大瀬良のストロングポイントと中日打線のウイークポイントが、ハッキリと出た惜敗だった。9イニングを113球、無四球でまとめた大瀬良は、完投勝利をこう振り返った。
「球数も思ったより少なかったので、9回も行かせてもらいました。3点取ってくれたので、2点までならOKくらいの気持ちで投げました。中日との相性がいいとは思っていないんですが、会沢さんがうまくリードしてくれたので」
敵地だからと謙遜したわけではない。昨季は最多勝に輝いたのに、中日戦は3勝3敗、防御率は4・31。ところが今季は前回(4月25日)の完封に続いて、無四球完投。明らかに勝手が違っている。
大瀬良は制球力が持ち味の投手だ。昨季の与四球率2・03はリーグ2位。今季はさらに1・36(ヤクルト・小川と僅差の2位)まで上昇した。一方、中日はというとリーグトップのチーム打率を誇りながら、総得点(124)では同5位に甘んじているのはなぜか。本塁打(23)が同ワーストなのもあるが、やはり四球を取れないことが響いている。85も同じくワースト。機動力は昨季から大いに改善しているのが救いだが、自滅に追い込んだり球数を投げさせてから仕留めるという攻略法は得意ではない。
四球を取れない打線が四球を出さない投手に対するのはどうすればいいか。もちろん好球必打だ。ところが、昨季は打てた大瀬良の配球に、今季はゴロの山を築かされている。
「低めを捨てているなっていう打者には、ストライクを振ってもらうことができました」。好青年丸出しの大瀬良に全く悪意はないのだが、ほぼ自在に転がせたと言われているようなものだ。前回は併殺地獄。今回はフライアウト9(ライナー含む)、ゴロアウト10、三振7とバランスよく打たされた。ちなみにローテーション通りなら次回は2週間後のマツダスタジアム。続けて3度やられると、プロの世界では天敵リストに登録される。