客が新橋っつったら
新橋行くしかねえんだよ。
読み書きも 力仕事もできねえから
走るしかねえんだよ!
そんな俺たちの代表だろ?
日本代表ってのはよ。
お前が そうやって腐ってたら
日本人みんな腐っちまうんだよ。
しゃんとしろ しゃんと!
ばってん!
(清さん)ばってん 何だよ?
(清さん)「ばってん」っつってから
考えんじゃねえよ!
卑怯だぞ!
俺は もう走れんです!
4年だけ ベルリンまでっちゅう約束で
家族の援助ば受けて 走っとっとです。
そりゃ 国と国の戦いに比べりゃ
小さか問題かもしれんばってん
これ以上 迷惑かけられん!
(一同)えっ?
(一同)わ!
(スヤ)違います。
こん人 水ば ぶっかけると
おとなしゅうなりますけん。
誰?
「ようっ!」
(太鼓の音)
「ようっ!」
(拍子木の音)
うまかですか?
どぎゃんします?
食べたら 熊本 帰りませんか?
することなかでしょう?
オリンピックの のうなったし。
帰る?
そぎゃんね。
ほんなら
田植えのありますけん
私は一人で帰りますね。
ダンケシェン。
えっ?
ドイツ語ばい。
うちは
オリンピックが のうなっても構わん。
どっちみち 連れていってもらえんけん。
金メダルも要らん。
ばってん
四三さんが金メダルば取ったら
どぎゃん顔して喜ぶか…。
そん顔が見たかけん 応援ば しとります。
さみしゅうなかですか?
ばってん
そばにおったら 邪魔になりますけん。
俺は… さみしか。
きつか練習ばした夜は
必ず スヤさんの夢ば見ました。
「外いたかばってん 外われんたい」
歌いながら 自転車ばこぐ スヤさんば
追いかける夢でした。
起きて 走って… 寝て 走って。
もうクタクタで。
それも あと1年の辛抱て
言い聞かせてきました。
金メダルば取って しまいにしようと
思うとりました。
ばってん…。
悔しか。
なし 戦争せんといかんとだろか?
悔しか。
だったら帰りましょうよ。
終わったと思えば帰れますか?
終わった?
はい! オリンピックは終わりました。
帰りましょう!
おるは 何等でしたか?
もちろん金メダルたい!
おめでとう 金栗選手!
フロム ニッポン! ゴールドメダルばい!
ハハハ…。
フフッ…。
駄目ばい。
はっ?
そぎゃんもんじゃなか。
四三さんが本当に金メダルば取ったら
もっともっと笑うばい!
あっ… ワッハッハッハ…。
もっともっと!
こぎゃん 口角ば上げて
えびすさんのごつ笑うばい!
「終わった! 終わった!」って。
そら 終わっとらんけん。
そぎゃんたい。
始まってもないもんが 終わるわけなか。
(すすり泣き)
大家さん 自転車ば お借りします。
どうぞ。
(ちょう)あら! 金栗さん どうしたの?
どこ行くの?
走ってきます。
(辛作)やる気になったか!
お願いします。
行ってこい。
はい。
(辛作)行ってこい 行ってこい!
行ってこい! アハハハ…。
よかった!
よかった!
あれ 見たかね? これ これ!
見た これ。
スッスッ ハッハッ スッスッ ハッハッ…。
ほら 早うせんと 置いていくばい。
はい! スッスッ ハッハッ
スッスッ ハッハッ…。
(清さん)誰も知らねえの?
熊本弁でしたよね?
(一同)ああ…。
いや いきなり団子ば
持ってきたっちゅうことは… 妹?
いや…。
うん それか…
これか?
(一同)いやいや いやいや…。
(橋本)女の影といったら
賄いのおばちゃんぐらいだよな。
50歳以下の女と しゃべってるとこ
見たことないですもん。
あのマラソンバカが結婚できたら
世も末だぜ。
(笑い声)
スヤ。 こん前は… すまんかった。
いきなり追い返して。
これからは 時々 会いに来てよかけん。
いや… 来てくれ。
本当? おりたいだけ おってよかですか?
うん。 もう 帰れとは言わんけん。
ばってん
先のことも考えんといかんな…。
そぎゃんたいね。
韋駄天も いつまっでん
走れるわけじゃなかし
引退後のことも考えんといかん。
今は よかばってん
子どもの生まれでもしたら…。
俺が走れんごつなったら
誰が 後ば引き継ぐか…。
日本マラソン界の未来ば
第一に考えんといかん。
えっ? いやいや… えっ?
うん 実際 日本全国におる韋駄天の卵ば
俺一人で見つけて 満遍なく指導すっとは
至難の業ばい。
金栗四三が50人おったら よかばってんね。
うん。
幸い 高師ん卒業生が
全国の中学に散らばっとる。
野口君は松本…。
うん?
回想
(スヤ)金栗四三が50人おったら
よかばってんね。
50人…。
スッスッ… うん?
ばっ! ハハハ!
ばば!
何?
あっ… あっ…。
何ね?
50人…。
(ノック)
≪失礼します!
校長先生… 校長先生 決めました。
決めました 決めました!
俺は指導者になります!
それは 教職に就くということかね?
はい!
そうか… よく決心したね 金栗君。
あら? びっくりせんとですか?
びっくりは… せん。
高師は 教員を育てる学校だからね。
君以外は もうみんな とっくに先生だ。
あっ いや 続きのあっとです。 なし
そぎゃん考えに至ったかといいますと
あの…。
座ってもよかですか?
おお… 座れ。
はい。
もし 今 予定どおり
ベルリン大会の開かれたら
俺は 金メダルば取れる自信のありました。
うん。
私も そう思う。 実に惜しい。
はい 悔しかです! 俺が50人おったら
金メダル50個取れたとに。
(拍手と歓声)
おい… どうした? 金栗君。
はっ! すいまっせん。
想像ば してしもうて。
50人の金栗君がスウェーデン体操ばしたら
壮観でしょうな。
(笛の音)
いかん… たまらん。
何だ? 何しに来た 金栗。
あっ… すいまっせん。
もし 俺が 50人おったら
50倍の距離ば走れます。
いや 君じゃなくても
50人の選手がいれば…。
1人10km走れば 500km。
東京から大阪ですよ。
(号砲)
スッスッ ハッハッ…。
1人じゃ無理ばってん
50人おったら走れるとです。
なるほど。 喜びも50人分だ。
いや 実は
マラソンが広く普及せん理由が
そこにあるんじゃないかと
思っていたんだ。
40kmもの距離を走るのは
あまりにつらく 孤独だ。
だが… 団体競技と考えたら どうだ?
助け合い… 励まし合う仲間がいれば!
大阪から東京までも走れます!
そこだよ そこ! 面白い!
はい! いつの日か
東京から大阪まで走破すっために
そん50人ば育てるため
俺は 教員になります!
見つかったな…
オリンピックに代わる 新たな目標が!
はい!
いや!
(笑い声)
(志ん生)<そのころ 浜松では
後に東京オリンピックを呼ぶ男
田畑政治君が
やさぐれておりました>
(孝蔵)何が楽しいんだかよ。
(政治)あ どうも。
これが酒なら喜んで飛び込むけどもよ
ただ 水に プカプカ
浮かんでるだけじゃねえか。
死にかけの魚じゃあるめえしよ。
バカの骨頂だな こりゃ。 ヘッ。
分かってねえら。
見てみな。
あれが内田さんでぇ。
わしら浜松中のエース。
ああして涼しい顔で 10kmも泳ぐだに。
へえ。 大したもんだ。
弁天島で引き潮に飛び込んでやぁ
流されんように死に物狂いで
泳ぐっちゅう気持ちよさったら…。
じゃあ おめえも見てねえで
泳げばいいじゃねえかよ。
医者に止められたで…。
だから見てるだけだで。
ついでに言うけえが
「バカ」じゃねえに 「愚」の骨頂だに。
おっ… あっ うわっ!
まーちゃん!
何するで!?
医者の言うこと うのみにするなんざ
愚の骨頂だに!
(志ん生)身に覚えがございません。
でも まあ 謝っとくか。
田畑さん どうもすみません。
(笑い声)
(せきこみ)
すいませんじゃないよ!
(岩田)すいません 火 消しました。
ちょっと貸してみ ほら。
はい。
おい… おい!
こんなの重くて走れないよ 岩ちん。
これ どのくらい もつんだい?
(岩田)3時間は燃え続けますね。
3時間も走れないよ。
あ そうか。
(東)いや 重いんじゃ駄目だ…。
駄目だ 駄目 駄目…。
(東)聖火リレー… 駅伝だね これは。
岩ちん 資料! 駅伝の!
(孝蔵)<大正5年
四三は 神奈川師範に教員として勤務>
おはよう!
(学生たち)おはようございます!
はい おはよう。
え 今日から 諸君に地理ば教える
金栗四三っちゅうもんばい。
(学生たち)えっ?
体育じゃないんですか?
体育は放課後。 おう 授業始めっぞ。
<四三の新たな挑戦が始まりました。
指導者として
練習法や足袋の改良を模索し…>
(コハゼが取れる音)
あっ!
やっぱり コハゼ2つじゃ弱かか…。
<寸暇を惜しんで
後輩と共に走ったのです>
お待たせしました。
<そして ついに
東京・大阪を大勢で走りつなぐという
夢に向かって 動き出しました>
さあ どうかね?
はい。
え 山岸君 秋葉君 そして井手さんは
参加を快諾してくれました。
東京・大阪間ば走ると聞いて
闘志ば燃やしとります。
コースの下見をせんといかんな。
大阪のどこからたつか。
あっ そぎゃんですね。
(大村)京都じゃ… 駄目ですかね?
はっ?
お話し中 すいません。
金栗四三さんですよね? マラソンの。
先ほどから 興味深く拝聴しておりました。
あっ 私 読売新聞の…。
記者かね?
わっ! 嘉納治五郎!?
(土岐)何!?
これは これは。 私 土岐と申します。
大村です。 ちょうど 我々も
同じようなことを考えておりまして。
日本の首都が 京都から東京へ移って
来年で ちょうど50年になるんです。
何か画期的な運動会ができないかと。
これから 浅草で
我が社の運動部のご意見番に会うんです。
行こう 行こう。
(大村)相談役!
おう! よっ!
お 久しぶりじゃないか 金栗君!
えっ… 誰?
俺だよ 俺!
これこれ… ほれ!
回想
てんてんぐ!
あっ 吉岡さん!
ハハハハハ!
何だ 天狗のヤジ将軍か。
これは これは 嘉納天狗!
背負い投げ かけてくれよ!
おっ! アハハハ…。
(土岐)お知り合いでしたか。
ああ。 決して
よい印象は持っておらんがね。
なにが ご意見番だよ。
着替えて損した。
天狗はやめて 新聞社に入った。
今日は 富士山がきれいですぞ!
さあ… ほれ!
京都は更に先ですな。
どうせなら 東海道五十三次を
たどったら どうかな?
(土岐)関東 関西… 東海道を
京都から東京まで走るレース。
弥次さん喜多さんのルートですね!
そぎゃん壮大なレースは日本初…
うんにゃ きっと 世界初ですね!
フッフッフ… ヤジなら俺に任せとけ!
お!
ハハハ…。
T N G! T N G!
体協も 協力して下さるとですかね?
校長。
いかがでしょう? 嘉納さん。
東海道マラソンレース。
ああ。 大いにやりたまえ。
私も見つけたよ 金栗君。 次なる目標を。
はっ?
えっ?
いつの日か
東京でオリンピックを開くために
世界に誇れる競技場を造る!
こ… 校長?
私は悔しかった。
戦争でオリンピックが中止になった時
東京に競技場さえあれば
手を挙げることができたのにと。
金栗君 ストックホルムのスタジアム
立派だったよな!
はい。 門ばくぐった時の興奮
一生忘れんばい。
(拍手と歓声)
(治五郎)スポーツは 国力の証しだ。
スタジアムは そのシンボル!
招かれるのを待ってるだけじゃ つまらん。
各国の選手を迎え入れるんだ!
(大村)えっ どこにですか?
あれだよ。 あそこ。
遊んでる土地があるだろう。
いや 遊んでるわけではなく
目下 建設中です。
あれは明治神宮ですね!
何?
あんなに広いのか?
ちょっと貸せ。
(土岐)外苑と内苑があります。
かしこくも 先の天皇陛下を…。
知っておる! そんなことは。
嘉納治五郎だぞ!?
ハハハ… 羽田の次は
明治神宮にスタジアムですか?
さすが嘉納治五郎!
大風呂敷は健在だ!
よっしゃ 乾杯をしよう!
乾杯だ 乾杯だ 乾杯だ! ハハハ…。
よし! 早速 理事会を招集しよう。
乾杯!
(一同)乾杯!
(拍手)
とつけむにゃあ。
では 全体ば 23区間に分けまして
関東 関西 中部の23人のランナーで
京都から東京まで
516kmを走り継ぐレースです。
そんなに走って 何になるんだね?
さあ?
「さあ?」って…。
お話にならんな。
あっ 一人では走れん距離ば走れます。
だから そんなに走って何になるんだ?
さあ?
(吉岡)1回のレースで
大勢のランナーが参加できる。
マラソン人口の拡大にもつながります。
大勢関わるということは 事故や けが人が
出る可能性も高くなるということだ。
久しぶりに集まったのに
反対意見ばかりだな!
やめるか。 解散するかね? 体協 永遠に。
あっ いや それは…。
まあ 読売さんが主催なら
反対する理由はない。
ありがとうございます。
(武田)なら
名称を決めねばいけませんな。
東海道オリンピック!
反対!
大勢で走り継ぐという
画期的なアイデアを…。
英語だと リレーだがね。
富士山のような壮大な計画…。
富士オリンピック!
反対!
(武田)駅伝は どうだろう?
えきでん…。
(武田)ああ。 東海道には
53の宿場 つまり 駅がある。
その駅を伝って走る大会だから 駅伝。
東海道五十三次駅伝競走。
これ よか…。
よかです。 これ よか!
駅伝! うん!
こっで いきましょう!
よし 決まりだ! どうですか?
いいね! 駅伝!
ハハハ…。
おお!
よし 駅伝だ!
よろしくお願いします。
お 駅伝!
ハハハ!
最終ランナーは
是非とも金栗君にお願いしたい。
川崎から日本橋を通って 上野。
大々的に宣伝すれば
東京中の人々が集まりますぞ!
お!
ゴールは何時ごろですか?
やってみないと分からんよ。
前人未到の大レースだ。
恐らく 丸2日はかかるでしょうな。
女子の参加選手はいないのですか?
(吉岡)女子?
はい。
冗談言っちゃ困るな 君。
遊びじゃないんだよ。
こっちは真剣勝負なんだよ。
女子だって真剣に走れば負けません!
フン。 真剣に走ってる女子を見て
何が楽しいかね?
あっ すいまっせん。
シマさんはランナーに憧れとったけん。
でも 授業は体操と肋木ばかりで
徒歩部もないし。
シマ君 女子の体は走るのには向いとらん。
そんな… 試してもみないで!
見苦しいよ。 女子の走りは不細工だ。
(治五郎)君たちは いずれ
健やかな子どもを産まないといかん。
無理したら 壊れるぞ。
ミルクちょうだい。 うん?
はい。
<競技スポーツ推進派の
嘉納治五郎でさえ 今から見れば
女子スポーツに対する考えは
まだまだ保守的でした>
あの 二階堂先生に
相談してみたらどぎゃんね?
あっ いや… おんなじ女性として
理解ば示してくれるかもしれんけん。
(トクヨ)恥を知りなさい この不良少女!
はい。
マラソンなど西洋では時代遅れ。
貧乏人の競技です。
(学生たち)はい!
(トクヨ)無理 むちゃ 無謀!
マラソンなど 野蛮 残酷 不要!
そぎゃん言い方せんでもよかでしょうが!
落ちつきたまえ。
あくまでもトクヨの私見だ。
なし あんおなごは! なし そぎゃん
マラソンば毛嫌いすっとだろうか!
あ 伝わっとらん! マラソンの魅力
いっちょん伝わっとらんばい!
あ。
それだ… それだ それだ…。
おっ でかしたぞ スヤ!
何? どぎゃんしました?
そる そる そる… そっば 貸して!
たすきですか?
うんうん…。
(鈴の音)
スヤが東京に行ったっきり帰ってこん。
(実次)ばっ! 幾江さん いつの間に!?
来たか時に来て
おりたいだけ おってよかって
あんバカが そげん言うたそうじゃ。
そぎゃんこつば言うたら
スヤは東京に行ったっきり帰らんばい。
うん…。
池部ん家は しまいじゃ!
ああ! うん!
(幾江)お前のせいばい!
(実次)落ち着いて下さい!
(幾江)実次! 実次!
(実次)落ち着いて下さい!
ハハハ…。
バトンば握ったまま 20kmも走っとは
きつかって話しとったけん。
よし 分かった。 たすきは作ろう。
だが 足袋はな…。
全国が注目する大レースで
改良した播磨屋の足袋ば
お披露目したかです!
だけど ひもで結んだら
もう それ 足袋じゃねえよ。 靴だぜ。
足袋です! 辛作さん
あなたが作れば 靴も足袋です。
そうかい?
さて 大正6年4月27日
日本初の駅伝レース
東海道五十三次駅伝が開幕します。
(号砲)
午後2時
京都三条大橋に号砲がとどろき
関東 中部のトップランナーが走りだした。
そこから 草津 水口 四日市 桑名から
名古屋へと抜けまして
岡崎 豊橋 浜名湖を渡って
はま… あれ?
何で あんな でっけえ湖…。
一体 どうやって
渡ったんでしょうね? これは。
どうなってんの? 田畑。
俺 見てたよ。
まさか 泳いだんですか?
本があっただろう 確か土岐さんの。
本? あっ これかな?
「彼等は走る。 彼等は走る。
日が落ち 夜が更け 朝が来る」。
その日は暴風雨でね 俺も
どうやって渡るのかなと思ってたら…。
えっ 船で!?
はあ。
頑張れ!
一応 みんな 応援したけど
船 こいでるのは船頭さんで
乗ってる選手は何にもしてないからね。
申し訳なさそうにしてたよ。
非常に間の抜けたものだったね。
うん?
あっ 中部軍 よく見たら
愛知一中の生徒だけで編成されてるね。
「現地の大村記者が
各宿場町に電報を打つ。
関東軍選手が アキレス腱を切り…」。
(土岐)大変です!
関東軍の吉積君が
アキレス腱が切れて棄権と!
はあ!?
区間は?
はい 13区 見附です。
どうする?
14区の秋葉ば 13区へ戻します。
でも 2区間も走るとなると
1人40kmだぞ。
あ 心配なか! 秋葉は俺の弟子です。
え? 「詰めかけた観衆が
街道の旅館に泊まり
選手は たすきを渡したあとも
ランナーと 一緒に東京を目指した」?
何だ? いろいろ変だぞ このレース。
関東軍のアンカーは?
そりゃ もちろん金栗四三だよ。
(志ん生)
<最終走者の金栗四三が川崎を出たのが
29日 午前10時5分>
井手さん!
ご苦労さんでした!
行ってまいります!
すいません 今 ここでマラソンやってて
ちょっと通れないんです。
ありがとうございました。
<日本橋には 史上初の駅伝を見ようと
駆けつけた大観衆が
10万人を超えた!>
すごい人だ!
まさか こんなに集まるとは。
駅伝!
駅伝!
(一同)駅伝! 駅伝!
駅伝って言っとるぞ!
これは後世に残りますぞ!
ちょっと すいまっせん… すいまっせん。
おい! さあ みんなで…。
駅伝!
(一同)駅伝! 駅伝! 駅伝!
そりゃ!
(一同)駅伝! 駅伝! 駅伝!
すいまっせん… すいまっせん…。
(一同)駅伝! 駅伝!
あっ 来た!
金栗だ あれ!
すいまっせん すいまっせん。
道ば空けて下さい。 すいません
すいません 道ば空けて下さい。
すいません!
(土岐)
「彼等は走る。 午前11時 日本橋は
歓迎の大観衆が沿道いっぱいに繰り出し
電車は立往生」。
(清さん)どいた どいた! 道 空けろ!
空けろ! 空けろ! 韋駄天のお通りだ。
どいた どいた! どいた どいた!
頑張れ!
(一同)駅伝! 駅伝! 駅伝!
金栗!
回想
(スヤ)おめでとう 金栗選手!
ゴールドメダルばい!
(土岐)
「世界的快挙 運動史上未曽有の計画。
ここに無事 実現。
516kmを 46人の韋駄天が駆け抜けた」。
実次! 起きれ 実次!
ばっ! どぎゃんしました? 幾江さん。
四三の帰ってくるばい。
ばばっ。 なし?
よう聞け。 東京から帰ってから
調子ん悪かけん
スヤば 医者に見せたったい。
どっか 悪かとですか?
鈍かね こん男は。
ご懐妊たい!
ご… ご懐妊!?
(シエ)スヤさんが?
そうたい!
たまがった!
(キヨメ)わ!
すぐ電報ば打たんと!
ああ ああ…。
こっで池部ん家は安泰じゃ!
わ めでたか めでたか!
でかした!
わっ! ええっ?
あ すいまっせん。 独り言たい。
でかした!
(勝蔵)本当だ!
水かけたら おとなしくなった。
でかした! でかした!
やった! やった! やったばい!
やった!
あなたは もう古い!
女子の体育は女子の手で。
<女の子だって走りたい!>
(小梅)あたしゃ 朝太に ほれてんのさ!
<えっ 恋の予感?>
(清さん)走れ!
人間の持久力の限界に挑戦するばい。
何ば考えとっとでしょうね? あん人は。
スヤ! スヤ!
<夫婦の危機?>
脚 上げんな。
<私も活躍の予感>
金栗が発案した東海道五十三次駅伝は
いまだかつて誰もやったことのない
レースでした。
当初 関東軍 中部軍に加え
関西軍も出場予定でしたが
人数がそろわず断念。
中部軍ですら
25人中21人が中高生のチーム。
当時は マラソン走者を探すだけでも
大変な時代でした。
武田千代三郎が 東海道に
53の宿場があることから名付けた駅伝。
夜走る選手の足元は
既に走り終えた走者がランタンで照らし
不眠不休で並走。
それに加え 沿道の応援者も合流し
総勢70人もが押しかけた宿場は
どこも すし詰め状態。
最終日 レースを制したのは関東軍。
対する中部軍アンカーは なんと
愛知一中の元校長 日比野 寛さん。
52歳のマラソン翁と呼ばれ 金栗同様
日本マラソンの先駆者として歩んできた
日比野さんが最後にゴール!
会場は感動の嵐に包まれたそうです。
この駅伝は その後
日本中に広まっていきます。
「いだてん~東京オリムピック噺」第18話あらすじや感想とネタバレ
第18話あらすじ
駅伝の盛り上がりとともに、四三(中村勘九郎)の妻・スヤ(綾瀬はるか)が懐妊する。イギリス留学から帰国した二階堂トクヨ(寺島しのぶ)が、女性が自由に体を動かせるチュニックと「ダンス」を持ち帰り、身重のスヤやシマ(杉咲 花)が目を輝かせる。そのころ、長旅から東京に帰ってきた孝蔵(森山未來)は、美川(勝地 涼)と小梅(橋本 愛)の起こしたトラブルに巻き込まれて散々な状況。腐りそうな孝蔵を、いつか日本一の噺家になるからと親友・清さん(峯田和伸)が激励する。そんな折、治五郎(役所広司)にフランスからニュースが飛び込む。
第18話の反応と期待の声
第18話の展開予想
「女子は運動などする必要なし」という世間の考えに負けず、走り始めるシマ。スポーツしたいシマをあんなにののしっていた二階堂が、スポーツ推進を始めるようです。治五郎の言っていた競技場建設の計画も進み、四三は今まで以上に張り切ると思います。しかし、妊娠中のスヤにとって、四三がスポーツのことにかかりきりなのは、うれしくないかもしれません。予告でバスに乗ったスヤを四三が追いかけているシーンがありました。四三に内緒で里帰り出産するのかも。幾江が四三を怒りながらも喜びそうです。
第18話の感想やネタバレ
第18話の感想
女子体育のはじまり!
いつのまにか美川くんは小梅と駆落ちしてました。おどろき!
四三の部屋からシマの部屋の近さを見た美川は、まるでロミオとジュリエット・・・と(笑)
日本中の大会を走破しまくる四三。
シマは本気で走りたかったんですね。がんばれ、シマ!
五りんの初舞台は「女子体育」話。知恵の、女子がスポーツを始めたころのファッションショーかわいかったです。
ほんとに謎(笑)
四三に怒り心頭のスヤ。「美川に言ってもしょうがなかばってん! 」って、何度も。その気持ち、お察しします。
四三がスヤを大好きなのはまちがいない!
そっと安産祈願のお守りを渡す四三、思わず笑い出すスヤ。すごく微笑ましかった。
かぶれるにもほどがある!フレディ・マーキュリー風で笑った!
130キロ走り切れる足袋のなんと丈夫なことか!四三も播磨屋さんもブラボー!
加納先生の喜びようったら(笑)四三も負けないくらい喜ぶことでしょう。
今回は、一段と濃い内容でしたね。気持ちがすれ違いそうになるが結果お互い大好きと分かり合う四三とスヤの微笑ましい展開から、まったく理解されていなかった女子の体育に一条の光が差してシマが走りだし、スヤの出産、四三の130キロ走破、ゴム裏の足袋登場。そして最後には、オリンピックがよみがえる連絡がくるのです!思い出しても興奮します!次回も楽しみです!
第18話のネタバレ
(四三)悔しか。
なし 戦争せんといかんとだろか?
(スヤ)四三さんが金メダルば取ったら
どぎゃん顔して喜ぶか…。
そん顔が見たかけん 応援ば しとります。
金栗!
<再び走り始めた韋駄天は
日本初の駅伝を成功させます>
<以降 四三君の快進撃は
ますます拍車がかかり
もはや 暴走機関車>
<オリンピックの中止で
ヤケを起こしたのか
極東選手権 東西対抗戦 富士登山競走と
立て続けに出場。
日本中を駆け巡ります。
その間に なんと…>
(幾江)ご懐妊たい!
(実次)ご… ご懐妊!?
こっで池部ん家は安泰じゃ!
<妻のスヤが めでたく懐妊>
でかした!
(シマ)わっ! ええっ?
あ すいまっせん。 独り言ばい。
でかした!
おはようございます。
明日から自分でするけん。
決めたことですけん やります。
頑固やね。
よし…。
<四三君が全国を駆け巡る中
私の方は
ようやく長旅から東京に戻ってきた>
ヨーロッパ諸国が他国の権利を奪う!
権利を奪う!
無益な戦争を続けている!
「ようっ!」
(太鼓の音)
「ようっ!」
(拍子木の音)
(清さん)いてっ!
(孝蔵)よう 清さん 帰ってきたぜ。
お 孝ちゃん 帰ってきたか!
そっか… 帰ってきちまったか…。
田舎の水は合わねえや。
やっぱ 東京が一番だ。
≪お どけ どけ どけ!
おい どうだい 清さん
久々に一杯引っ掛けて 吉原にでも…。
隠れろ 隠れろ…。
な… 何? えっ?
どけ どけ!
えっ?
何だい? あいつら。
捜してんだよ 孝ちゃんを。
この人気者。
あっ そうなの? えっ?
俺が何かしたのかい?
小梅だよ 銘酒屋の。
苦みばしった女。
女も苦みばしんのかい? えっ?
おい 酒くれ。
小梅のやつな
変な野郎と駆け落ちしたんだよ。
ごめんください。
(小梅)ちょいと… ねえ ちょいと!
(美川)ごめんください!
(辛作)聞こえてるよ。
おい…。
これ 何だと思う?
足袋?
だよな。 よし。 …で 何の用?
かなぐりって人 いる?
かなぐり?
(美川)いや 久しぶり 金栗氏。
はっ? 美川君 何ね… なし?
小梅。
どうも。
待ってくれよ。 小梅は独り者だろ?
誰と くっついたって
それは 駆け落ちとは言わねえや。
そこだよ。
小梅のやつ いつの間にか
徳重って やくざ者の これになってた。
痛いって…。
頼むから!
兄貴 連れてきやした。
(清さん)徳重の方が ぞっこんで
あれで 小梅は浮気っぽいから
気に入らねえことがあると
ぷいっと出てって よそに男 作っちゃう。
(徳重)今度の相手は誰だ?
言え。
言え!
朝太だよ 朝太。
三遊亭朝太って売れない芸人。
あたしゃ 朝太に ほれてんのさ!
はあ!? とんだ濡れ衣だ。
よせって!
離せ! 冗談じゃねえよ!
せっかく
東京 戻ってきたっていうのによ。
今は出歩かねえ方がいい!
話は つけてやっから。
しばらく どっか隠れてな。
そんな訳だから おにいさん
この人 かくまってちょうだい。
わたしゃ 旦那んとこ 戻るよ。
えっ 旦那って… 大丈夫かい?
大丈夫。 隙見て 会いに来るから。
きっとだぜ。
フフッ。
停車場 分かります?
ぎゃん行って ぎゃん行って ぎゃんばい。
そぎゃんたい。
阿蘇のおなごさ。
情が深くて ほれっぽいのさ。
美川君…。
会いたかった 金栗氏! ハハハハ!
残念だったね。
せっかく 僕のおかげで
オリンピック選手になれたのに。
あ アハハハ…。
その後 どうだい?
教職に就いたと風のうわさで聞いたが…。
うん。 今は 獨協中学に勤めとるばい。
とつけむにゃあね。 君って まっこと
とつけむにゃあね。 あっ 僕?
(窓を開ける音)
うん?
うん?
あっ 美川君!
絵描きになろうと思ってる。
はっ?
知ってる? 竹久夢二。 絵描きっしょ。
ローマンチシズムっしょ。 どう?
女性っしょ。
これからは 女性の時代っしょ。
ヘイ! 近いよ 金栗氏。
まるで ロミオとジュリエットじゃないか。
もうよか! 俺は ほとんど外ば走っとって
家におらんけん
こん部屋 好きに使ってよか。
(美川)本当に? フフッ。
ロミオ。 どうして あなたは ロミオなの?
ロミオ!
お静かに!
(深呼吸)
回想
(弥彦)日本も いずれ西洋のように
女子のスポーツが盛んになるかもしれん。
世の中が変わればな。
(シマ)
女子の参加選手は いないのですか?
(吉岡)遊びじゃないんだよ。
こっちは真剣勝負なんだよ。
女子だって真剣に走れば負けません!
(治五郎)君たちは いずれ
健やかな子どもを産まないといかん。
無理したら 壊れるぞ。
(志ん生)「ってわけで
本日の『オリムピック噺』はですね
知ってるようで知らない
女子体育の歩み」。
(拍手)
(ざわめき)
(五りん)「えっ 師匠 師匠?」。
さあ 待ってました。
えっ!?
さあ いこう。
えっ!? 俺?
(拍手)
改めまして 古今亭一門の若えので
五りんと申します。
(拍手)
いや どういうわけかね 師匠が
引っ込んじまったようで。
(笑い声)
え 女子体育。
女子体育なんですが …の前に
当時の一般的な美人を紹介します。
よっ! よっ 待ってました!
(拍手)
よっ 美人!
(五りん)
<大正時代 美人といえば 花顔柳腰
花のように美しい顔と
柳のように しなやかで細い腰
色は白く 痩せて儚げな姿が
殿方の心をくすぐったんですね。
体育に対する興味はというと…>
フフ… 体育? 何それ。
運動? アハハハ… しない しない。
ブスになっちゃう アハハハ。
あっ これ 私が言ったんじゃないですよ。
(笑い声)
ただ 実際 芸者さんなんかは
不細工になるからといって
運動を厳しく禁止されていたんです。
「え まあ
こういう時代の女子体育ですから
服装も 今とは だいぶ違います」。
<半袖 短パンのような
露出の多い服装は もっての外!>
(知恵)五りん 五りん。
どうしたの?
恥ずかしいよ。
だって これ テレビで流れてるんでしょ?
(五りん)大丈夫。
ちーちゃん かわいいから。
何 着ても似合うから。 ねっ?
あっ ほら 鳴っちゃった。
あ どうも。
(拍手と歓声)
(拍手)
歩いて。
<袴に革靴 たすき掛け!
なんと これが女子の体育着だったんです>
どうですか? ちーちゃん。
動きづらいし 息も苦しい。
これじゃ ツイストも踊れません。
(笑い声)
<これに新風を吹き込んだのが
二階堂トクヨ!>
(トクヨ)和装には 7つの罪がある。
胸は 襟で十文字に締めつけられる。
はい。
腰は 袴で ひもまみれ。
はい。
そのくせ あんどん包みの
だらしない下半身。
はい。
家事をやれば 袖が水浸し。
はい。
たすきを掛ければ 猫背になる。
はい。
腕を上げれば わきが丸見え!
極め付けは この帯! 腹を
締めつけられるから深い呼吸ができない。
だから 日本の婦人は
若くして バタバタ死ぬんです!
着物が体育に向かないことは
よく分かりました。
(トクヨ)まずは うちのクラスの30人分。
あとは 追って発注します。
あの うちは職人の足袋や…。
では お願いいたします。
先生?
<イギリスの名門 キングスフィールド
体操専門学校に学んだ彼女は
チュニックを奨励>
(拍手と歓声)
いやいや いやいや…
だいぶ進化しましたね。
どうですか?
全然動きやすい。
おいおい… 脚上げんな 脚を。
あっ パンツはいてますよ 大丈夫です。
(笑い声)
当たりめえだ バカ野郎。
(今松)
はいてなかったら事件だよ バカ野郎。
<その授業も ダンスを取り入れ
優雅にして軽やかです>
(トクヨ)手首は やわらかく。
(トクヨ)膝は上げて。
(トクヨ)
ステップは音を立てず 茶の湯の心で。
(永井)な… 何だ これは!? おい!
君たち 気は確かか?
君は 私のクラスの生徒じゃないか。
(トクヨ)月の雫のように。
君も! それから 君も!
(笛の音)
直れ。
何ですか? 永井先生。 授業中です。
授業? これが?
この扇情的で破廉恥な舞踊が?
(トクヨ)エクスキューズ ミー。
(トクヨ)お話 長くなるようでしたら
生徒たちに別の体操をさせても
よろしいかしら?
(笛の音)
永井先生。 私は 永井先生の
「学校体操教授要目」に感銘を受け
スウェーデン体操こそ体育の神髄だと
信じてまいりました。
しかし それは誤りでした。
3年間のイギリス留学…。
永井先生の教えが いかに偏った
旧態依然の
女性の体の特性を無視したものかと。
ちょ… ちょっと待ってくれ。
この奇妙な盆踊りもどきをやめて…。
盆踊り… ハッハッハ。
英国仕込みのメイポールダンスを
盆踊りとは… フフフフ。
クレージー! あなたは もう古い!
女子の体育は女子の手で。
子を産み 母となる体を作るために
優雅なるダンスを学ぶのです。
苦しい!
(スヤ)すっごい楽チン!
差し上げますんで どうぞ。
助かります。 着物は帯で締めつけるけん
苦しかばってん
これは 妊婦にもよかたい。
ところで奥さん これは足袋かね?
足袋でしょう。
そうかね?
俺には もう分かんねえんだよ。
実は コハゼを外した…。
妊婦!?
はい。 あれ? 聞いとらんですか?
聞いたか? いいや 聞いてねえよ。
聞いたら忘れねえよ そんな大事なこと!
何で言わねえかな? 金栗さんも。
あの人 「スッスッ」と「ハッハッ」しか
言わねえんだからよ。
ああ ああ…。
これはこれは
どうも おめでとうございます。
知らんふうば装って下さい。
あん人なりに
考えのあってのことかもしれませんけん。
今日だって
奥さん来るの分かってたわけでしょ?
身重の体で熊本から
わざわざ来たってのに…。
じきに帰ってくっでしょう。
金栗氏なら帰ってきませんよ。
(辛作)美川 てめえ!
あっ ちょっと…。 数日前
秋葉という弟子が訪ねてきましてね。
弟子?
(美川)その弟子と この夏
下関から東京まで
1,200kmを走る計画を立て
夜遅くまで練習しております。
ご覧なさい この足跡を。
知らんかった そぎゃんこつ。
手紙には ひと言も。
(美川)そのかたわら 著書「ランニング」の
出版記念講演会で全国行脚。
その間 僕はお留守番。
ここで 横になってます。
ライイング。 たまに絵を描いてます。
こぎゃんこつ
美川さんに言うてよかろか?
言って下さい 奥さん。
何ば考えとっとでしょうね あん人は!
もともとが普通の結婚じゃなかけん
負い目のあるでしょうが
こぎゃん ひた隠しにせんでも。
大家さんしか知らんとですよ?
うちらんこつ。
ほかにゃ誰にも言うとらんですよ。
子どもの生まれるとですよ!?
もうすぐ臨月だけん
不安でしかたなかです!
美川に言っても しょうがなかばってん
「夏は必ず帰る」って
手紙ば よこしたとですよ?
美川に言っても しょうがなかばってん
考えてしまうばい。
あん人は マラソンばするために
うちと一緒になったとだろか?
マラソンばやめたら うちは…
こん子は どぎゃんなっと!?
美川に言っても しょうがなかばってん
本人には聞かれんけん。
ねえ 美川さん どぎゃん思います?
(美川)ここに 金栗氏の日記があります。
読んだとね?
葛藤は… ありました。
「二月」…。
わ! わわわ!
すみまっせん。 葛藤が。
どうぞ。
「二月七日 スヤの夢ば見る」。
自分で読みます。
「二月七日 スヤの夢ば見る。
やはり オリムピックは開かれたのだ。
おるは金メダルを獲り
その祝勝会か何かだろうか」。
マラソン日本の面目躍如だ!
「嘉納先生 岸先生 武田先生
可児先生」。
(可児)金メダルおめでとう!
ありがとうございます!
みんな 来てるぞ!
「永井先生 高師のみんな 野口君
一緒に ベルリンオリンピックを走った
選手たち」。
乾杯!
(四三・ドイツ語で)
(どよめき)
「スヤは
人形のような西洋のドレスば着て
音も立てず スススッと近づいた」。
妻の スヤです。
(拍手と歓声)
「我 晴れて スヤを皆に紹介し
大いに祝福を受ける」。
スヤ。
(スヤ)フフッ…。
「スヤの励ましと支援に応えるに
金メダルより ふさわしきものなし」。
「目が覚めて思う
この夢をいつか かなえん。
スヤと生まれてくる子のために」。
ただいま戻りました。
何やってんだよ。
奥さん 今 帰ったとこだよ。
ばば!
スヤ!
スヤ!
スヤ! スヤ!
スヤ!
ああ!
ハァハァ ハァハァ…。
さすが金栗選手 市電より速かね。
スヤ…。
スヤ…。
何ね?
どぎゃんね? 体ん調子は。
悪かったら来とらんけん。
そぎゃんね。
あっ…。
金メダルね?
フフッ フフフフ… アハハハ。
ハハハハ…。
泊まらんね?
帰ります。
そぎゃんね。
あっ 俺も夏には帰るけん。
そぎゃんね。
うん!
いや… うん。
吸って吸って 吐いて吐いて。
ハッハッ。
吸って吸って 吐いて吐いて。
ハッハ。
スッスッ ハッハッ スッスッ ハッハッ…。
(四三 スヤ)スッスッ ハッハッ
スッスッ ハッハッ…。
大きく吸って吸って 吐いて吐いて。
ハッハッ!
吸って吸って…。
ハッハ!
スッスッ ハッハッ スッスッ ハッハッ…。
はい…。
(産声)
スヤ…。
「大正8年4月28日。
スヤは無事 男の子を出産。
大正の『正』に 明治の『明』で
正明と命名す」。
(孝蔵)<その夏 四三と秋葉は
下関・東京間1,200kmを
二十日間で見事 走破>
<結局 夏にも
熊本へは帰らなかったんですね。
ひでえ父親ですな>
すみません!
下関までは来たばってんが…。
しっ しっ。
えっ?
今 寝たばっかりですけん。
走って東京に帰ったようで。
もうよかです。
スヤさん…。
逆らわずして勝つ!
しっ。
調子に乗んな。 こん あんぽんたんめが。
あっ… ばってん 四三も
親になって 心ば入れ替えたか
近頃は 便りの頻繁に送ってくるそうで。
問題は宛名ばい。 見なっせ。
以前は 「幾江殿 スヤ殿」だったばってん
いつからか 「幾江殿」「スヤ殿」と
2通に分かれるようになって
しまいにゃ 「幾江殿 正明」になった。
もう スヤ宛ての手紙は読めんばい。
いや… 読んどりますよね。
封の開いとりますもんね。
当たり前たい。 うちの手紙には
絵しか描いとらん。 ほう。
何とも言えん 山ん絵と…
これは? 犬? キツネか?
(実次)足袋じゃなかですか?
駄目だ 駄目だ
ゴム底だけは受け入れられん。
いやいや いやいや… そこをなんとか!
今まで どんな注文も受けてきた。
だがな ゴム底だけは… その一線だけは
どうしても越えられねえ。
底が布じゃ 一日もたんです!
下関の時も途中で足らんようになって
宿に送ってもろたけん。
いいか!? 底がゴムで ひもで結んだら
それはもう足袋じゃねえ。 靴だ。
運動靴だ!
足袋職人の俺に靴作れってのか?
だったらな 靴職人に足袋作ってもらえ!
それじゃあ 駄目とです!
辛作さん 日本中探しても
播磨屋のマラソン足袋に勝る
シューズはなかです!
シューズじゃねえ! 足袋だ!
<そのころ 自動車の普及に伴い
東京の道は
徐々に舗装されつつありました>
いってえな! なにが舗装道路だよ。
足が痛くて走れねえや。
おい おい… で どうなんだ?
まぬけなやくざは何つってんだ?
徳重とは これで話がついたよ。
おい… 濡れ衣で 指まで
持ってかれたんじゃ たまんねえよ おい。
違った 違った。 これじゃねえ これだ。
徳重も本音は終わりにしたがってる。
要は体面さ。 てめえの女 寝取った野郎が
のうのうと寄席に出てるようじゃ
さすがに やくざの面目も丸潰れだ。
寝取ってねえけどな。
つまり ほとぼりが冷めるまで
東京から離れてなってこと。
そのほとぼりが冷めるには
どれぐらいかかるんだ?
これ。 1年だよ。
(ため息)
まっ 寄席に出らんねえんじゃ
東京にいたって しょうがねえや。
すまねえな。
清公は悪くねえや。
小梅だって 昔から苦労した仲だ。
恨みはしねえ。
いろんなやつがいて いいんじゃねえか?
俺が言えた義理じゃねえけどよ
孝ちゃん…。
何だい?
腐るなよ。
うん。
ねえんだろ?
うん…。
出世払いでいいよ。
お前 俺が出世すると思ってんのかい?
するよ。 三遊亭朝太は
日本一の噺家になるんだ。
そんなこと
言ってくれんのは お前だけだよ。
俺だけでもいいじゃねえかよ。
おい… ちょっと どいてくれ どいてくれ。
きっと偉くなるよ。
そりゃ 今は
お前より うめえやつが何人もいる。
だけどな いつか お前の方がうまくなる。
そう俺は踏んでる。
だからな 孝ちゃん…。
な… 何だよ? えっ 何? うそ…。
走れ!
(徳重)朝太!
離せ この野郎! 離れろ!
行け… 行け! 早く行け!
(志ん生)
その足で 私は東京を離れました。
小円朝師匠に 二ツ目の許しを頂いて
晴れて 私は三遊亭円菊と名乗り…。
違いますね。 円菊は
2度目の旅から戻ったあとです。
ちゃんと やって下さいよ
自分の話なんだから。
しょうがないじゃん
おじいちゃんなんだから。
さっきから ずっと パンツ見えてるよ。
フフッ これが一番楽。
(りん)結婚前のことはね
あんまり覚えてないのよ。
ねえ おとうちゃん。
じゃあ そこからお願いします。
(美津子)昔話もいいけどさ 五りん
あんた 噺のお稽古は ちゃんとしてんの?
お父ちゃんに べったりじゃなくて
たまには あにさんたちに
落語の稽古つけてもらわなくっちゃ。
こいつはね これでいいの。
そういうことでね
置いてるわけじゃねえんだから。
そういうのはいいんです。
僕 フラがあるんで。
自分で言ってちゃ世話ねえや。
よし…。
(孝蔵)<大正8年 パリ講和会議を経て
第一次世界大戦は終結します>
(野口)「驛傳 對 マラソン」ですと!?
日光から東京までは 130km…。
<暴走機関車の四三君。
今度は 日光から東京
130kmの無謀なレースを思いついた。
生徒たちは駅伝。 なんと四三君は…>
一人で走りきる。
(野口)130kmをぶっ通しで!?
こぎゃんなったら
人間の持久力の限界に挑戦するばい。
(辛作)だったら… これ履いて走んな。
ばっ!
これ… ゴム…。
足袋のせいで完走できなかったなんて
言われたくねえからよ。
辛作さん… ありがとうございます。
せいぜい頑張んな。
はい! 絶対 勝ちます!
<一方 女子体育を巡る戦いは
第三勢力の登場により
更に面倒なことに。
文部省の要請で アメリカに留学していた
可児先生が
2年半ぶりに
帰ってきたのです>
カニ歩き カニ歩き…。
アメリカと比べ
我が国の体育は2歩も3歩も後れておる。
黙れ 半かじり。
はい 大臀筋。 え 女性は
大臀筋の発育が盛んである。
骨盤が バン 臀部が デン。
女であることに自信を持ちなさい。
私は 女だ!
(学生たち)私は 女だ。
はい 声が小さいよ。 もう一度いくよ。
私は 女だ!
(学生たち)私は 女だ!
(可児)それが どうした!
それが どうした!
かかってこいよ。
(治五郎)いい加減にしたまえ!
戦争が終わったというのに
いつまで もめてるんだ!
これじゃ スタジアム建設計画は
遅々として進まん。
(可児)ワオ!
(治五郎)3万人から5万人を収容する
競技場。 これを神宮外苑に建設するんだ。
(武田)えっ 神宮外苑!?
反対意見は聞かんぞ。 我が国の
スポーツの発展 体育の向上のために
今 必要なものは
それら全てを受け入れる容れ物だ。
人々が集い 体を動かすための競技場
それさえあれば
運動会も ダンスも 兵式体操も
それから… オリンピックも!
(野口)オリンピック!
(治五郎)アハハ… 野口君。
ご無沙汰しております!
お いいところへ来た。
世界に恥じないスタジアムを造り
いずれ ここで…
オリンピックだ!
(拍手と歓声)
スッスッ ハッハッ スッスッ ハッハッ…。
金栗さんが帰ってきたぞ!
(歓声)
金栗さん! 金栗さん!
<130km 20時間の連続マラソン。
さすがの韋駄天も
駅伝には勝てませんでした>
(拍手と歓声)
やりましたね! やりましたね
130kmですよ 金栗さん! 金栗さん!
(辛作)ちょっとどいてくれ。 ごめんよ。
ごめん ちょっとどいてくれ。
あ 辛作さん…
すいまっせん 辛作さん…。
勝った… 勝ったぞ!
負けました。
あんたは負けたが 俺は勝った!
最後まで もったじゃねえかよ 1足で!
播磨屋の足袋が
130kmの道のりに勝ったんだよ!
ああ!
金栗さん ありがとう!
ああ!
<日光・東京間を走り終えた韋駄天は
こんな言葉を残しています>
燃え尽きた。
あれ? これ…。
(岸)どうした?
いや 校長宛てに フランスから手紙が…。
何でしたっけ? このマーク。
督促状じゃないのか? 借金の。
校長?
(可児)校長…。
うるさい!
<それは クーベルタン男爵からの親書>
ハハハ…!
<1920年 夏 8年ぶりに オリンピックを
開催するという知らせでした>
韋駄天を呼べ! 韋駄天を!
ハハハハ…。
箱根駅伝ばい!
(治五郎)我が国において マラソンは
今や 国民的スポーツである。
自分は 金栗さんには なれません!
<みんな大好き 箱根駅伝>
走れ! この道は
オリンピックにつながっとるばい!
頑張れ! 頑張れ 頑張れ もう少しだ!
<何これ めっちゃ泣ける>
金栗に
これに勝るものはないと言わしめた
黒坂辛作の足袋。
足袋にゴムソールをつけることで始まった
ハリマヤシューズは
その後 日本のマラソン選手にとって
欠かせないものとなっていきます。
谷口浩美さんはハリマヤシューズを履き
箱根駅伝で3年連続 区間賞を取りました。
今からでしたら もう40年前ですか。
…の時代は
播磨屋さんが すごく
全国の陸上界のシェアは
取ってたんじゃないかなと思いますね。
まあ 私たち選手は
ただ走ることだけなので
そういう身の回りの技術的なものとかは
お願いするしかありませんので
そのお願いを聞いてくれたっていう
播磨屋の黒坂さんは
逆言うと すごいなと思いますね。
今はなき 播磨屋。
選手と二人三脚の靴作りは
孫の代まで継承されていました。
選手と職人の絆が
東京・大塚の地に
今もなお記されています。
「いだてん~東京オリムピック噺」の見逃し配信を無料視聴する方法
「いだてん~東京オリムピック噺」第17話と第18話のネタバレ感想やあらすじの紹介まとめ
2019年の大河ドラマは、33年ぶりに近現代史を扱う「いだてん~東京オリムピック噺」です。
オリンピック初参加から「オリンピック」開催までの激動の52年間を、描く「東京&オリンピック」の物語。
第17話では…ベルリンオリンピックが中止になり、四三は教員に。マラソン選手の育成と駅伝大会の開催を目標にします。そんな中、スヤの妊娠が発覚します。
第18話では…
この記事では、ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺』を各話ごとに詳細にネタバレとあらすじや感想を更新していきますので、ぜひご覧ください!