おはようございます。
コメント欄からご指摘いただいた件。
確かに東京編はちょっと甘いんですよね。
大森氏にしてはちょっと甘い。そう突っ込みたくなるところはあります。
例えば「川村屋」での偶然ともいえる出会いは、いささか強引さも感じました。セットにしてもそういうところがあると。
北海道は、方言指導ひとつとっても鉄壁ですので、その落差はちょっとありますよね。
『永遠のニシパ』への期待が高まりますが。
女の子の夢を、どうして周囲が決めるの?
そんな金曜日。
スキー大会ゼッケン4番の天陽と5番の照男が対峙。
照男は、天陽のなつに対する思いを確認します。
「なつのこと。好きなのか?」
天陽はそのことを認めます。それを「言え」と迫られ、天陽は戸惑います。
なして強制されねばならんのか、ということです。
「兄貴だから。なつが好きなら、ちゃんと言ってやれ」
「好きだけど、言えません」
言うと、なっちゃんの夢を諦めさせてしまうから。
これ以上言えない。そう戸惑う天陽です。
ただ、照男からすれば理解できない。
女の夢は、好きな相手と結婚すること。それが最適解だという考えがある。
「なつの夢は、お前と一緒にいることだべ」
「なっちゃんの気持ちがわからない……」
絶望的なまでに、話が通じません。
これは昨日も書きましたが、まさに現代の表現が考えるべきことなのです。
勝利条件を確認せよ
そしてここで、照男と天陽の間でひねった、彼らなりに妥協した勝利条件を出します。
照男勝利:天陽がなつに思いを伝える
天陽勝利:なっちゃんを諦める(=なつに夢を選ばせる)
これって、ものすごくわかりにくいと思いませんか?
ナゼ、勝った側がなつに恋心を伝える。
そういう流れにいかないのか。
それは本作の、練りに練った到達地点であると思います。
天陽は周囲から一歩進んでいる。しかし、理解できない側からすればただの変人になりかねない。
そんな天に近いような彼は、なつの夢こそ選ばれるべきだというところにいる。
なつを引き止めかねない告白は、堕落した行為になってしまうのです。
照男も、なつの気持ちを無視できない。
だからこそ、天陽となつが相思相愛ならば、一歩引こうと考えています。
しかし、これを理解していない人物がいます。
知略99、知将・泰樹なんじゃああ!
軍師のぬかり
泰樹は、知略がともかく高い。
計算づくで、勝てばよかろう。そう思い込んでいます。
そういう軍師タイプが陥る罠。
それが、感情をベースとした予想外の事態です。心の動きを見誤るときがある。
『真田丸』のハイライトは、まさにこうした名場面でした。
己の人生を詰め込んだ、そんな感情を槍に込めて突撃してくる。
そんな真田幸村を前にして、徳川家康は逃げ惑うしかなかった――。
そういう瞬間があるんじゃああ!
軍師・泰樹を倒す条件は、演劇部の公演で示されています。
感情を揺さぶること。これです。
これは富士子と剛男の結婚もそうです。
娘の富士子が、結婚相手の男性をスペックだけで考えるのであれば、剛男だけはないと思っていた。
が、そういう相手に娘は憧れ恋をしてしまった。
開拓者としての経験。
自分の恋愛経験。
そういうことを積み上げていくとなると、彼は最強です。
そんな彼でも、夢や愛を求める。
そういう計算外にある、人間の感情には勝てない。
ぬかったわーー!
そろそろ、軍師が己のぬかりを悔やむ場面が近づいています。
そんなことに気づかず、山田家と話しているなつの姿を見て「敵軍なのに」とつぶやく泰樹。
富士子は、父に若干引いています。剛男は照男の気合を感じておりました。
応援だけだとつまらないとこぼしつつ、でも無邪気に応援しているとはしゃいでいる、なつ。
これも結構、残酷な話ですね……。
大森氏は軍師を描くの好きだし得意すぎるだろ……そう思うんですよ。
『風林火山』は、しみじみとよかった。そう思い出すことがあります。
ここ最近の戦国時代もので、軍師を描いた貴重な作品だと思うのです。
史実の山本勘助が軍師であったか。
そもそも戦国時代に軍師っていたっけ?
そういうことではありません。
思考セオリーや言動が、タイプとして戦国時代の知将として、極めてそれらしいものがありました。
大森氏あってのことでしょう。
ただ、それを朝ドラでやると、時々うっすらと不穏なんじゃああ!
好きだけどねっ。
元チャンピオン・菊介
そしていよいよ、クロスカントリーレースがスタートします。
なんとなく地味なイメージを持たれがちなクロスカントリー。
確かに、派手なアルペンスキーと比較すればそうなるかもしれません。
しかし、北欧では長いこと、
「スキーで滑ってこそ真の勇者よ!」
とみなされておりました。
日本の武士が流鏑馬をするように、北欧の戦士はスキーで滑ってこそ、
「あっぱれ、勇者である!」
とみなされて来たんですね。
そういう競技なんです!
【関連記事】スキーの歴史
いわば冬のマラソン。そういう過酷な競技です。
腕を使い、腰を使い……。
そんな競技のコツを、菊介が真顔で解説してくれている。
実は戦後初の地元チャンピオンだったという菊介。自らの後継者育成をする気満々でした。
ここは、演じる方のスキー訓練も、撮影も、かなり大変であったと思います。
スキーは慣れてないと、へっぴり腰になって非常にみっともなくなる。当人の運動神経も影響してきますが、それなりに見せるのはなかなか厳しい。
本当にがんばりましたよね。
何より寒い。絶対に寒い。それもわかります。
やっぱり、北海道で青春を描くのであれば、スキーをしないなんて惜しいことではありませんか。
代わりに犬ぞりを入れるのもありかもしれませんが、あれはちょっと特殊ですしね。『動物のお医者さん』とも違いますし。
そこをきっちりと描いて来ましたし、ここでの菊介解説がいい味を出しています。
彼最大の見せ場かもしれない。
なつへの思いをかけた対決だけが、見どころじゃないんですって!
泰樹は全くわかっていない……
レースは、照男が僅差で勝利を収めます。
泰樹は、あいつの気持ちがわかったと満足そうです。ただのスキーでしょ、と富士子はたしなめるのですが……。
実は、全然わかっていないんじゃああああああ!
そこがポイントでしょう。
当の二人は結果を確認中です。
※続きは次ページへ
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主要7社ぜんぶ入ってみました
当サイトのリポートです
25話のレビューでは
「経験で物事を予測する泰樹は、天候予測はお手の物。
人の心もそうであるはず。彼の経験からすれば、北海道に生きる男女は、情熱の赴くままに愛し合い、結婚する。そういうものでしょう。」
このように書かれ、
34話では
「かつての結婚は、当人の気持ちなど重視しなかったものです。
北海道の開拓者は、全国的に見てその傾向が一層強かった。」
こう書かれてるのですが、これはどう捉えれば良いのでしょうか?
東京編については、
「ゲス問!
『どうせ路面電車の違いなんて視聴者にはわかりゃしない。鉄道マニアなんか放っときゃいい』って思ってたんでしょ?
ロケ施設側が『近・現代のもの』だというからそれ任せで考証抜き! いい仕事だな!」(西城記者風)
「ここには手抜き、駄作の匂いがする! そんなことをする人には関わって欲しくないの! 帰って!
もう、ちゃんとして!」(黄金原聡子さん風)
なんてなことにならないように、しっかりしてほしいですよね。