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「GW中に自分が最高に愛するゲームについてのゲーム批評を書こう!」
という、ほぼ勢いとノリだけで始めたゲーム批評祭。
「正直、5本も来るのか?」
と思っていたのですが……
終わってみれば、総76本のご応募をいただく大好評ぶりでした。
まず、謝辞を言わせてほしい。たくさんのご応募本当にありがとうございました。
実際に応募してくださった方も、応募しようとして断念された方も、必ずめちゃくちゃ苦労したと思います。ほしい言葉が出てこず頭を抱え、何度も何度もキーボードを叩く手が止まったと思います。
日本語を何不自由なく話せる人間であっても、たかが「文章」を書くことがどれほど大変で苦しいか。学校で読書感想文を書いた経験を持つ人や、就活でエントリーシートを書いた人には、改めて説明するまでもないでしょう。
まして、自分にとって最高の作品について書く。これは本当に難しい。実のところ自分でさえこれはまだまだ達成できていないことです。ゲーマーにとって作品とは、自分の魂の一部とも言えるもの。それについて書くことは、自分の精神をさらけ出すことに等しく、ただ技量だけでなく勇気も必要なのです。
なので、上から目線で申し訳ないのですが、同じゲーム批評を書いた同志として言わせてください。
本当、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
………
これで、応募していただいた方は、何故まともなゲーム批評が減ったかご存知になったでしょう。
「ゲーム企業の圧力があるから?」
違う。
「読まれないから?」
それも違う。(恐縮ながら、弊紙のアクセス数がその反論かと)
答えはぶっちゃけたところ
「書きたくても、書けないから」
です。
ただ漠然と流れるプレスリリースを書いたり、適当な攻略記事を書いている、今のゲームメディアのライターではゲーム批評など書けません。せいぜいが、公式ページをコピペしただけの「レビュー」か、SNSの意見をまとめた「感想」程度。
対して、ゲーム批評を書くことは想像より何倍も難しい。作品に対して真摯に、それでいて公平に、そして客観的に向かい、それを日本語にして表現すること。インタラクティブなメディアについて、これは何であり、どういった価値を持つのか、他の人間に伝えること。
それが、中々書けないのです。無論、私のゲーム批評など正直まだまだ未熟です。その上でこれほどの数、そしてこれほどのクオリティの批評を送っていただけた、本当に感謝しかありません。
その上で。
私は一つ条件を加えました。
3)記事内に画像や動画はなし
これが一体どれほど困難なのか、当然私は知っています。
弊紙ゲーマー日日新聞においても、全てのレビューに画像を用いています。それは単にわかりやすいというだけでなく、いくらでも読者の認識を誘導することができます。
ヒートマップ等の調査でも明らかですが、現代ウェブメディアのページのほとんどは画像しか見られていません。だからこそ、画像ばかりを貼ったページが今の主流です。
ですが、あえて私は画像も動画もなしでと条件を加えました。それは、このゲーム批評で真に作品と向き合った傑作を読ませてほしいから。その上で、企業に対しても、読者に対しても、私に対しても、あらゆる配慮はノイズにも等しく、画像もまた同様だと考えています。
(因みに、4gamerのレビューコンテストでは画像の添付は必須としています)
もっと言えば、勝手ながら応募者の気概を試すつもりで、ふるいに掛けた意図もあります。にも関わらず、75本以上の作品を送っていただけた、その勇気と努力には心から称賛を贈らせていただきたい。
ゲーム批評など必要なのか?という疑問は幾度となく呈されてきました。
ですが従来、ゲームとは軽視されてきました。それは稚児の遊戯であり、凡俗の暇つぶしであると。なるほど、「そういう考えで遊べば」実際にそうなのかもしれません。
そして現に、今やゲームはまとめサイトで、SNSで、動画で、ただ漠然と消費され、消耗されていっています。
ですが、ゲームが本当に好きだという人にとって、本当にそれでいいのでしょうか。クリエイターたちが魂を込めて作ったゲーム、それを我々が遊んで得たインタラクティブな体験、それが遊戯や暇潰しとして、数日のうちに消費されて良いものではないのではないでしょうか。
そんなはずはないと否定することを、ゲーマーとして何一つ恥じる必要はないと思います。ゲームは至高の藝術です。感情を呼び起こし、快楽に浸り、競技に身を窶す。こんなコンテンツに触れられる時代に生まれたこと、そしてその体験をSNSやブログで気軽に公表できる時代に生まれたことは、自分にとって最高に幸福なことだと思います。
だからこそ、それを同じゲーマーに、あるいは社会に証明する。論理と、詞と、精神を以て此れを可視化する。こんなに素晴らしいものが、これほど無残に放置されている現状を鑑みるに、ゲーム批評こそ数ある批評で最も必要だと私は断言します。
最後に、これからJ1N1が今月中を目安に批評を選出し、来月から10本を掲載します。
この時、J1N1の特別賞には
ファミコンとその時代
ハーフリアル ―虚実のあいだのビデオゲーム
桜井政博のゲームについて思うこと 2015-2019
以上、約1万円相当のゲームに関する文献をお送りしたいと思います。これらはJ1N1個人も拝読しましたが、「ゲーム批評家」であるなら必読の書ばかりです。
ハードとかソフトも検討したんですが、冷静に考えてゲーム批評を送ってくる猛者はかなり高い確立で”自分より先に”確保している可能性があり、どうせメルカリに流れるならより”濃い”アイテムをお送りしようかなと。
では来月をお楽しみに!