アイテム番号: SCP‐1284‐JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP‐1284‐JPはサイト-81██にある標準ロッカーに収容されています。オブジェクトとの誤認を防ぐためにサイト内に存在するVRゴーグルには全て識別マークを付けて下さい。
説明: SCP-1284-JPは異常な████社製VRゴーグルです。形状材質等一般的なVRゴーグルと違いはありません。人間がSCP‐1284‐JPを装着すると、その異常性が現れます(以後「活性状態」と表記)。
(2018/05/01)観察において録画機器に写ったSCP‐1284‐JP‐1
オブジェクトが活性状態に入ると、第一段階としてVR画面である装着者の視界上にSCP‐1284‐JP‐1が現れます。SCP‐1284‐JP‐1はゴーグルの装着者において最もポピュラーに思い浮かべられるネコの姿をしています。 SCP‐1284‐JP‐1を視認すると、対象は深い幸福感と愛着を覚え、SCP‐1284‐JP‐1に触れたいという感情を抱きます。オブジェクトが装着されると対象に癒着し、あらゆる手段をもっても分離が困難なため、現在まで装着者とオブジェクトを引き離す試みは成功していません。
対象がオブジェクトを装着してからおよそ1~2週間でSCP‐1284‐JP‐1の活性状態は第二段階へと移行します。この状態になると、対象はSCP‐1284‐JP‐1に実際に触れているかのような肉体的感覚を得ることが報告されています。対象の幸福度は著しく上昇し常に表情に笑顔が見られるようになりますが、食事、入浴、睡眠などの生活習慣に対しては著しく無頓着になります。また、SCP‐1284‐JP‐1と会話を重ねるに連れ、SCP‐1284‐JP‐1にはより知能の高い言動や語彙力の上昇が確認されますが、対象には著しい知能の退化がみられます。
さらに1~2週間ほど経過するとSCP‐1284‐JP‐1の活性状態は第三段階へと移行します。対象はSCP‐1284‐JP-1に対して愛情に近い感情を抱くようになり、SCP‐1284‐JP-1を自身の名前または自身のあだ名で呼び始めます。また、対象はこの時点で完全に外界への興味を失くし、自身への呼びかけに対して返答もしません。対象はこの時点で既に2歳児程度の知能に退化しているとみられます。対象は食事、睡眠を3週間ほど取っていないにも関わらず、身体は健康状態を保っています。この理由は現在も明らかになっていません。
第三段階から1週間ほどで対象は生命を維持することも困難な栄養失調に陥り、死に至ります。しかし対象には一度たりとも苦痛を感じる様子は一切無く、死の直前まで幸福感を感じ続けていたと報告されています。対象が死ぬとオブジェクトは不活性状態になります。対象が死亡しオブジェクトの取り外しが可能になると、SCP‐1284‐JP‐1はすでにVR画面上から消滅しており、その存在の痕跡もありませんでした。
SCP‐1284‐JP‐1は対象との会話があることから知能があるとされています。また、会話においてSCP‐1284‐JP‐1は未知のエネルギーの存在を示唆しています。
観察記録1284‐JP
手順: 被験者となるⅮクラス職員にSCP‐1284‐JPを装着させ、SCP‐1284‐JP‐1を発生させる。同時に、SCP‐1284‐JPにある接続口に録画機器を接続し、VR画面を24時間リアルタイムで録画。
2018/05/01
被験者がオブジェクトを装着してすぐ、VR画面上にSCP‐1284‐JP‐1‐1が出現。一般的な明るい茶トラのイエネコの姿をしている。画面上を動き回り、時々小さな鳴き声をあげる。食事や排泄や睡眠をとることはない。画面右上に『なかよしめーた』と書かれたゲージが出現した。
2018/05/15
SCP‐1284‐JP‐1の活性状態が第二段階へと移行。あちこちを走りまわって尻尾をふっている。画面上に突如現れたキャットフードらしきものを食したり、眠り込んだりしている。また、被験者が誰かと会話するように呟き始める。対象は何らかの方法で被験者とコミュニケーションをとっているようだ。録画が乱れ始め、ところどころ記録されていない部分が発生し始めた。(『なかよしめーた』ゲージが30%に達している)
2018/05/24
活性状態が第三段階へと移行。被験者は対象のことを「███ちゃん」(被験者の下の名前)と呼んでいる。一般的なコミュニケーション程度の会話をしていることが確認された。SCP‐1284‐JP‐1‐1は一般的な人間と同程度の知能を獲得しているようである。しかし、録画の大部分はノイズが入ってしまっており、対象が何を言っているかは不明。(『なかよしめーた』ゲージが75%に達している)
2018/06/02
『なかよしめーた』ゲージが100%に到達した。
一部の会話の記録に成功した。※SCP‐1284‐JP‐1‐1を「ネコ」と呼称している。
ネコ: ぼく ほんものに なることが できるの!
被験者: 本物?どういうこと?
ネコ: ██ちゃん(被験者の下の名前)が まいにち おせわして くれたから 『なかよしめーた』が たまったの!
ネコ: まんたんに なると あと ちょっとで ぼく キミの セカイに いけるの。 キミと まいにち あそべるの! うれしい!
被験者: 毎日?本当?
ネコ: ほんと!
被験者: 夢みたい!嬉しいわ!はやく一緒に遊びましょう!
ネコ: じゃあ いまから ほんものに なる ギシキを するの!
被験者: え[不明瞭]
[この直後、録画がノイズを発生させて急停止]
[16秒の沈黙]
[録画停止]
この直後、研究員が急いで1分ほどで被験者のもとに向かうとすでに対象は死亡していた。被験者の体からは眼球が消失。脳は著しく委縮し死亡時にはほぼ物事を思考する能力が消失していたことが判明。観察は終了。
今現在SCP‐1284‐JP‐1に一貫してみられる特徴は以下の通りです。
- 様々な手段で装着者と意思疎通を図ることが可能
- オブジェクトの活性状態に応じて知能の発達が確認される
- 「ほんものになる」ことを目的としている(「ほんものになる」とはどのような意味で使われるのかは調査中)
補遺:(2018/06/02)
2018/05/01に行われた実験の後、サイト-81██内でSCP‐1284‐JP‐1‐1とみられる茶トラのイエネコが生きた状態で発見されました。調査を行った結果、SCP‐1284‐JP‐1‐1の生態は一般的なネコのそれと同様であることが分かりました。また、その眼球はDNA検査での一致により被験者のものであると断定されました。1か月の調査においてSCP‐1284‐JP‐1‐1には眼球のほかにいかなる異常性も見られなかったため、財団で飼育されています。
ページリビジョン: 4, 最終更新日時: 25 Apr 2019, 11:05 (13 days 前)