提督の憂鬱   作:sognathus
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無事作戦が成功した後、提督の前には今回の作戦中に発見された艦娘達が彼に挨拶をする為に並んでいました。

その数六名。
前回の作戦と同じ大人数です。
しかしその形相を眺める提督の顔はどこか浮かない感じです。
何故でしょう?

*今回も登場人物が多いので、途中から一部のキャラにセリフの前に名前が入ります。


第50話 「ようこそ」

「能代です。よろしくお願いします!」

 

「朝雲よ。よろしくね!」

 

「野分です。よろしくお願いします」

 

「浦風じゃ、よろしゅーの!」

 

「初めまして、秋月です!」

 

「プリンツ・オイゲンです。よろしくお願いしますね!」

 

「……」

 

提督は、新たに発見され部下に加わることになった艦娘達を眺めながらもその口からは歓迎の言葉が出る事はなかった。

彼の呆然とした胸中をよぎった考えはただ一つ。

 

(また増えた……しかも多い)

 

「あ、あの大佐……?」

 

黙ったまま中々喋らない提督が心配になって矢矧が声を掛ける。

 

「ん、ああ悪い。ちょっと新入りの数が多かったから驚いていただけだ」

 

「ああ、確かに結構揃った数ですよね」

 

(そうだよな。多いよな……)

 

 

浦風「あのー、うちら何かした?」

 

提督が人数だけに驚いていないことを何となく悟っただのだろう、新メンバーの一人、浦風が申し訳なさそうな顔で彼に聞いてきた。

 

秋月・野分・能代・pri「え?」

 

浦風の言葉に秋月達が驚いた顔をする。

だがそんな彼女達に対して朝雲は、浦風と同じく提督の心の機微に気付いたようで、彼女の意見に同意する様にこんな事を言った。

 

朝雲「あ、やっぱり浦風もそう思った? なーんか提督さん、私達を見る目がそんな感じじゃなかったよね」

 

「え? 大佐?」

 

二人の意見を受けて矢矧も提督に様子を窺うような目で見た。

 

「……」

 

提督はそんな彼女達の問いかけに渋い顔をしていたが、やがて軽く息を吐くと観念したようにこう言った。

 

「分かった正直に言う。なんだ、ほら……また女性が増えたな、そう思っただけだ」

 

浦風「それの何がいけんの?」

 

「ああ」

 

そこで矢矧がようやく納得したといった顔で声をあげた。

 

pri「え? なに? どういう事です?」

 

野分「矢矧さん?」

 

秋月・能代「?」

 

首を傾げるプリンツ達に矢矧はちょっと困ったような顔で苦笑しながら説明をした。

 

「大佐、つまり提督はね、女ばかりに囲まれたこの環境にまだ違和感を感じているのよ」

 

朝雲「違和感?」

 

「そう。艦娘の提督である以上それは必然的な事なんだけど、この人はその……真面目だから……。ね? そういう事でしょう? 大佐」

 

「ま……概ね矢矧の言う通りだ。こう一気に増え所為で不甲斐ない事に動揺してしまったんだ」

 

秋月「なるほど……あの、それで提督の事を階級で呼ぶのは?」

 

「それは単なる俺の要望だ。ここの基地の者は皆俺のことをそう呼ぶから、お前達も同じように呼んでもらえると仲間としても馴染み易くなるんじゃないかとな」

 

朝雲「へぇ~。ん、いいよ! て……大佐がそう望むのならわたしは呼んであげる!」

 

野分「私も異論はありません。寧ろそっちの方が好ましいかも」

 

能代「わたしもりょーかい。改めてよろしくね、大佐!」

 

秋月「そういう事なら。私も了解しました、大佐」

 

浦風「うちもじゃ! 仲良うしてね!」

 

pri「……」

 

皆が口々に同意する中、プリンツだけは発言をせず黙考して提督をジっと見ていた。

 

「プリンツさん、どうかしたの?」

 

pri「え? あ……あはは」

 

秋月「プリンツさん?」

 

pri「えっとね、ちょっと考えてたんだけど、もしここでわたしが提督の事をそう呼ばずに違う呼び方をしたら、この基地での私の存在ってどうなるのかぁって」

 

野分「自分だけ違う呼び方……?」

 

プリンツの意外な発言に野分は考えるような表情をする。

 

pri「うん。まぁわたしにはビスマルク姉さんがいるから、それをやっちゃうと浮気……になっちゃうのかな? えへへ」テレ

 

朝雲「いや、流石に呼び方が一人だけ違うだけで新参者のわたし達の立場がいきなり変わることはないんじゃないかな」

 

秋月「同意です。それに私はそんな図々しい真似はしたくないですね」

 

浦風「図々しいっちゅう言葉が気になるけど、うちもそういうのは正々堂々したいね」

 

野分(ん……やっぱりそうよね。いけないわね、私ったらなにを)カァ

 

能代「二人とも積極的なのね。まぁ……私も……あれ? 矢矧?」

 

「……」

 

能代が矢矧の方を見ると、彼女は野分と同じく何か真剣な顔で考えるような表情をしていた。

 

「矢矧? どうした?」

 

「えっ、ああえっと……な、なんでもないの。ごめんなさい」アセアセ

 

能代(あ、もしかして矢矧……)

 

「そうか? まぁ他に報告があれば後で聞こう。というわけで皆、改めて我が基地へようこそ。これからの事についていろいろ説明もあるが……取り敢えず交流の時間だったな? 矢矧」

 

「はい。皆には……そうですね。二人一組、3グループに分かれてもらって少し時間を掛けて大佐と交流してもらいます」

 

能代「じゃぁ駆逐艦の子は駆逐艦同士で組んでもらって、わたしはプリンツさんと組むといのはどう?」

 

pri「いいよ!」

 

野分「異議なしです」

 

朝雲「じゃ、わたしは野分と」

 

秋月「なら私は……」

 

浦風「うちとじゃね」

 

「決まったか? なら一度ここで解散とする」

 

「一同、気をつけ」

 

バッ

 

「よし、解散」




イベントに関係ない登場済みの艦娘では浦風と能代が数か月後氏の仲間入りとなりました。
清霜と401は残念ながら見つける事がは出来ませんでしたが、次の機会を待つことにします。

後は磯風ですね。
見た目がとても気に入っているだけに、早い建造落ちを願うばかりです。←基本掘るのが面倒な人


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