今回の無茶な地上げの原因は、お金の亡者がタックルを組んだところから始まったのだが、彼らが唯一想定しなかった相手に出くわしてしまった。


その上、この家に執着した記録魔のじいさんがいたこと。何でも書きまくる。「この家も土地もワシのもんじゃ!お前になんか何もやっとりゃせんわ」と女地主にあの世から毒突くが、女地主は素知らぬ顔。

ただちょっと運が悪かったのは、去年の地震で爺さんの大切な記録を大半娘が処分してしまったことである。それでもも残った記録はかなりあった。山崎一家は仕事の合間に残った書類を読んでいると、アレヤコレヤと出てくるわ出てくるわで、これで刑事告訴できると大喜び。


地上げ屋さん「地主さん、私達、警察に被害届けを出されてしまったよ。あなたの言うとおりにしたらエライことになってしまったよ。」

地主さん「あんたもうまくいくから任しておいてと言ったじゃないの。トラブルは上手く解決するって言ったじゃないのよ。」

地上げ屋さん「まあ、早く地主さんは買主さんに土地を売ってしまってください。そうすれば、新しい地主さんが、何も知らないことにしてあの建物を解体してすぐにマンションを建てるから。」


爺さん「聞いたぞ、お前たち。そうはさせるものか。」


買い主「あっ、又、警察が来た。兎に角、この家を早くぶっ壊して滅失登記をしなくては。」


未だに成仏できない爺さんは孫のケイトに取り付いて、「謝れ、壊すな、直せ」と言い続ける。


買い主「あんな変人はあったことがない。お金の話に乗ってこんから、話し合いにならなん。地主さんよ、あんたはいっぱい嘘をついていたんじゃないか。金を返せ。全部返せ。」


地主さん「私、弁護士を雇ったのよ。ねえ、先生、この人達自業自得だわねえ。私、お金絶対返さないわよ。」


弁護士さん「買主さんは、仲介業者さんに文句をい言うべきで、地主さんは仲介業者さんとのみ話し合いに応じるべきです。それともお宅達ははじめからグルになって地主さんを騙そうとしたのじゃないですか?」

地主さん「そうよ、私はホントの事を言っているのにダアーレも信じてくれないのよ。弁護士先生だけが私の味方。」

弁護士さん「お宅達も、状況は非常に厳しいということがわかっておいでかな。我々3者は同じ穴のムジナとして刑事告訴されるのですぞ。今回の難題は、お宅達がフロント企業だという疑惑がどこまでもつきまとうことです。あなた達、ひょっとすると、宅建の資格を取り上げられるかもしれませんね。地主さんは信じていることをあなた達に言っただけで、その確認を怠った責任はあなた達にあるのですよ。地主さんは素人で、あなた達はプロではありませんか。」

買主さんは、ひたすら金を返せと怒鳴りまくり、地上げ屋さんはな~んも知らなかったと繰り返し、地主は本当のことを言っていると言い張り続ける。あの世から、爺さんは「家を元通りにせえー!」と怒り狂う。