シェアバイクで低まるヘルメット装着率
自転車レーンを過信することなく安全な走行を心がけたいものだが、万が一のためにはヘルメットの装着も軽視することはできない。そしてこの自転車ヘルメットについて、やや奇妙な研究が報告されている。
米・ワシントン大学の研究チームが2018年12月に「Journal of Community Health」で発表した研究では、シアトルではじまった乗り捨て式シェアバイク(free-floating bike sharing)で、何故かヘルメットの装着率が低いことが報告されている。シェアバイクのカゴにはヘルメットが備え付けられているのだが、シェアバイクのヘルメットの装着率は20%で、一方で一般のサイクリストのヘルメット装着率はこの地では90%にものぼっているのだ。
おそらくシェアバイクの利用者はまず第一に“お手軽”さに魅かれてシェアバイクを利用しているので、その“お手軽”さとヘルメット装着が結びつかないためではないかと考えられるという。つまりヘルメットを装着する行為は“お手軽”ではなくなってしまうのだ。
シェアバイクが普及した地域ほど、一般のサイクリストを含めてヘルメット装着率が低くなる傾向があることもこれまでの研究で報告されており、シアトルでもこのままシェアバイクが普及していくと、これまでの高かったヘルメット装着率が低くなる懸念も生まれてくる。
シェアバイク利用者のヘルメット装着率には地域差もあるようで、ニューヨークではさらに低く15%、ボストンでは高く39%、そしてカナダ・バンクーバーでは64%にも達しているという。
シェアバイクは近隣住人にとっても旅行者にとっても便利な移動ツールだが、その“お手軽”さに乗じて安全対策を怠ることがないようにしたいものだ。
文/仲田しんじ