朝鮮日報

【コラム】2年前の文大統領就任演説、読み返したら「うその饗宴」だった

【コラム】2年前の文大統領就任演説、読み返したら「うその饗宴」だった

 今月10日で文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任からちょうど2年となるが、2年前のこの日に文大統領が行った就任演説の内容を改めて読んでみたところ、それは一言で「うその饗宴」だった。約束を守ろうとしたが守れなかったのか、あるいは最初からそのつもりがなかったのかは分からないが、結果的に主な内容はどれもうそになった。文大統領は就任演説の冒頭「あえて約束したい。2017年5月10日は本当の国民統合の日として歴史に記録されるだろう」「今日からは私を支持しなかった方たちに対しても、わが国民として心から仕えたい」などと述べていた。しかしその後に起こったことを思い起こすと、演説を読んでいるこちらが恥ずかしく感じるほどだ。文大統領就任と同時に始まった「積弊清算」に伴い、社会のさまざまな方面で人民裁判とも言える弾圧が相次ぎ、捜査を受けた前政権関係者は110人を上回った。懲役の期間を合計すると130年以上にもなるという。また4人が自殺し、1人は全ての国家機関から攻撃を受け幽明相隔てる結果も招いた。2017年5月10日は朝鮮王朝時代の士禍(官僚弾圧)にも匹敵する残忍な政治報復が始まった日として記録されるだろう。

 文大統領は「分裂と葛藤の政治を変える」「保守と進歩の葛藤は終わらせなければならない」「大統領自ら対話に乗り出す。野党は国政の同伴者であり、対話を定例化する」などとも語っていた。しかし強制的に選挙制度を変えようとする今の暴挙は、「野党は敵」と考えなければあり得ないことだ。

 文大統領は「大統領の帝王的な権力をできるだけ分散する」「権力機関は政治から完全に独立させる」とも述べた。ところが検察をはじめとする権力機関は大統領の忠犬となり、標的となった人間を人間狩り同様に苦しめた。大統領が指示した朴賛珠(パク・チャンジュ)元陸軍大将に対する捜査、機務司令部(韓国軍の情報部隊)による戒厳文書の捜査などは竜頭蛇尾どころか完全な誣告(ぶこく)とも言えるものだった。権力機関がこのあり得ない捜査によって関係者たちを苦しめ、あるケースでは100万ウォン(約10万円)の収賄罪を着せようとしたが、結局は無罪となった。

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