Spresense ハードウェアについて
1. Spresense ボードについて
Spresense ボードは2つのボードから構成されています。
Spresense メインボードには、ソニーが開発したIoT向けのセンシングプロセッサが搭載されており、Spresense メインボード単独でも動作することができます。
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CXD5602 センシングプロセッサ
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CXD5247 パワーマネージメント&オーディオアナログIC
Spresense拡張ボードは、Spresenseメインボードのインターフェイスの拡張を行う基板になります。 Spresense メインボードとSpresense 拡張ボードは Board-to-Board (B-2-B) コネクタで接続されており、 Spresense拡張ボードは、この拡張ボードをメインボードに接続することで、Arduino Uno互換のピン形状を構成することができます。 ただ、Spresense 拡張ボードのピン仕様について、Arduino Uno と一部異なる部分があります。詳細については、Spresense と Arduino Uno の違い を参照してください。
1.1. Spresenseメインボード
Spresense メインボードは次のような特徴があります。
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センシングプロセッサ CXD5602 搭載
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8 MB フラッシュメモリ
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フットプリントの小さな基板
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Camera 専用コネクタ
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GNSS (GPS)アンテナ
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拡張性を備えたコネクタ、機能
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各種GPIO (UART, SPI, I2C, I2S)
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ADC 2チャンネル
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アプリケーション用 LED x 4 (緑)
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通電表示用LED(青)
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Spresense メインボードの基準I/O電圧は1.8Vです。1.8V以上の電圧を加えると Spresense のチップセットが破壊される可能性があります。取扱いには十分注意してください。 |
メインボードに配置されるコネクタならびにスイッチなどの回路上の名称を以下に示します。
各部名称 | 説明 |
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[PWR] Power LED | 電源LED。電源供給されているときに青色に点灯します。 |
[RST] Reset button | リセットボタン |
[LED0] - [LED3] | アプリケーションから使える4つのビルトインの緑色LED |
[CN2] | micro USB Type-B コネクタ。Sketchなどプログラムのロードやデバッグの目的で利用するUSB/UART用のコネクタになります。 |
[CN4] | B-2-Bコネクタ 拡張ボードと接続するための100pinのコネクタ(裏面に配置) |
[CN5] Camera Connector | Spresenseカメラボードと接続するためのカメラ専用コネクタ |
[BR] Boot Recovery Button | 工場出荷状態へ復旧する際に利用し、通常は使用しません。 |
メインボードのブロックダイアグラムを以下に示します。
メインボードの回路図のPDFは次のリンクから入手できます。 Spresenseメインボード回路図
1.2. Spresense拡張ボード
Spresense 拡張ボードは Arduino Uno 互換のピンソケットに加えて、次の端子を備えています。
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ヘッドホンジャック
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micro SD カードスロット
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USB コネクタ
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マイク接続用ピンヘッダー
拡張ボードに配置されるコネクタならびにスイッチなどの回路上の名称を以下に示します。
端子・ジャンパ名 | 説明 |
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CN3 | B-2-Bコネクタ メインボードと接続するための100ピンのコネクタ |
CN4 | micro SD カードスロット |
CN6 | micro USB Type-B コネクタ。USBのMSC(Mass Storage Class)機能を提供することが可能で、拡張ボードのSDカードにPC から直接アクセスできます。 |
CN7 | ヘッドフォンジャック 3極 3.5mmコネクタ |
JP1 | デジタル入出力端子基準電圧設定 5V or 3.3V |
JP10 - pin 3 to 16 | マイクを接続するためのピンになります。これらのピンはアナログマイク、もしくはデジタルマイクが接続できます。詳しくは、マイクの使用方法を参照してください。 |
JP10 - pin 1, 2 | UART2 端子(D00, D01)をメインボードで使うか、拡張ボードで使うかを選択します。ショートすると メインボード上の UART2 端子 (1.8V) が有効になります。 |
JP14 | ショートすることでJP10をデジタルマイク端子用に設定が出来ます。詳しくは、マイクの使用方法を参照してください。 |
拡張ボードのブロックダイアグラムを以下に示します。
拡張ボードの回路図のPDFは次のリンクから入手できます。 Spresense拡張ボード回路図
1.3. Spresenseカメラボード
Spresenseカメラボードにはカメラモジュールが搭載されています。このカメラモジュールはソニー製イメージセンサISX012とレンズから構成されており、Spresenseから の指示でカメラとして起動します。
イメージセンサISX012は有効画素数 511万画素の画像センサでJPEGエンコーダを搭載しているため、RAW、Y/C、RGBに加えJPEG形式の画像を Spresenseに送ることができます。
ISX012の仕様表を下記に記載いたします。
イメージサンサー | |
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センサータイプ | 1/4型 CMOSイメージセンサー |
有効画画素数 | 511万画素 |
記録画素数 | 504万画素 |
カメラ制御 | |
ISO感度 | ISO 40~800 |
シーンセレクション | 12パターン |
露出制御 | 自動、シャッター優先、ISO感度優先、長時間AEモード |
測光モード | マルチパターン、中央重点、画面全体平均、スポット |
露出補正 | ±2EV、 1/3EVステップ |
シャッタースピード | 1/8 s(長時間AEモード)~1/42000 s |
ホワイトバランス設定 | オートホワイトバランス、太陽光、曇天、蛍光灯、ランプ |
フォーカス制御 | オート、 シングルAF、連続AF、マニュアル |
画像フォーマット | |
出力画像フォーマット | JPEG(4:2:2)、Y/Cb/Cr、YUV、RGB、RAW、JPEG+YUV(サムネイル) |
静止画データレート | 5M pixel 15 frame/s JPEG output |
動画データレート | SVGA 30 frame/s YCbCr output |
HDビデオ出力 | 1080p(1920×1030 30 frame/s)、720p(1208×720 60 frame/s) |
また、レンズの仕様表を下記に記載いたします。
機能 | 性能 |
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レンズ構成 | 1/4インチ 4枚 |
有効焦点距離 | 2.74mm |
F値 | 2.0±5% |
画角 | 78°±3° |
主光線角 | <33.5° |
歪曲収差 | <1.5% |
解像度 | 中心1100本、四隅900本 |
焦点距離 | 1.5m |
焦点範囲 | 77.5~237.06cm |
カメラボードの回路図のPDFは次のリンクから入手できます。 Spresense カメラボード回路図
2. Spresense ボードの使用方法について
2.1. Spresense メインボードへの遮光シールの貼付方法
Spresense メインボードをご使用の前には付属の遮光シールを下図のIC4を覆うように貼付してください。
太陽光の当たる場所や強い光の下などでご使用いただくと誤動作の原因となりますので、遮光シールを必ず貼付してください。 |
再貼付の際は下記の遮光シールを推奨します。
製造会社 | 品名 |
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シュアーテープ | CP-743 |
2.2. SpresenseメインボードとSpresense拡張ボードの接続方法
ここでは、Spresense拡張ボードとSpresenseメインボードの取り付け方法を説明します。
Spresense 拡張ボードには、メインボードと接続するためのスペーサーが4つ付属しています。
このスペーサーを Spresense 拡張ボードのスルーホールに差し込みます。スルーホールの場所に注意してください。
Spresense拡張ボードにスペーサーを取り付けた後に、Spresenseメインボードを取付ます。
取付の際は、メインボードの向きに注意してください。USBコネクタを同じ方向にしてください。 |
USBコネクタが同じ方向に向いていれば、Spresenseメインボードと、Spresense拡張ボードの接続は完了です。
取り付け終了後、再度SpresenseメインボードとSpresense拡張ボードを上下から指で押さえるなどして、B-2-Bコネクタの嵌合をご確認ください。 嵌合が不完全な場合、micro SDカードやオーディオ機能などのSpresense拡張ボード上の機能が動作しないことがありますのでご注意ください。
接続後はメインボードと拡張ボードを無理に取り外さないように注意してください。 |
2.3. SpresenseメインボードとSpresenseカメラボードの接続方法と準備
ここでは、SpresenseメインボードへのSpresenseカメラボードの取り付け方法を説明します。
カメラモジュールは静電気に非常に弱いため、カメラボードを取り扱う前には十分に接地された金属やコンクリート、アスファルト、木材、クロス紙などに 触れ、人体から静電気を除去してください。静電気が発生するとカメラモジュールの故障の原因となります。 |
カメラボードのフラットケーブルを下図のようにメインボードのカメラ専用コネクタ(CN5)に奥までしっかりと挿し込んでください。フラットケーブルには裏表があります。 電極の向きが下図と同じ向き(microUSBコネクタ側)になるように挿しこんで下さい。
なお、このカメラのレンズは小さな半透明の青いプラスチックフィルムで覆われています。これはレンズを保護するためのものですので、ご使用前には取り除いてください。 取り除く際は慎重にはがしてください。
2.4. Spresenseカメラボード側のフラットケーブルについて
カメラボードのフラットケーブルが挿し込まれているコネクタは破損しやすいため、カメラボードからフラットケーブルは極力取り外さないでください。 フラットケーブルを挿抜する際には、以下の指示に従ってください。
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フラットケーブルを抜く場合
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A. コネクタのレバーの両サイドに均一の力をかけて、基板と水平にゆっくりとレバーをスライドさせ押し出します。
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B. フラットケーブルを引き抜きます。
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フラットケーブルを挿す場合
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C. コネクタにフラットケーブルを奥までしっかり挿入します。フラットケーブルの電極側が下記の図の場合、上を向くようにして下さい。
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D. コネクタのレバーの両サイドに均一の力をかけて、基板と水平にゆっくりとレバーをスライドさせ押し込みます。
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カメラボードのコネクタのレバー操作はゆっくり慎重に行ってください。 レバーの両サイドに別々の力をかけたり、基板に対して水平方向以外の向きに動かすとレバー破損の原因となります。 |
また、カメラ用フラットケーブルが破損してしまった場合に代替品として使用できるフラットケーブルを以下に示します。できるだけ短いフラットケーブルをご使用下さい。
製造会社 | 品名 | 長さ |
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Molex | 15166-0211 | 102mm |
Molex | 15166-0213 | 127mm |
Wurth Electronics | 687620100002 | 100mm |
2.5. Spresense ボードへの電源供給方法
Spresense ボードに電源供給する方法はいくつかあります。
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メインボード上にある micro USB コネクタによる電源供給がもっとも一般的な使用方法です。PCとメインボードを接続することで、電源供給とプログラミングの両方を行うことができます。この micro USB ポートは、PCからシリアルポートとして認識されます。
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拡張ボードのVOUTピンに5V±0.25V電源する方法で、他の基板などから電源を供給する場合に便利です。ただし、5V±0.25Vの範囲に満たない電圧の電源を接続した場合、CXD5602が破壊される恐れがありますので、取り扱いには十分に注意してください。
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拡張ボードが取り付けられていた場合、拡張ボード上にある micro USB コネクタからも電源供給をすることができます。拡張ボード側の micro USB ポートは、PCからは MSC(Mass Storage Class) と認識され、例えば、拡張ボード上のSDカードをストレージとして活用でき、データのやりとりを行うことができます。
Spresense ボードへのUSBコネクタからの電源供給には、USBモバイルバッテリーをご利用いただくことも可能です。ただし、オートパワーオフ機能を有するUSBモバイルバッテリーを使用した場合、Spresenseボードの消費電力が非常に小さいことから、オートパワーオフが有効になり、動作しない場合があります。確実に動作を期待する場合は、「常時ON」機能をもつUSBモバイルバッテリーをご利用ください。 |
上記の電源供給は複数から同時に行うことが可能です。
また micro USBコネクタを経由して電源を供給する場合には、できるだけ太く短い micro USBケーブルをご使用ください。