ブランブルケイ・メロミスさん 二〇一九年、オーストラリアの小島で。温暖化で絶滅した初の哺乳類とされる。一九七八年には数百匹が生息していたが、二〇〇九年の目撃が最後となった。
ブランブルケイ・メロミス=写真、クイーンズランド大提供・共同=は私たちと同じ哺乳類で、ネズミの仲間です。グレートバリアリーフ北部にあるサンゴ礁の島に生息していましたが、オーストラリア政府が二月、絶滅リストに加えました。
島は約四ヘクタールで、標高三メートルほど。二十世紀末から海面上昇でたびたび浸水。植物が減り、生息域をほとんど失っていたといいます。
国連の科学者組織が六日、報告書を発表する予定です。報道によると、この報告書は「地球上には現在、約八百万種の生物が生息しているが、今後、五十万種から百万種が絶滅の危機にさらされる」「生物多様性の損失と地球温暖化は密接に関連」と指摘します。温暖化で滅びる生物が百万種類になるかもしれないというのです。
人類が滅ぼしたり、絶滅に追い込んだりしている動物は多い。
北米のリョコウバトは五十億羽もいましたが、肉や羽毛を狙った狩猟で激減、一九一四年に最後の一羽が死にました。中国の揚子江には淡水にすむイルカ、ヨウスコウカワイルカがいます。流域人口が多くなって水質が悪化するなどして、最近は姿が見られません。
地球の歴史を振り返ると、大量絶滅が五回、起きています。最後は恐竜が滅びた約六千六百万年前。メキシコ湾に小惑星が落下したうえ、インドでデカン高原を造るような大規模な溶岩流出が起き、地球全体が寒冷化しました。
恐竜の時代が終わり、哺乳類の時代、新生代が始まりました。時代の変わり目にネズミのような小動物がいました。それが人類を含む哺乳類の祖先です。
炭鉱のカナリア、という言葉があります。カナリアを炭鉱に持ち込むと、もし有毒なガスが噴出しても、カナリアが死んでさえずりが聞こえなくなるので気付くことができる、というのです。サンゴ礁のネズミは「このままでは温暖化で多くの生き物が死んでしまう」と教えてくれているのです。
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