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【大相撲】

ニュー貴景勝、組んでも速攻! 突き押し一本じゃない

2019年5月8日 紙面から

二所ノ関一門による連合稽古で汗を流す貴景勝(右)。左は矢後=東京都江東区の尾車部屋で(沢田将人撮影)

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 大相撲の二所ノ関一門の連合稽古が7日、東京都江東区の尾車部屋であり、新大関貴景勝(22)=千賀ノ浦=が、いずれも幕内の矢後と9番、阿武咲と1番取って全勝。持ち前の突き押しに加えて「幅を広げるように」ともろ差しで攻める場面もあり、課題の組む相撲への対策に乗り出した。

 10番で全勝とド迫力の突き押し相撲を見せつけた中、貴景勝が新たな取り口をちらつかせた。矢後との8番目、立ち合いからもろ差しとなり、一気に寄り切った。新大関なりのリスク管理の第一歩だった。

 「なかなか、すべて突き押しだけでは、上には(攻めを)徹底できないこともある。幅を広げるように。何が正解か分からないけど、模索していく」

 下から下から突いて押して相手の上体を浮かせ、電車道で白星をもぎ取る。勝利の方程式は既に確立している一方で「まわしを取られたら、相撲にならない」と自認する明確な死角がある。大関として、ぶざまな負けは許されない。押し相撲ならではの弱点を克服する覚悟が、慣れない攻めに垣間見えた。

 大関とりを成し遂げた春場所11日目の白鵬戦が象徴的だった。横綱の張り手の嵐をかいくぐってひたすら押したが、右四つに組まれるとジ・エンド。豪快な上手投げを食らい、砂まみれになった。

 「体がないから、差すにしても止まったらダメ。速攻で決めないと」と、新たな引き出しへの手応えはまだまだ。だからこそ「もっと突き押しを伸ばしていく」。絶対の武器への信頼を深める一番にもなった。新大関場所も、ひたすら進化を追い求める15日間になる。(志村拓)

 

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