タイトルにもなった「ボヘミアン・ラプソディ」を筆頭に「伝説のチャンピオン」「地獄へ道づれ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」など数多くのヒット曲、名曲を誇るクイーン。ボーカルのフレディ・マーキュリー亡き後も世界中の人々から愛されているバンドだけに、そのメンバーを演じることには相当のプレッシャーがあったという。特にカリスマの権化ともいうべきフレディ・マーキュリーに扮したラミ・マレックは悩みに悩み抜いた。
フレディは何万人もの人々を簡単に手のひらに包んでしまうようなパワーを持っていた。そんな”超人“を僕が演じられる”人間“の域に下ろすにはどうすればいいのかを考えた。その時に彼も誰かの手のひらに包まれたかったのではないかと思った。そこから探っていけば、自分と彼を繋ぐ部分があるはずだと直感したんだ。移民だったフレディはアイデンティティを探そうともがいていたけど、僕も両親がエジプトからアメリカに移住している。そんな共通点を見出したことから、段々と彼の内面に近づけたんだよ。
だが、フレディはステージングでも唯一無二の個性を放ったパフォーマー。ルックスや動きの再現でも妥協はできなかった。
通常は役作りに掛ける時間は数週間だけど、今回は1年くらい掛けたよ。アーカイヴに残されているあらゆるフッテージを観たし、アクセントを学ぶためにラジオのインタビューや彼の母親が話しているのを録音したテープも聞いた。フレディの動きは、とても自然発生的なものなんだ。だから、人物の動きをそのバックグラウンドから解読する”ムーブメント“のコーチについて指導してもらったよ。例えば、フレディはステージで拳を突き上げるポーズをステージで取っていたけど、彼は幼い時にボクシングをやっていたのでその動きが出ていた。そうやってフレディの動きが構築される過程や進化を少しずつ理解していったんだ。
以前からクイーンの音楽を愛していたという3人だが、この作品に関わったことで彼らへの敬意はさらに深まったという。ジョン・ディーコンを演じたジョセフ・マッゼロは、何度も耳にしていたはずの楽曲の印象がガラリと変わってしまったそうだ。
クイーンのメンバーを演じて、彼らが生み出してきた偉大な音楽的遺産を追体験することで、さまざまな楽曲がいかにして作られていったのか、どのようなメッセージやテーマが込められていたのかを学ぶことができた。より深くクイーンについて知ったことで愛情も深くなって、撮影終了後に仲間と車で旅行した時には彼らの曲をずっと掛けていたよ。
ブライアン・メイ役のグウィリム・リーは、クイーンが貫いた姿勢に感銘を受けた。
批評家に何を言われても気にしない。他のバンドからクールだと思われていなくても気にしない。それは自分たちの才能を信じているからなんだ。また、彼らはひとつのものにカテゴライズされるのを断固として拒否する。そして、それを守るためならばどんなリスクを取ることも恐れない。ブライアンを演じることで、そのスピリットを僕も得られたし、自信を掴むことができたよ。
そしてマレックは、改めてクイーンが秘めるパワーや先見性に驚いたという。
劇中で『ボヘミアン・ラプソディ』が批評家にこき下ろされる場面があるけど、2018年にこうしてクイーンの映画が作られて世界的ヒットを飛ばしている。このことからも、いかに彼らが革命家で時代の先を進んでいたのかがわかるよね。それとフレディを演じている最中、僕はものすごく自由になれた気がしたんだ。そうさせるパワーが彼らの音楽にあるんだよ。ひとつのものに閉じ込めることを拒むパワー。フレディも他のメンバーもステージに立って、自分のなりたい者になっていた。そして観客も、この映画を観て自分を解放していると思う。
活動初期からクイーンを応援していた熱狂的ファンが多いことでも知られる日本。マレックにとって、今回の来日には感慨深いものがあるそうだ。
クイーンは日本の人々に愛され、日本の文化を愛したバンド。彼らの音楽には、そうした日本的なDNAが組み込まれている。フレディがステージで着物を着ている写真があるけど、それは僕の最も好きな写真。映画でも着物を使ったけど、それをもらって大切にしている。クイーンは日本で50回もコンサートをしたと聞いている。そんな素晴らしい国を訪れて、映画のリリースをみなさんと一緒に喜ぶことができるなんて信じられないね。
撮影・ノザワヒロミチ 文・平田裕介
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超人であるフレディを
僕が演じられる人間の域に
いかにして下ろすかを考えた
(ラミ・マレック)