ブタX,Y精子の分離技術

ブタX,Y精子の分離技術

タイトルブタX,Y精子の分離技術
要約パーコール密度勾配遠心分離法およびフローサイトメトリー法によるブタX,Y精子分離精度について、多重染色蛍光in situハイブリダイゼーション法を用いて検討したところ、パーコール密度勾配遠心法では十分な分離効果が認められなかったが、フローサイトメトリー法では80~90%の高い精度でXあるいはY精子の分離が可能であった。
担当機関静岡県中小家畜試験場 養豚研究スタッフ
連絡先0537-35-2291
区分(部会名)関東東海農業
専門繁殖
研究対象
分類研究
背景・ねらい豚を初めとした家畜においては、有効なX、Y精子分離方法がない。これは家畜には確実なX、Y精子の判別方法がなかったためと思われる。最近、遺伝子(DNA)解析技術が進歩し、DNAを解析することにより雌雄を判別する技術が開発されつつある。当試験場では、これまでにY染色体特異的DNAプローブを用いたインサイチュウハイブリダイゼーション法で豚のX、Y精子の判別方法について検討し、判別が可能であることを証明した。この方法を利用して豚X,Y精子の分離方法について検討した。
成果の内容・特徴
  1. パーコール密度勾配遠心分離法(表1)
    ヒトでX,Y精子の分離が可能であると報告されている方法 (Kaneko et al. 1984) に準じてブタのX,Y精子の分離を試みた。2回の反復遠心分離を行ったところ、精子の沈降パターンは1回目と2回目で著しく異なり、1回目の遠心分離後の回収精子は60~80%パーコール層に集中する傾向が認められたが、2回目遠心後では全体の62.1%が80%層で回収された。処理前、1および2回目の遠心分離処理後の管底(80%パーコール層)のY精子の割合は、それぞれ55.6%、49.8%、47.1%となり、ヒトで報告されたような分離効果は得られなかった。
  2. フローサイトメトリー法(表2)
    Johnsonら(1991)の方法によりブタX,Y精子の分離を試み、多重染色迅速FISH法およびフローサイトメトリー再解析法により分離精度を判定した。FISH法判定では、X精子の分離割合は平均 87.4%、Y精子の分離割合は85.9%、フローサイトメトリー再解析法による判定では、X精子の割合は87.0%、Y精子の割合は84.8%であった。以上の結果から、フローサイトメトリーのブタX,Y精子の分離精度は高く、フローサイトメトリー再解析法での評価も信頼できるものと思われた。
成果の活用面・留意点フローサイトメトリー法ではX,Y精子を分離できるが、野外で人工授精に用いるのに十分な精子数を確保するのが困難である。また、機械も高額である。したがって、少ない精子数での授精条件、例えば体外受精や卵管内受精での活用条件を検討することが必要と思われる。
具体的データ
図表
図表
予算区分県単
研究期間1998~1998
発行年度1998
収録データベース研究成果情報

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