令和初のJRA重賞で単勝11番人気の伏兵レッドジェニアルがあっと驚く大金星。道中は8番手の内。中団でロスなくじっくりと脚をためると最後の直線で粘るロジャーバローズを首差かわしての重賞初Vだ。
「前走では前に壁を作れなかったのですが、リラックスして運ぶことができました。最後までしっかりと脚を使ってくれましたね」。これが2014年トーホウジャッカルでの菊花賞以来、5年ぶりのJRA重賞Vとなる酒井の笑みがはじけた。
母はフローラS勝ちのあるレッドアゲート。父は第71代日本ダービー馬キングカメハメハ。血統は申し分なかったが、精神的な幼さが災いして未勝利を脱したのは今年2月の京都。前走のアザレア賞(4着)も折り合いに苦しんだ。
「今回は鞍を厩舎で置いたり、となるべくテンションを上げないように工夫しました。育成で時間がかかりデビューも遅れた馬ですが、ようやく精神面が追い付いてきた。それにこの馬を理解してくれていたジョッキーもうまく乗ってくれた」と高橋忠師は鞍上の好騎乗を好評価した。
賞金面でダービーの出走権を確保したキングカメハメハ産駒。「東京への長距離輸送でメンタル面がどうなるか分からない。でも、能力は感じていた馬だし、精神面がついていければ」と指揮官は願う。もちろん出走だけでは終わらさない。淀で自信を深めたレッドジェニアルがダービーでもさらに成長した姿を披露する。 (大野英樹)