【MLBが遂にゲーム改革に乗り出した】
すでに本欄でも報告しているが、MLBがつい先日、米国内でトップクラスの独立リーグである『アトランティック・リーグ』と3年間の業務提携を結んだ。米メディアの報道によれば、単なる業務提携ではなく、MLBが将来的に採用を考えている改革案を同リーグで試験運用するのが主目的としていた。
そうした改革案についてもメディアの間で報じられてきたが、遂にMLBが具体的な内容を明らかにしたのだ。ツイッターのMLB広報アカウントも、以下のようにツイートしている。これらの改革案はすべて、今シーズンのアトランティック・リーグで採用される予定だ。
【試験導入7項目を一挙紹介!】
それでは試験導入される7項目についてチェックしていきたい。
・レーダー追尾システム『トラックマン』を使用し、主審のストライク、ボール判定の補助
・投手交代もしくは負傷以外でコーチ、選手がマウンドに行くのを禁止
・投手は負傷時を除き、最低でも3人の打者もしくはイニングの最後まで投げないと交代できない
・一塁、二塁、三塁ベースのサイズを現在の15インチ四方(約38センチ)から18インチ四方(約46センチ)に拡大
・投手がボールを投げる時点で二塁ベースを挟んだ両側にそれぞれ2人の内野手がいなければならない(シフト守備の禁止)
・イニングの攻守交代や投手交代の制限時間を2分5秒から1分45秒に短縮
・投手のプレートの位置を24インチ(約61センチ)後方に下げる(シーズン後半戦のみ採用/マウンドの高さ、傾斜は変更無し)
大きな変更点は、やはりマウンド位置の変更とシフト守備の禁止になるだろう。この2つが実際にMLBで導入されれば、試合が大きく様変わりするのは間違いないところだ。これら2項目はいずれも投手に不利にはたらくことになりそうだ。
現在オープン戦で試験導入されている「ピッチクロック」についても、投手の間で不満の声が挙がっている。果たして投手たちはどう考えるのだろうか。
【本格導入には選手会の了承が必要】
これら7項目はあくまでアトランティック・リーグで試験導入されるだけで、今シーズン中にMLBで正式採用されることはないが、早ければ来シーズンから導入される可能性はある。
これらが正式採用されるには選手会の了承が必要になってくる。彼らを説得するにはその効果を具体的に示すのも重要なことだ。そのための試験導入するための場を求め、アトランティック・リーグと業務提携を結んだわけだ。
【将来的にはNPBにも波及?】
MLB主導でベースのサイズやマウンド位置が変更されることになれば、将来的には彼らが主催するWBCでも採用される可能性もあり、そうなればNPBへも影響を及ぼすことになるはずだ。決して看過することはできない動きだ。
NPBとしては、今後もMLBのゲーム改革を注視していくしかないだろう。