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(剛男)今 何て言いました?
(泰樹)照男を なつと結婚させると言ったんじゃ。
(富士子)何 バカなこと言ってるの。
バカなことじゃない。なつと照男が もし それを望むならそれに越したことはないと思わんか?
きょうだいを捨てなくても柴田なつになれるんだ。
・(なつ)ただいま。
あっ なつが帰ってきた。
とにかく なつには変なこと言わないで下さいよ。
今の話は 聞かなかったことにするから。
あんたも いいわね?うん。
ただいま。お帰り。
お帰り。何さ 3人そろって…。
どしたの? 何かあった?
いや… 何もないわよ。
なんも なんも。搾乳は いいの?
あっ! これから すぐ行く。
私も 着替えて すぐ行く。
(泰樹)おい なつ。何? じいちゃん。
ちょっと 折り入って 話がある。ん?
何もない! 今はない!
でしょ!
ない。えっ?
ない…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(夕見子)えっ 何かあった?
何よ?そんな怖い目で見ないでよ。
何だか おかしいよ みんな黙って。
普通でしょ。普通だよな。
食べながらしゃべるのは 行儀悪いしな。
いつも ぺちゃくちゃしゃべってるじゃない。
(剛男)そうか?うん。
父さんだって 夏休みに母さんとなつが いなかった時「ごはんが静かだなあ」って寂しがってたじゃないの。
それは いなかった時の話だろう?いる時は 寂しくないだろう黙ってたって。
う~ん そういうことかな。そういうことだよ。
うるさい。 くだらんこと しゃべるな。
ほら 普通に しゃべってるじゃないの今日だって。
(明美)なつ姉ちゃんが黙ってるからじゃない?
何か 変なの…。えっ?
なつ姉ちゃん どしたの?
何か 悩んでることでもあるの?
あるの?あるのか?
ないよ。 普通だよ。
何言ってんのさ 明美。
だって なつ姉ちゃんお兄ちゃんの夢を見たなんて言うから…。
(富士子)えっ?(剛男)どっちの?
(せきこみ)どっちでもいいか…。
東京の。
寝る前に今頃 どうしてるかなって思ったからそんで 夢に出てきたんだと思う。
あれから 無実が証明されて警察は 無事出たんだろ?
うん…。けど 行方が分からないのは心配よね。
明美は 本当余計なこと しゃべるんだから。
だって 心配だったんだもん!
あんたが 何を心配すんのさ?
だって… 人は 死ぬ時大事な人の夢に出るんでしょ?
えっ?(富士子)誰が そんなこと言ったの?
(明美)花村先生。(照男)関係ねえだろ。夢に 誰かが出るなんて 普通のことだよ。
お前の夢にも 誰か出るのか?えっ?
あっ… どうでもいいけどなそんなことな ハハハ…。
あっ そうだ!今日 学校で バターを作ったんだわ。
バターを?うん。
あ そんでね じいちゃん雪月のおじさんがうちに バターを作ってほしいんだって。雪月が?
おじさんが バターを使った新しいお菓子を考えてるみたいだわ。
ああ そうか。
考えないとね…これからは ちゃんと そういうことも。
うん。うん。
♪~
数日後 なつと天陽君は帯広の映画館に向かいました。
どんな話だべか…。
(天陽)見して。うん。
ふ~ん…。
ディズニー。それは知ってるわ アハハハ…。
♪~
♪~
なつは… そこで また出会ってしまうのです。
♪~
♪~
回想 (仲)アニメーションは動きが命なんだよ。絵に 命を吹き込むことなんだ。
♪~
回想 (仲)ちゃんと勉強すればアニメーターになれると思うな。
♪~
(大杉)「皆様 日本で初めての総天然色長編漫画映画を我が東洋の手によって作りたいとこの度 新しい映画スタジオが完成しました。皆さん ご承知のごとく漫画映画は一般の映画と比較いたしまして多分に 国際性を持っております」。
あっ…。「そこで 私どもは立派な漫画映画を作りまして広く 世界に進出いたしたいと考え我が東洋動画は 日本ではもちろん世界でも珍しい最新式のスタジオを作りまして早速 制作に着手いたしました。その第1回の作品は中国の有名な昔話を題材とした『白蛇姫』でございます。どうか 皆様の絶大なるご支援を頂きますよう お願い申し上げます。それとともにもし 志のある若い人がいましたら是非とも 世界を切り開く力になってもらいたい」。
我が社では広く新しい人材を求めております。
どうか 皆様 新しい東洋動画をよろしくお願い申し上げます。
♪~
あ~ 面白かった~。
よいしょ… こんにちは!
(妙子)あら なっちゃん。まあ 天陽君も。
いらっしゃい。こんにちは。
あれ? 雪次郎と約束?
違います。 今日は 映画を見た帰りです。
2人で映画を? 雪次郎は誘わずに?
あ… すいません。フフフ… 冗談よ。
どうぞ。 はいはい。
いいわねえ。はい いかったですよ。
えっ?なまら いかったですよ 映画。 ね!
ああ…。うん まあ。
映画は 何でもいいのよ。ねえ 天陽君にはね。
え?うん? フフフ…。
おばさん 何変なこと言ってんですか!
変かい?
最近 とよばあちゃんに本当 似てきましたよね。
本当 嫌なこと言うね。
(とよ)あ~ら なっちゃん!あ~!え~っと…。
天陽君。あっ そうだった。 天陽君 絵描きのね。
あ 絵描きではないです。あれ? 違ったかい?
絵は描きますけど 絵描きじゃありません。
理屈っぽいんだね。今日は 映画を見に行ったそうですよ。
あれ 2人で?うん なまら いかったそうですよ。
映画は 何だっていいのさ 2人には。ねえ。
ハハハ… 本当 同じこと言いますね。ご注文は?
う~ん 寒いから あったかい紅茶を。僕 コーヒーで。
はい かしこまりました。
フフフ… どう? じいちゃんは元気?
元気です。相変わらず 苦~い顔して砂糖なめてんの?
ハハハ… なめてませんよ。
ものの例えっしょ。
あれ やだ 私 邪魔だわね。
邪魔でしょ?いいえ。
聞かれて 邪魔だって人はいないわね。
邪魔 邪魔。 ハハハ… じゃ また後でね。
ハハハハ…。
後で また来るんだ ハハハ…。ハハハ…。
あ~ 本当いかったよね 映画。 ねえ。
何度も聞くなよ。だってあんなふうに 音楽を表現できたり地球の誕生から恐竜の時代までを表現したりアニメーションって 何でもできるんだね。
うん… 何でもできるってことは何もないのと同じだよ。
ん? どういう意味?
何でもできるってことはさ何もない広い土地に行くのと同じことだからな。
自分で 土を耕す方法を覚えて作れる種を見つけてそれを手に入れないと 何もできない。
なっちゃんはさそれでも行きたいと思うのか?
そういう土地に。
そうか… そういうことか…。
そういうことだよね!
やっぱり 天陽君 すごいな。(天陽)何が?
私の悩んでることに簡単に答え出しちゃう。
無理だよね そんなの。
私が そんなところに行けるわけがないわ。
酪農だって 中途半端なのに。
うん… 私ができるわけがないアニメーションなんて。
なっちゃん…。うん?本当は行きたいんだべさ?
ハハ… 無理 無理 無理 無理!
なつよ そんな顔で笑うな。
天陽君も つらいぞ。