【芸能・社会】令和の丑之助 尾上菊之助の長男が初舞台2019年5月4日 紙面から
歌舞伎俳優の尾上菊五郎(76)と中村吉右衛門(74)の孫で、尾上菊之助(41)の長男・寺嶋和史くん(5)が3日、令和新時代の幕開けを飾る歌舞伎公演「團菊祭五月大歌舞伎」で七代目尾上丑之助を名乗り、初舞台を踏んだ。 夜の部「絵本牛若丸」で牛若丸を熱演した丑之助は、劇中口上で「どうぞよろしくお願いいたしまする」と落ち着いた口調であいさつ。会場は祝福の拍手に包まれた。 菊五郎と吉右衛門、菊之助も口上を行い、まず菊五郎が「幼き者にはございますが、先輩方のご指導を得まして立派な役者になってもらいたい」とエール。母方の祖父・吉右衛門は「私の孫でもございますので」とアピールして会場の笑いを誘い「元号もめでたく新たになりまして“令和の丑之助”の誕生でござりまする」と高らかに宣言。菊之助は「行く末は両祖父のような役者となりまするよう、ご指導ご鞭撻(べんたつ)をお願い申し上げます」と頭を下げた。 開演前にはスタジオジブリの宮崎駿監督が描いた「祝幕」も初披露。開演5分後には牛若丸の丑之助とお供の鬼次郎、鬼一法眼を演じる菊五郎と吉右衛門がそろって舞台中央のセリから登場。初役の弁慶に扮(ふん)した菊之助も花道から登場して、会場は興奮に包まれた。 口上後には桜の枝を持った丑之助が平家の郎党たちを相手に見事な立ち回りを披露。孫の奮闘を後方で見守った菊五郎と吉右衛門は終始デレデレの笑顔で会場を和ませた。約32分間の上演終盤では丑之助が花道に座り込み「くたびれた。おれの馬になれ」と弁慶に“命令”。菊之助は丑之助を肩車して力強い足音を響かせながら花道を歩き、仲むつまじい父子の姿が観客を魅了した。 ◆海老蔵は万感ラスト勧進帳昼の部では市川海老蔵(41)が「勧進帳」に武蔵坊弁慶役で出演。海老蔵として歌舞伎座で「勧進帳」に出演するのは今回が最後で、来年5月の團菊祭では十三代目市川團十郎を襲名する。同時に長男の堀越勸玄くん(6)も八代目市川新之助を名乗り、初舞台を踏む予定だ。 海老蔵はこの日、自身のブログで「團菊祭初日の朝です。嬉しいです。新緑の季節に子供の頃から積み重ねて勤めている五月の舞台。歳を重ねるとやはり様々な事が変わるもので今それを一つ一つ噛み締めて過ごさせていただいております」と心境をつづった。 「勧進帳」では尾上松緑(44)が富樫左衛門、菊之助が源義経で出演。1999年の浅草歌舞伎以来20年ぶりの配役で、かつて“平成の三之助”として人気を博した3人の競演に会場は興奮に包まれた。27日まで。
PR情報
|