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(咲太郎)なつ~!
なつ…。
なつ 寒いぞ!
北海道め!
なつ… くそ! お~ 寒い…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(なつ)よいしょ…。
(窓をたたく音)
お兄ちゃん…。なつ! 来たぞ!
ここまで来てやったぞ!どして?
逃げてきたんだ…。
なつ! 一緒に逃げよう!
お前を 迎えに来たんだよ。これからは 兄ちゃんと一緒だ。
ずっと 一緒にいられるんだよ!
(泰樹)どこ行く気だ?
誰だよ お前は!お兄ちゃん この人は…。
お前に なつは連れていかせん。
おいっ…。
お兄ちゃん!(悠吉)なっちゃん!(菊介)ダメだ!
なつ!
なつ!お兄ちゃん 待って!
なつ~!お兄ちゃん 待って!
お兄ちゃ~ん!
ひゃっこい! ううっ…。
冷た!(明美)目 覚めた? 時間だよ。
ねえ 明美! ひどいな 何すんのさ。フフフフ…。
なつ姉ちゃん 寝言 言ってたよ。えっ?
お兄ちゃんを呼んでた。あれ どっちのお兄ちゃんのこと?
(夕見子)そんなこと 聞かなくていいの。あんたは無神経なんだから。
いや 雪ぶっかけちゃえって言ったのはそっちしょ!
どっちが無神経さ。フフッ。
ほら 今朝は すっかり積もっちゃったわよ。
よいしょ…。
うわ~!
寒~…。
十勝は 厳しい冬を迎えました。
なつの高校生活も あと僅かです。
(菊介)なっちゃん。うん?
スキー教えてやる。 今年は 大会出るべ。
何で そこまでスキーやんなくちゃなんないのさ。
いや いや いや いやこの大会に出なくちゃスキーを やったことにはならねえべさ。あっ!
学校遅れちゃう! はい!おおっ…。
行ってきま~す。(悠吉)はい 気ぃ付けてな。
あっ 照男兄ちゃん 行ってきます。(照男)あっ なつ ちょっと…。
ん?あっ 照男君は 今年も出るべ開拓青年団スキー大会。あ 今年はいいべさ。 出なくても。
なして! 去年の雪辱を果たすべ負けたままでいいのか?
ちょっと なつに話があるから。何の話?
何の話?
ちょっと…。(菊介)えっ?
菊介さん また後で。 な…。
出るべよ。 なっちゃんも誘って。必ず出るべよ!
後でね…。自分が出ればいいのに。
人を勝たせるのが今の菊介さんの楽しみなんだ。
ふ~ん。それより ちょっと…。
どしたの?
何かあった?
たまたま こんなの もらったから。
えっ?見ないか?
ああっ! えっ ディズニー!
ものすごく見たかったやつ!え~ うれしい!
見に行っていいの?うん。2枚も?
じゃ 明美と行くわ。
いや…。あっ もしかして照男兄ちゃん 一緒に行く?あ いや…。
天陽君と行けば?
天陽君? 何で?
ほら 東京で お世話になったんだろお兄さんに。
ああ…。
漫画映画作ってたんだろ お兄さん。
だったら そういうの いいかなと思って。
そんで わざわざ買ってきてくれたの?
いや たまたま もらったって言ったろ。ああ…。
2人で行ってこいよ。
うん… じゃあ 聞いてみるよ。
うん。うん。
あっ ありがとう!
あっ… じいちゃん 行ってきます。
お前… なつと結婚しろ。
えっ?なつと結婚するんだ。そしたら なつは正真正銘の柴田家の家族になる。
一生 この家にいることになるんだ。
何言ってんだよ…。すぐに そうなれとは言わん。
そうなるように心の準備をしていけばいいんだ。
準備って…。当分 なつには言わん。
ちょっと待って!お前には できる!
できるだろ。
冬の間は 自転車が使えずスキーと鉄道で通学します。
夕見! 大丈夫?
朝方2時間しか寝てないしょ?
大丈夫。 倒れるくらいで寝るとちょっとの睡眠時間でも頭が すっきりするのさ。
体 壊すべさ。
受験生だから しかたないしょ。
本当に すごいな 夕見は。
本当は 北大なんて行かなくてもいんだけどね。
じゃあ 何で行くの?札幌なんて遠いとこへ。
だって 負けたくないしょ。
人に負けたくないから行くの?
人っていうか… そんなの無理だとか女のくせに無理だとかそういう世間の目にさ。
う~ん… よく分かんない。
私は なつみたいに分かりやすく戦ってないからさ。
どういう意味?
なつは どこにいたって戦ってるしょ。
私には 何もないから自分の生きる場所は自分で選べるような人間になりたいのさ。
ごめん 寝不足で訳 分かんないこと言ってるね。
分かるわ そんくらい…。
(雪次郎)おっ なっちゃん おはよう。
おっ おはよう。
あっ!
夕見子ちゃん おはよう!
夕見子ちゃんは 勝農とは反対に街の高校に通っています。
夕見子ちゃ~ん…!
気付いて… 夕見子ちゃん…。
君の名は!
今 呼んだべさ。
(太田)冬乳で作るバターは夏乳で作るバターに比べて色が白~くなるべ。
放牧されて青草を食べた牛の乳は黄色っぽい。バターの風味も 夏は強~く冬は強くない。どっちが いいバターかは 好き好きだ。
(笑い声)手 動かせよ。
(一同)はい。
(雪次郎)なっちゃん。うん?
そいえば うちの父ちゃんがなっちゃんとこの牧場はいつんなったら バターを作るんだって気にしてたわ。
おじさんが?うん。
地元のバターを使ったお菓子を考えてるみてえだ。
バターを作っても流通させる方法がないとね。
うちの店なら 喜んで買うけどな。
(良子)雪次郎君はそのために ここへ入ったんじゃないの?
自分で作ればいいべさ。そだよね。
だけど 牛飼いになるのは大変だべ。
それなら…牛飼いの娘と結婚すれば早いべさ。
夕見子ちゃんとか…?
はい?
いや… それならなっちゃんが作ってくれた方が早いべさ…。
うん… 私も作りたいなとは思ってるけどね。
いつかは…。
疲れた。
なっちゃん 交代。はい。
♪~
(天陽)なっちゃんは漫画映画を作りたいのか?
えっ?
兄ちゃんが 手紙でそんなようなこと書いてたから。
見せてもらっただけだって作ってるとこを。
そう話したしょ。うん。 そこが 今度大きな映画会社と 一緒になったって。
ああ そんなこと言ってた。
うん。 兄ちゃんも 結局その会社の試験受けて 採用されたらしい。
えっ 陽平さんも入ったの?うん。
漫画映画作るんだ これからも…。
(仲)本当だよ。 ちゃんと勉強すればアニメーターになれると思うな。
それで… もし なっちゃんも来たいなら相談に乗るって。
えっ?
行けるわけないしょ 私が!
牧場があるから?えっ?
捨てられないのか?
捨てるとか 捨てれないとかって…。
牧場をやりたいからに決まってるしょ。
映画は 見るだけでいいのさ。
ねえ いつ行こうか? ディズニーの映画。
いつでもいいよ。
楽しみだなあ…。
♪~
(剛男)今 何て言いました?
照男を なつと結婚させると言ったんじゃ。
(富士子)何 バカなこと言ってるの。
バカなことじゃない。できないことじゃねえだろう。
できないことでは ないでしょうけど…できないでしょう 本人たちが。
照男には ず~っと前に話してある。
えっ?はっ?嫌だとは聞いとらん。
何 勝手なこと言ってるの!
富士子ちゃんここは 一旦 落ち着こう。 ね。
それで なつにも話したんですか?
なつには まだだ。(剛男)ああ~ よかった…。
何が いんだ?いや なつに どんな顔したらいいか分からなくなりますから。
照男は いいんですか?
まあ 照男は大人だから…。
子どもですよ 私たちの。
私たちに相談もなく そんなこと。
だから 今 相談してるべ。お前たちは反対なのか?
反対も何も…。考えてもなかったわよ。
考えろ。 それが 一番いいと思わんか?
(富士子)父さん 何を怖がってるの?
怖がる?
なつが 本当のお兄さんに会ったからかい?
そんで なつが 東京に戻ると言いだすとでも思ったんですか?
そんなことじゃない。
なつと照男が もし それを望むならそれに越したことはないと思わんか?
きょうだいを捨てなくても柴田なつになれるんだ。
・ただいま。
あっ なつが帰ってきた。
とにかく なつには変なこと言わないで下さいよ。
今の話は 聞かなかったことにするから。
あんたも いいわね?うん。
ただいま。お帰り。
お帰り。何さ 3人そろって…。
どしたの? 何かあった?
なつよ それを聞くな。