一話
西暦二〇十七年五月十五日
よく晴れた朝、俺は遅刻せずに学校に登校して、席に着いていた。
「なぁ、知ってるか裕翔、転校生が来るんだって」
俺の隣の席に座ったクラスメイトの大地がニヤニヤと話しかけてきた。
とにかく喋りたいのだろう。
「転校生? こんな時期に来るなんて珍しいな」
今は五月の半ば、新学期に合わせて転校ならともかくとして、この時期に転校してくるのは少し珍しく感じる。
「だろ? 隣のクラスらしいぜ。女の子かな? 可愛い子だったらいいな・・・っておい聞いてるのか」
「すまん、今は転校生の話題に構っている暇はないんだよ、明日にしてくれよ」
「明日ってお前なぁ……今日話さないと意味ないだろ……」
キーンコーンカーンコーン――学校のチャイムが鳴り先生が教室に入ってきた。
「ほら、先生が来たぞ席に戻れよ」
「へいへい」
大地は信じられないと言っているような顔をして席に戻った。
「今日じゃなければ、もう少し喰いついてたんだけどな――」
そう今日は転校生なんかどうでもよくなる衝撃的なイベントが起きたのだ。
ラブレターを手に入れたのだ!
厳密には靴箱にあったのだが、些細なことは気にしない俺は人生で初めてのラブレターを手に入れたこれが重要だ中身を開けると俺への愛を表す文が書かれており、最後に今日の放課後五時に屋上で待ってますと書かれていた。
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放課後になり教室で時間を潰すのは億劫になり予定より早く屋上に向かうこと決め、カバンを背負い教室を出た。
(あっちもぴったりの時間に来るとは限らないしな……)
差出人が誰かは書かれていなかった。俺が遅れると誰がラブレターを書いてくれたのかわからないので、なるべく早く行ったほうがいいと判断した。
屋上に着いて周りを確認するが誰もいなかった。携帯を取り出し時間を確認してみると四時五十分、やはり予定の時刻少々早かったようだ。
「見てくれいますか? 天国のお父さん息子はこんなにも立派に育ちましたよラブレターを貰えるぐらい立派に……」
どうやら俺は初めてのラブレターで変なテンションになってしまってるらしい、ちなみに天国の父親の下りは冗談ではなく、俺が小さい頃に親父は亡くなった。そのため、俺は親父の顔も知らずに育った。
「母さんがいたから寂しくはなかったけどな……」
彼女が来るまで暇なので携帯をイジることにしようと考えて、柵にもたれたそのとき――
バキッ!
柵が壊れて俺ごと外に放り投げ出される。
「おい、嘘だろ!!」
何でもいいから掴もうと必死になるが無残にも空を切りそのまま俺は――