皇室の今後について ー 未来の天皇についての議論-



平成31年4月30日午後11時59分を持って明仁天皇が退位し、平成が終わり、新たに皇太子徳仁親王が新しい天皇に即位し、元号が令和となった。


このように平成から令和へと元号が変わると、天皇や天皇制について改めて意識することになる。






徳仁天皇のチャートを見ると、2019年5月4日現在、木星/ラーフ/水星期である。


マハダシャー木星期における最後のアンタルダシャーであるが、2020年5月26日からマハダシャー土星期がスタートする。


従って、天皇として即位して公務にあたる中心がマハダシャー土星期の19年間であると理解できる。


以前の記事で、この徳仁天皇のチャートのナヴァムシャ(D9)が極めて素晴らしいチャートなのだと書いたが、ラグナが水瓶座で、ラグナロードの土星が9室で高揚し、5室支配の水星が5室で自室に在住し、4、9室支配のヨーガカラカの金星が2室で高揚し、10室支配の火星とコンジャンクトしている。


宗教家のチャートのようであり、ラグナロードの土星が9室で高揚するラーマクリシュナのチャートに似ているのである。


この土星期に関して、ダシャムシャ(D10)の配置がどうなっているかというと、3、4室支配で9室に在住し、2、5室支配の木星からのアスペクトを受けている。


ディスポジターの月は10室に在住している。


月はナヴァムシャでも6室支配で10室で減衰しており、パラシャラの例外則で、ラージャヨーガ的に働く配置である。


ナヴァムシャ、ダシャムシャで月が10室に在住していることから、大衆からの人気を表わしていると考えられる。


ダシャムシャの土星が9室に在住していることを考えると、これからの土星期19年間は、国民の統合の象徴としての天皇の公務に相応しいような精神的な活動であることを示している。


例えば、以前、ZOZOTOWN 前澤社長のチャートを見た時に3、4室支配で9室に在住する土星は、芸術家たちを支援する慈善事業を表わしていた。


従って、徳仁天皇のD10での3、4室支配で9室に在住する配置は、芸術文化の振興を支援するような活動であるかもしれない。






因みにD60でも同じ土星が3、4室支配で9室に在住する配置が見られる。


次にマハダシャー水星期が来るが、水星は3、12室支配で8室に在住し、2室支配の太陽とコンジャンクトしている。



この水星はダシャムシャ(D10)では、8、11室支配で、ラグナで自室に在住してルチャカヨーガを形成する火星、そしてラグナで高揚するケートゥとコンジャンクトしている。


水星期にラグナで2つの強力な惑星とコンジャンクトする水星は、8、11室支配とはいえ、強力な配置である。


6-8の絡みなどは見られるが、キャリア上の上昇を表わすかもしれない配置とも言える。


然し、この水星期は、年齢としては79歳以降であり、退位も検討される時期に入っていくと考えられる。



現在、次の皇位継承順位は、1位が秋篠宮文仁親王で、2位が悠仁親王である。



もし徳仁天皇の現役で公務を行なう最も重要な時期が、マハダシャー土星期であるとすれば、およそ20年後が次の天皇のおよその即位時期と仮定して検討することが可能である。



秋篠宮文仁親王は、最近、「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」と、高齢での自らの即位を否定する発言を行なっている。



従って、次の悠仁親王が、俄然、注目を浴びることになる。



次の皇位継承者としての悠仁親王の存在感が増しているのである。


そんな中で、悠仁親王の学校の机に刃物が置かれる事件が発生している。


「机に刃物」認める=悠仁さま学校侵入の男―警視庁
時事通信社 2019年5月1日 11:53

 お茶の水女子大付属中学校(東京都文京区)で秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さま(12)の机に刃物が置かれた事件で、建造物侵入容疑で逮捕された長谷川薫容疑者(56)が刃物を置いたことを認める趣旨の供述を始めたことが1日、捜査関係者への取材で分かった。

 事件前に長谷川容疑者がナイフを購入していたことも新たに判明した。警視庁捜査1課は同日、同容疑者を送検。銃刀法違反容疑も視野に、計画的な犯行だったとみて動機や経緯を調べる。


悠仁親王は、現在、ラーフ/土星期で、マハダシャーのラーフは7室に在住して、世間の注目を集めることを表わしている。






7室は10室から見た10室目のハウスである。


そして、このラーフに3、8室支配の火星がアスペクトしているが、これが刃物の象意である。


3、8室支配の火星がラグナに在住し、ケートゥとコンジャンクトし、6室支配の土星からアスペクトを受けている。


従って、身近に敵が多い印象である。


3、8室支配の火星が4室(机)にアスペクトしており、その4室をトランジットの土星が通過しているので、傷ついた4室の象意(机に置かれた刃物)が出て来たのである。




土星は、5、6室支配で11室支配の月と星座交換及び、相互アスペクトして、5-11の強力なダナヨーガを形成している。


また土星と月は、それぞれ定座にアスペクトすることによって強くなっている。


インディラガンディーなどに見られる強力な配置である。


月と土星のこうした強い絡みは、カリスマ性を表わす配置であり、天皇制の批判者や秋篠宮家の批判者などからの敵対的行為と合わせて、次期天皇として男系天皇を維持しようとする保守派の強い後押しがあることで、強いカリスマ性を発揮しているのである。


この悠仁親王も、もし20年後の2040年頃に即位するという想定をしてみると、その時期は、マハダシャー木星期の半ば頃である。


そして、次のダシャーが土星期である。


マハダシャー土星期は、5室支配で11室支配の月と星座交換している為、非常に高い地位に就いたり、カリスマ性を発揮して、大衆からの注目を集める可能性がある。


ナヴァムシャでは6室支配で6室に在住し、3、8室支配の火星とコンジャンクトしている。


そして、月から見て7室で自室に在住しており、シャシャヨーガを形成している。


ダシャムシャ(D10)では、土星は10室で減衰するラーフとコンジャンクトしているが、特にニーチャバンガは形成していない。


2047年5月からのマハダシャー土星期においては、それなりの高い地位についている可能性があるが、然し、土星は太陽との絡みがなく、土星から見た10室や10室の支配星への太陽の絡みもない。


またダシャムシャにおいても同様である。


その前のマハダシャー木星期は、ダシャムシャにおいて木星は2、11室支配で3室に在住し、6室支配の月とコンジャンクトしている。


従って、マハダシャー木星期の間は、キャリア上の高い地位に就いているように見えない為、おそらく即位はしていないと考えられる。


またマハダシャー土星期に移行してから高い評価を得たり、仕事を行なうような立場に着く可能性があるが、但し、土星は太陽との絡みを得ておらず、公務を表わしているかどうかは疑問である。



現在の皇室典範は、「直系男子への皇位継承優先」とする規定があるが、徳仁天皇の娘・愛子内親王に次の天皇になって欲しいという国民の声も多数出てきているようである。


これが例えば、皇室典範を「皇統に属する長子」が継承できるように改正すべきといった議論も前から行われている。


天皇陛下に「親しみ」82% 女性継承賛成79%、共同通信
2019/5/2 16:18 共同通信社

 共同通信社が1、2両日実施した全国緊急電話世論調査によると、即位された天皇陛下に82.5%が「親しみを感じる」と回答した。「親しみを感じない」は11.3%にとどまった。皇室典範で「男系男子」に限るとした皇位継承を巡り、女性天皇を認めることに賛成は79.6%で、反対の13.3%を上回った。

 内閣支持率は51.9%。4月の前回調査比0.9ポイント減でほぼ横ばいだった。不支持は1.1ポイント減の31.3%となった。

 退位は、上皇さま一代に限って認められた。今後の天皇の退位に関しては「認めるべきだ」が93.5%に上った。「認めるべきではない」は3.5%。


愛子さま天皇待望論高まる 鍵は2年後、「女性」8割賛成
2019年5月4日 05:30 スポニチアネックス

天皇陛下が即位されたことで、皇位継承資格者は(1)皇嗣秋篠宮さま(2)悠仁さま(3)常陸宮さまの3人となった。次世代に限れば悠仁さましかいないという状況の中「愛子さま天皇論」が浮上している。
 共同通信の調査では皇室典範で「男系男子」に限るとした皇位継承を巡り、女性天皇を認めることに約8割が賛成。女性天皇が認められた場合、陛下の子供である愛子さまが皇位を継承する可能性がある。宮内庁関係者は愛子さまについて「愛らしい笑顔で最近はより親しみやすくなられています」と話している。

 女性天皇は歴代天皇で8人おり、いずれも父方の家系をたどると初代とされる神武天皇に行き着く「男系女子」。愛子さまも立場は同じだ。

 女性天皇が関心を集める背景には秋篠宮家が抱える問題がある。秋篠宮さまについては、陛下と年齢が近いことなどを理由に即位をためらわれる意向が伝えられている。長女眞子さまは小室圭さんとの結婚騒動が収束していない。悠仁さまが将来的に皇位を継承しても、結婚相手に「絶対に男を生まなければ」と大きな重責を担わせることになる。

 安定的な皇位継承を巡る議論では、母方をさかのぼれば神武天皇の血筋に行き着く「女系天皇」容認論もある。ただ、安倍晋三首相は女性、女系天皇には否定的だ。

 神武天皇から「男系」によって126代受け継がれた「万世一系」の原理の転換が、果たして可能なのかという問題もある。女性、女系天皇を容認した場合「皇位継承を巡り内乱が起きた壬申の乱のように、愛子さまと悠仁さまを巡る対立が起きる恐れもある」という意見もある。

 賛否がある中、識者の間では「令和3年(2021年)がキーポイント」と指摘する声がある。慎重派の安倍首相の3期9年の総裁任期が満了。さらに、愛子さまが成年皇族として公務を始める。公務を通じ、より親しみやすい愛子さまの姿が伝われば「愛子さまが天皇でもいいのではないか」という声が国民の間に上がってくることも考えられる。

 ▽壬申の乱 672年、天智天皇の弟・大海人皇子に対し、天皇の長子・大友皇子が皇位継承を巡り起こした内乱。敗れた大友皇子は自殺し、大海人皇子は673年に即位し天武天皇となった。



従って、今後、皇室典範が書き換えられて、愛子内親王が天皇として即位できるかどうかが問題となる。






愛子親王のチャートを見ると、ラグナが牡羊座バラニーで、ラグナロードの火星が11室に在住し、10、11室支配の土星と相互アスペクトして、1-10、1-11のラージャヨーガ、ダナヨーガを形成している。


これは高い地位や高い役職を表わす配置であり、このラグナロードの火星に対して9室支配の木星がアスペクトして保護している。


これらの配置から有名になり、高い地位について、父親あるいは恩師からのサポートも厚いことを表わしている。


月から見た場合、9、10室支配のヨーガカラカの土星がラグナロードで6室支配の金星と相互アスペクトして、1-9、1-10のラージャヨーガ、ダナヨーガを形成している。更にそこに5室支配の水星や4室支配の太陽などが絡んでいる。


ラグナから見た場合でも月から見た場合でも10室の支配星に太陽がアスペクトしており、公務を表わしている。


ナヴァムシャを見ると、10室の支配星が王室のハウスである獅子座に在住し、5室支配の木星のアスペクトを受け、ディスポジターでラグナロードの太陽は、玉座を表わす4室に在住している。


10室は4、9室支配のヨーガカラカの火星やラグナロードの太陽からアスペクトを受け、公務や権威を表わしている。



4支配の月が2室で高揚しているが、土星とコンジャンクトし、火星からアスペクトされている。


これは母親である雅子皇后が、鬱病、あるいは、産後うつとマスコミから報じられたような不安定な養育環境の中にあったことを示唆している。


然し、月は高揚して、金星や水星のアスペクトや逆行の木星の絡みを受けており、吉星のサポートを受けている為、これはそれ程、問題にならない。




また以前、マスコミが、愛子親王の発達障害・自閉症の可能性について報じていたが、5室の支配星が8室に在住して土星のアスペクトを受けている為である。


8室に惑星が集中している為、引きこもり傾向や自閉症的な状況があったと考えられる。



然し、偉大な宗教家や科学者なども幼少時に自閉症に見えたり、全く発達障害に見えたりすることはよくあることである。


むしろ、天才の証であったりすることもある。



ダシャムシャ(D10)を見ると、ラグナロードの太陽が5室支配で自室の木星と5室でコンジャンクトして、1-5のラージャヨーガを形成している。



因みに徳仁天皇の在位期間が20年ぐらいとして、その後、退位するなどの可能性を仮定すると、2040年ぐらいが即位の時期と想定することが出来る。


その時はマハダシャー木星期であり、木星はダシャムシャの5室で定座の強い配置にあり、ラグナロードの太陽とコンジャンクトして強力なラージャヨーガを形成している。


太陽と木星のコンジャンクトは、教育者のコンビネーションであり、国民の幸福を祈る天皇の宗教的、精神的役割を表わす配置と言えるかもしれない。


また5室には大臣という象意があり、高い地位を表わしている。



通常、5室は10室から見た8室であり、仕事の中断を表わすハウスであるが、徳仁天皇の場合もマハダシャーロードの土星はD10の9室に在住しており、9室は仕事を失う(10室から見た12室)ハウスである。


然し、仕事自体が、教育活動や慈善活動のような性質を帯びている時には、こうした象意は問題とならない。



木星期が終わった後は、土星期になるが、土星はダシャムシャで、6、7室支配で11室に在住している。



11室は高い評価、高い称号、肩書きを表わすハウスである。



2040年前後にマハダシャーロードの木星は、出生図では9、12室支配で、ナヴァムシャでは5室支配で9室に在住しており、ダシャムシャでは5室支配で5室で、ラグナロードとコンジャンクトしている。



木星が5室や9室の支配星として、極めて吉祥である配置である。



こうした配置の場合、教育者や宗教家のような活動をしていることが想定される為、もし天皇の公務というものが、宗教的活動、慈善活動としての性質を持っているとするなら、こうしたダシャーでも良いことになる。



従って、天皇として即位する可能性は十分にあると考えられる。



未来においては、よりリベラルな社会風潮の中で、天皇制もかなり柔軟に変更される可能性がある。



因みに悠仁親王の机に刃物が置かれた事件ばかりでなく、この所、秋篠宮家に対する激しいバッシングが起こっている。


例えば、秋篠宮文仁親王が大嘗祭について国費で行なうのではなく、天皇家の私的活動費である「内廷会計での実施」を提案したことや、「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」と即位辞退を示唆する発言をしたことなどが、「出すぎた発言」などと批判されたようである。


また長女・眞子内親王と小室圭氏の結婚問題などについても批判を受けているという。


以前から秋篠宮文仁親王は、タイに足繁く通っており、タイに愛人がいるのではないかといったことが2チャンネルなどで囁かれており、秋篠宮文仁親王と文仁親王妃紀子との冷え切った関係の間で板挟みになった宮内庁の女官が心労で辞職するといった出来事なども週刊誌で報じられている。


国民は、皇族には居て欲しいが、但し、皇族は自己主張せず、道徳的に手本となるような生き方をして、経済的にも慎ましく生きることを強いているのである。そうでなければ国民は強い嫌悪感を示す。


皇族、天皇家とは、人権は認められず、国民から常に監視され、行動の制約を受けるある種の囚人と言えるかもしれない。


女系とか男系といった議論も本人たちの意志とは関係なく、国民があれこれと勝手に議論しているのであり、これはちょうど動物園のパンダなどの絶滅が危惧される希少な動物をいかに繁殖させるかといったことを当のパンダ以外の人間たちが人間の利益の為に議論しているのと似ているのである。


明仁天皇が老化が進み、公務を務めるのが難しいため、退位を希望することを国民に対して示した行為は、最近では、天皇が自ら自分の意志を積極的に示した一例となった。


あそこまでしなければ、退位を真剣に検討してもらえなかったということなのだ。


天皇には権威があり、象徴となった今も国民に君臨しているのだが、同時に全く自由がなく、国民から束縛される存在でもある。


天皇は、明治維新の時に日本の実権を得た薩摩、長州などの政治家によって駒として利用された。


退位する自由もないというのは奴隷であり、駒であるということである。


そして、その薩摩、長州の明治維新で成り上がった支配者たちの末裔の最後の大物が安倍晋三である。


今、安倍政権は、天皇を駒として最大限政治利用し、自らの権威を高めている。


また第二次世界大戦の戦勝国アメリカも天皇制を存続させることで、日本の天皇を最大限政治利用している。



皇室というものは、封建的な価値体系の中の一つであり、近代合理主義革命の中で破棄されるべき対象であった。


血の議論というものは、極めて物質的な発想であり、古い時代の産物である。


ヨーロッパで軒並み王朝が打倒された近代革命の中で、皇室は本来は消えていくべきものだったのだ。


一夫一婦制度が導入された近代民主主義社会には、なじまない制度が、天皇制である。




改元特番でNHKだけが伝えた”不都合な真実”
水島宏明 | 上智大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター
2019/5/1(水) 17:22

「日本の象徴天皇制は自然消滅する」

 ショッキングな表現でそう語っているのは改元の前夜に放送された「NHKスペシャル」に登場した古川貞二郎・元官房副長官だ。今のままでは象徴天皇制は存続し続けるかどうかわからないと警告する。番組を見ると、象徴天皇制で初めてとなる「生前退位・即位」という大きな出来事を前にして、政権の中枢にいた人物でさえ強い危機感を露わにしていることがわかる。その危機感が国民の間であまり知られていないように思う。この「NHKスペシャル」が問いかけた内容は後でくわしく述べるが、他の番組は「お祝いムード」一色で、肝心な”不都合な真実”がまったくと言っていいほど報道されていないのだ。

「5,4、3,2、1・・・令和、おめでとう!」 
 

 2019年(=平成31年)4月30日から翌日となる2019年(=令和元年)5月1日にかけて、テレビ番組は”改元”の話題一色である。連休中の人々があちこちに集まって、再び正月がやってきたようなお祝い騒ぎを繰り返している。テレビはこうしたお祭りが本当に好きで便乗して盛り上げているような感じさえある。

30日は「平成」の時代を、節目となる事件や災害、トピックスの映像とともに振り返り、そこに前天皇・皇后両陛下(現上皇・上皇后両陛下)がいかに被災地の人々らに寄り添い、「象徴としての天皇」のあり方を模索して来られたのかなどについて時間をさいて伝えていた。

 筆者は、30日夕方、テレビ各社が中継した前天皇陛下の退位のセレモニー「退位礼正殿の儀」の様子を見ていた。最後まで「象徴としての私」という言葉で「象徴」としての天皇のあり方に最後まで向き合ってきた思いをにじませていたのが強く印象に残った。立場は違っても同じ時代を生きてきた「人間の思い」が通じたように感じられて、心を揺さぶられた。

 翌1日昼、皇太子から天皇に即位されたばかりの新しい天皇陛下が「即位後朝見の儀」でお言葉で「象徴としての責務を果たす」と決意を述べられた。

一連の儀式や改元にあたっては「象徴」こそ鍵となる言葉である。
 この両日、「ニュース番組」でも通常よりも番組時間を拡大して特別編成の態勢になっていた。当然、「象徴」としての天皇のあり方についても視聴者に示唆を与えたり、現状の問題を提起したりするような報道が行われるだろうと想像していた。天皇を中心とする皇室の行儀がこれほど連続して生中継という形で長時間報道されることはかつてないからだ。

 冷静に考えれば、前天皇陛下がこれほど強調され、それを引き継いだ今の天皇陛下も口にされた「象徴」としての天皇の役割について、突っ込んで議論することがニュースなどの報道番組には求められているはずだ。

 ところがこの点で「象徴」に正面から切り込む番組は民放にはなかった。

 各局のテレビ番組を見ていると、役割・機能としての「天皇」や「皇后」と、現存する前「天皇陛下」や前「皇后陛下」があまり明確に区別されず、丁寧な言葉づかいばかり意識して不必要な敬語が乱用されている印象を受けた。

 一方で、ほとんどの民放局の報道番組が触れていなかったのが、皇位継承での「女性天皇」や「女系天皇」の可能性をめぐる議論である。


「象徴」とは何をする仕事なのかを真正面から追求して取材力を発揮したのが、NHKスペシャル「日本人と天皇」だ。

 「天皇」も役割としての天皇としての意味で大半をつかっていた。

 冒頭のナレーションはこう始まる。

「東京の光の海に囲まれた夜の皇居。今から4時間後に新たな天皇が即位します。これから行われる一連の儀式。天皇の知られざる伝統の姿が現れます。それは神と向き合い祈る姿です。」

 鎌倉時代から江戸時代までの即位の時に行われてきた神道と仏教の儀式も明らかにされる。そこには天皇と神と仏を一体にするサンスクリット語の呪文「ボロン」も明らかにされる。

このように番組では天皇が行う宗教的な儀式などを撮影した映像をふんだんにつかって天皇の宗教行事の歴史的や経緯や変化などを伝えていた。

 その上で、番組の圧巻な部分は、「皇位継承」についての取材である。

 戦前の皇室典範も戦後の皇室典範も「男系男子」(男親の系譜で生まれる男子)を天皇継承の条件と定めている。これまでの歴史では女性の天皇がいた時も、「男系」(父親か祖父などが男性)の天皇であって女系はいなかった。

 この問題をめぐる取材が非常に深い。

 戦後に新しい憲法が発布されて、天皇は「象徴」という立場になり、宮家も11が廃止されて51人が皇族から民間人に身分が変わった。この

 取材班は、新憲法が発布された日に三笠宮崇仁親王(昭和天皇の末弟)が皇室典範の草案を審議していた枢密院に提出した皇室典範改正をめぐる意見書を掘り起こしたが、そこで三笠宮は以下のように書いている。

「今や婦人代議士も出るし、将来、女の大臣が出るのは必定であって、その時代になれば今一度、女帝の問題も再検討」するのは当然だと。

 進歩的な思考の持ち主だった三笠宮は、天皇にも基本的人権を認めて、場合によって「譲位」という選択肢を与えるべきとも書き残していた。

 けっきょく、三笠宮の意見書は枢密院で検討された形跡がなかったが、その後、小泉政権で「女性天皇」「女系天皇」の問題が検討の対象になる。

 平成13年(2001年)、当時の皇太子ご夫妻(現天皇皇后両陛下)に女子(愛子さま)が生まれたことで平成17年(2005年)、小泉政権で皇室典範に関する有識者会議が発足して、10ヶ月間、委員はいろいろな資料を元にして議論を進めたという。その中で委員が知った意外な事実があったという。

 これまでの125代におよぶ天皇のうち、約半分が「側室」(第2夫人、第3夫人など)の子と見られているという。戦後は「側室」という制度はない。過去400年間では側室の子どもではない天皇は109代の明正天皇、124代の昭和天皇、125代の前天皇(今の上皇陛下)の3人のみで、側室の制度がない現在においては「男系」の伝統の維持は難しいという声が多くの委員が認識したという。

 けっきょく、この有識者会議では男女の区別なく「直系の長子(天皇の最初の子ども)を優先する」という最終報告を出し、翌年(平成18年=2001年)、政府は「女性天皇」「女系天皇」の容認に舵を切った。

 ところがこの動きに猛反発したのが男系の伝統を重視する人たちだったと、2006年3月に日本会議が行った「皇室の伝統を守る1万人大会」

の映像が登場する。日本会議の関係者の映像がNHKスペシャルのような正統派ドキュメンタリー枠で登場するのはかなり珍しいが、NHKのスタッフは今回、番組制作にあたってこうした団体も正面から取材して放送している。

 当時の平岩赳夫衆議院議員(日本会議国会議員懇談会会長=当時)は演説で以下のように語っている。

「連帯と125代万世一系で、男系を守ってこられたご家系というのは日本のご皇室をおいて他にはありません。守らなければならない伝統や文化は断固守っていかねばならない」

 さらに國學院大學名誉教授の大原康男さんもインタビューで「女系はいまだかつてない、まったく別の王朝が生まれること」などと説明するが、けっきょく2006年秋に秋篠宮ご夫妻に長男の悠仁さまが誕生したことで棚上げとなって議論が見送られた。

 だが、有識者会議の委員の一人だった元官房副長官の古川貞二郎さんが以下のような言葉を述べるのである。

「私はね、不本意ながら、本当に日本の象徴天皇制は自然消滅するのね、そういう言葉は使いたくないけれど、そういう可能性が高いんじゃないかというふうに心配しますですね。これは。というのはお一人。いずれ悠仁親王殿下おひとりになられる。

 本当に国民が理解し支持するという案で、この象徴天皇制を継承する議論をし、取り組みをしないと、私は後生に非常に悔いを残すことになりはしないだろうか、というふうに思いますね」

 確かに、これまで125代の天皇のうち、側室から生まれていない天皇が3人しかないのであれば、側室という制度がなくなった以上、「女性天皇」を認め、「女系天皇」を認めない限りは、古川氏の言う通りで「自然消滅」してしまう可能性が高い。

 「男系」を維持すべきと訴えてきた(日本会議系の)人たちは「ある案」に期待を寄せていると、番組で紹介している。

 それは旧宮家の子孫を皇族に復帰させることで、男系が続く家の男子が女性皇族と結婚するか、皇族の養子になってもらう、という案だという。いずれにせよ、本人にその意思がなければ実現できないため、NHKの番組取材班は旧宮家の人たちに「質問状」を送って、皇族に復帰する気持ちがあるかどうかを尋ねたところ、全員が「この件はコメントをさし控えたい」という反応だった。

 番組では「仮に復帰する意思があったとしても皇室典範の改正は必要」とナレーションで説明。

 「女系」に反対する急先鋒だった平沼赳夫元衆議院議員にもインタビューしている。

(平沼赳夫元議員)

「やっぱり悠仁親王に男の子がたくさん将来お生まれになることが望ましい。」

(ディレクター」

「一般の我々にしても、女の子がずっと生まれるというのはある。天皇家だけ例外があるのかというとそれも・・・」」

(平沼、しばらく無言で考えた後で)

「誰も結論は出ないでしょうけどじっと待つしかないな。それを信じながら」

 右派の大物議員で現政権にも少なからぬ影響力を与える人物でさえ「じっと待つ」「信じる」という他にこれという妙案がないという。

 そうであればこそ、100年先、200年先でも継続するような仕組みを国民全体でどうやってつくるのか議論することが必要なテーマであるはずだ。

 この番組の最後は、戦後すぐに皇室典範に「女性天皇」「女系天皇」の余地を検討すべきだと提言していた三笠宮崇仁親王の晩年の声が登場する。2004年にNHKのラジオ番組に出演した時の肉声だ。

「女帝自体も大変だし、けれども今度は一般の人が配偶者になるということはこれは大変で、戦後、華族制度がなくなりまして、華族制度をなくすということは、いわば、天皇制の外堀を埋められたようなこと・・・。今になって考えますとね、だから女帝になっても、配偶者になる方がいないんじゃないかと思うんですね。今の日本人では・・・。今はマスコミが騒ぎすぎますねえ。あれだと本当に将来もそういう立場になるという人もおじけづくだろうし・・・。

理屈では当然、女帝であってもしかるべきだけれども、

現実問題としては、果たしてそれがどうなるのか。女帝おひとりで終わっちゃうのも困りますしね、

これはともかく大きな問題だと思いますね」

 三笠宮は皇室の行く末を案じながら、3年前に100歳でこの世を去った。

 この部分の音声には前天皇ご一家の家族写真の映像が挿入されている。

 現天皇の長女・愛子さまの他に秋篠宮ご夫妻(現皇嗣・皇嗣妃ご夫妻)の長女眞子さまや次女の佳子さまも写っている写真。眞子さまとかつて婚約を発表した小室圭さんをめぐる報道を思い出してみても、確かに将来、女帝が誕生するにしても、その配偶者になる人が現れるものだろうかと想像してみる。改めて三笠宮の慧眼には恐れ入るほかない。

 三笠宮が考えていた「持続可能性がある象徴天皇制」ということを考えると、現状ではあまりに課題が多いということをこの番組で突きつけられた気がする。

 「お祝いムード」一色に染まったテレビ番組が圧倒的に多い中で、このNHKスペシャルは長い目で見た「象徴天皇」のあり方を国民に訴える非常にすぐれたドキュメンタリー番組だったと思う。

 番組の最後のナレーションはこう終わっている。筆者自身の経験でも番組の最後のナレーションは制作者がそれこそ全身全霊をかけて書き上げるものだ。

「長い歴史の中で、伝統を受け継ぐそれぞれの時代の日本人の姿を反映した天皇をめぐる課題に、主権者である私たちはどう向き合っていくのか。新たな天皇に何を期待し、どのような時代をともに作っていくのか。その問いとともに、令和がまもなく始まります。」

 生前退位の儀式の後にNHKが放送したドキュメンタリーが突きつける課題はとても重い。お祝いムードに浮かれてばかりいるのではいけない。象徴天皇制をどうつくっていくかは、私たち一人ひとりの国民の意識なのだと訴えている言葉だ。日本人が「象徴天皇」について考えるこの数日、どうあるのが望ましいのかじっくり考えるべきだろう。






(参考資料)



秋篠宮家バッシングなぜ過熱? 眞子さまと小室圭さん、結婚騒動の今を皇室ウォッチャー解説
2019/05/03 19:30 文=サイゾーウーマン編集部

 5月1日、新しい天皇が即位し、「令和」の時代が開幕した。日本国民は祝福ムードに包まれているが、一方で、昨年から続く秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんの結婚延期問題が、平成のうちに決着しなかったことを問題視する向きもある。当初は、借金トラブルを隠していた小室さん側に国民の批判が集中していたものの、最近では、眞子さま、ひいては秋篠宮家バッシングも盛んになる中、この現状を皇室ウォッチャーX氏はどう見ているのか、話を聞いた。

――眞子さまと小室圭さんの結婚延期騒動がなかなか決着を見せず、世間では双方へのバッシングが吹き荒れています。

皇室ウォッチャーX氏(以下、X) 当初は借金トラブルを抱える小室家への批判が吹き荒れていましたが、今ではそんな圭さんと眞子さまのご結婚を許可した秋篠宮ご夫妻に対する批判に切り替わっている印象です。「小室家の借金トラブルを、きちんと調査をしていればよかったのに」という意見もあります。さらに、眞子さまが圭さんを結婚相手に選んだのは、秋篠宮家の「自由な家風」による教育の影響ではないかという批判も起こっているのではないでしょうか。

――世間の批判の矛先が、秋篠宮ご夫妻に向いたきっかけはありましたか。

X 「圭さんのアメリカ留学」ではないでしょうか。昨年8月に国際弁護士の資格取得を理由に、圭さんは3年間のアメリカ留学に発ちました。もちろん、この謎の留学に対しても批判は起こりましたが、圭さんが日本からいなくなったことにより、週刊誌も彼の取材を行うのが困難になったようで、近影はおろかニュース自体が減ってしまったのです。同時に、圭さんの母親・佳代さんもまったく姿を現さなくなりましたから。そんな中、秋篠宮家の方々がご公務を行う様子などは変わらず報じられていましたので、自然と批判の矛先が秋篠宮家に変わってしまったのだと考えます。

 もう一つ、これは「きっかけ」ではないですが、結婚延期から1年以上たったのにもかかわらず、秋篠宮ご夫妻が具体的な行動を取っていないのも、批判が起こった「理由」だと思います。かろうじて、昨年秋篠宮さまが、お誕生日会見で踏み込んだ発言をされたものの、事態はほとんど動いていない。そんなもやもやとした状況に国民が業を煮やしたのかもしれませんね。

――ネット上を見ていると、国民は秋篠宮家の方々それぞれに対して、意見や要望を訴えている様子が垣間見えます。

X 秋篠宮さまに対しては、小室家への調査が甘かったことを批判されている印象です。また、破談を望む国民からは「早く小室さんを説得して結婚辞退させてほしい」という意見が聞こえるように思います。紀子さまに関しては、眞子さまとのコミュニケーションが取れていないという週刊誌報道によって、「眞子さまと今以上に、結婚についての話し合いを進めてほしい」との声が上がっているのではないでしょうか。そして、眞子さまに対しては、やはり「なぜこれだけの批判が起こっているのに、皇族というお立場を考慮して結婚を諦めないのか」という批判が目立っています。さらに佳子さまは、最近大学を卒業する際に発表した文書で「姉個人の希望が叶ってほしい」と、眞子さまの結婚を応援するスタンスを取られたことで、一気に集中砲火が起こりました。また、悠仁さまご本人に対する直接的な批判は目立ってありませんが、問題を抱えている秋篠宮家が未来の天皇陛下である悠仁さまをきちんと教育できるのかといった不安の声があると思います。

秋篠宮さまは「自由」、紀子さまは「カリカリ」

――もともと皇室ウォッチャーの間で、秋篠宮家はどのようなご家族であるととらえられていたのでしょうか。

X 秋篠宮さまは幼い頃から、お兄様である天皇陛下に比べて、自由奔放なご性格だったように思います。学習院大学で紀子さまと出会われてご結婚したことも、皇族では珍しく「自由な恋愛をされた」と見る向きが強いです。また、ナマズや家禽類のご研究に没頭されていたり、お好きなことをやられている印象もあります。紀子さまは、秋篠宮家の職員への対応が時に厳しくなることがあるそうで、よく人員の入れ替えがあるという話も耳にしました。お出ましの際は、いつもにこやかにされている紀子さまですが、私生活では求めるハードルが高く、カリカリしている印象があります。

――平成のうちには、決着がつくだろうとみられていた結婚延期騒動ですが、結局何の動きもありませんでした。今後、どのような展開を見せると思われますか。

X とりあえず言えることは、今年中は即位関連の儀式が続くので、結婚延期騒動の決着はないでしょう。秋篠宮ご夫妻も、そんな大切な時期に事態を動かそうという思いはないと考えられます。あるとすれば、来年に入って早々、結婚延期が発表されてから2年たった頃なのではないかと思います。宮内庁の発表でも2020年までの延期とされていますし、ちょうど延期から2年たった節目は動きやすいのではないでしょうか。その際は、発表された内容同様に、結婚関連の儀式スケジュールが発表されるのか、もしくは圭さんから結婚の辞退が公表されるのか、もしくはさらなる延期期間を設けるかの3択しかないと思います。令和になっても、まだしばらくは騒動が終わることはないでしょう。
参照元:秋篠宮家バッシングなぜ過熱? 眞子さまと小室圭さん、結婚騒動の今を皇室ウォッチャー解説
2019/05/03 19:30 文=サイゾーウーマン編集部

悠仁親王の“机に刃物”でもやまない秋篠宮バッシング! 事件まで“秋篠宮のせい”にする攻撃
2019.04.27 08:00 LITERA

秋篠宮家の長男・悠仁親王が通う、お茶の水女子大学附属中学校の悠仁親王の机に刃物が置かれていたことがわかった。

 報道によれば、26日午後、悠仁親王の机の上に包丁のような刃物が2本置かれているのを学校関係者が発見し、通報したのだという。犯人や犯行の動機などはまだわかっていないが、悠仁親王を狙った嫌がらせ、脅しの意味があると考えて間違いないだろう。

 しかし、だとすると、考えなければいけないのは、このところ過熱していた秋篠宮バッシングとの関係だ。

 秋篠宮家の長女・眞子内親王と小室圭氏の結婚問題に端を発し、秋篠宮家に対して、ネットや週刊誌が猛烈なバッシングを展開してきた。

 眞子内親王が今も小室氏と結婚したいという意思を示していると報じられたこと、妹の佳子内親王が眞子内親王の結婚について「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と、個人の意思を応援するメッセージを発したことなどを、“ワガママ”のようにあげつらい、自主性を尊重する秋篠宮家のリベラルな教育方針を徹底批判。

 また秋篠宮が、大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」として、天皇家の私的活動費である「内廷会計での実施」を提案したこと、あるいは、生前退位の特例法成立時に「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」と即位辞退を示唆する発言をしていたことが最近になって報じられると、さらにバッシングは過熱。「単なるワガママ」「出すぎた発言」などと、総攻撃を受けた。

こうした批判は、まだ12歳の悠仁親王に対しても向けられた。それまで慣例だった学習院ではなく、幼稚園からお茶の水女子大学附属に通い、この4月もお茶の水の中学に進学した悠仁親王の教育を問題視するとともに、その適性にダメ出しする報道まであった。

 そして、そのさなかに、悠仁親王の机の上に刃物が置かれるという事件が起きたのだ。政治家への実弾送りつけなど、同種の事件のパターンを考えると、今回も秋篠宮家バッシング報道が後押しした可能性は十分にあるだろう。

 しかも、こんな事件が起きたにもかかわらず、バッシングは全く止む気配がない。たとえば、きょうYahoo!トピックスにアップされた事件を伝える「週刊朝日」記事のコメント欄には、あたかも事件を引き起こしたのが秋篠宮の教育方針のせいだとでもいうような批判があふれている。

〈好き勝手やってる秋篠宮御夫妻と姉妹への反感かな。怖いですね〉

〈この事件は過激ですが、秋篠宮家に不満を持つ民意の表れではないかと思います〉

〈秋篠宮様は皇位や皇室を軽く考えすぎているのでは? 好きな学校に行けばいいとか、好きな人と結婚すればいいとか、結婚後は年収300万円で慎ましやかに暮らせばいいだけとか〉

〈秋篠宮家も皇位継承者が2名もいる家なのにお茶の水だICUだと、考え浅すぎ〉

〈皇室の安全の為には、学習院の方が警護慣れてると思うのに、敢えてお茶の水に行かせた結果、悠仁様だけでなく、お茶の水に通う子供やその親御さんも不安にさせる事になってしまったね。(中略)公より個人を優先し、皇族の自覚が足りないような〉

それにしても、本来、批判がタブーだったはずの皇族に対して、なぜこんな前代未聞の激烈なバッシングが繰り広げられているのか。

 本サイトでは、つい先週、一連の秋篠宮バッシング報道のおかしさと、その背景に踏み込む記事を配信した。今回、記事を再編集してお届けするので、ご一読いただきたい。

眞子内親王結婚問題を機に「秋篠宮家の教育が悪い」バッシング

 眞子内親王の婚約相手・小室圭氏の金銭問題から始まったトラブルが、あらぬ方向へと広がりを見せている。

 眞子内親王がそれでも結婚したいという意思を示したと伝えられたこと、そして妹の佳子内親王がその眞子内親王の結婚について「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と、個人の意思を応援するメッセージを発したことから、ネットのみならず、週刊誌が姉妹と秋篠宮家に猛烈なバッシングを展開しているのだ。

 たとえば「週刊文春」は、「奔放プリンセス佳子さまの乱 全内幕」(4月4日号)、「佳子さま紀子さま ダンスで「母娘」断絶」(4月11日号)と、連続して佳子内親王批判。たかだかフィギュアスケートやダンスに熱中していたことや口げんかに強いなどというエピソードだけで「奔放」などと決めつけた。

 また、眞子内親王の結婚問題から秋篠宮家の問題にも話を広げ、小室氏との結婚問題が起きたことについても、学習院でなくICU(国際基督教大学)に進学したせいだと、その教育方針まで批判している。

〈悠仁さまに「帝王教育」施さない秋篠宮家の教育方針を、不安視する声もある〉〈秋篠宮家は「自主性を重んじる」教育方針です。そのため、過去に宮内庁参与が『(悠仁さまに)教育係を付けては』と進言した際に、秋篠宮さまは表情を曇らせていたそうです〉などと付け加えるのだ。

 さらに、今週発売の4月25日号では、「皇太子が漏らされた秋篠宮さまへの憂慮「抗不安薬」「千鳥足」」という特集を組み、皇太子が秋篠宮の「奔放な発言」について不満を漏らしていることを報じた上で、秋篠宮が抗不安薬を服用しているという記事まで掲載した。

「週刊新潮」も同様だ。4月4日号に「「佳子さま」炎上で問われる「秋篠宮家」の家庭教育」なるタイトルの記事を掲載し、佳子内親王「結婚は個人のもの」発言について「(女性皇族の結婚は)当人のお気持ちだけで成り立つものではありません」「誰でも好きになった人と交際し、そのまま結婚、とはいかないのです」「そもそも佳子さまは皇室という存在をどのようにご理解なさっているのか、訝ってしまいたくなるようなお答えでした」と全否定。眞子内親王の結婚問題や佳子内親王発言にかこつけて、秋篠宮家のリベラルな教育方針を徹底批判した。

 続いて、4月18日号でも、「「秋篠宮家」が「私」を優先して「愛子天皇」待望論」というタイトルで、秋篠宮家が“「公」より「私」を優先させている”と攻撃。 佳子内親王発言や秋篠宮家の教育に、美智子皇后も厳しい目線を送っていると指摘したうえで、“「公」より「私」を優先させる”秋篠宮家で育った悠仁親王より、愛子内親王が天皇にしたほうがいいと、女性天皇待望論まで持ち出す始末だった。

 しかし、これらの批判はほとんど言いがかりとしか思えないものばかりだ。たとえば、「結婚は個人のもの」とする佳子内親王の発言は本サイトが先日配信した記事で指摘したとおり、民主主義社会では当たり前の主張。眞子内親王の結婚問題も、小室氏や眞子内親王個人、あるいは秋篠宮家の教育方針に原因があるのではない。

 事実、結婚をめぐるトラブルは他の皇族や宮家でも起きている。個人の結婚や恋愛の自由が保障された民主主義社会と、血統を重視する差別的な天皇制・皇室制度は本来、相いれないものであり、その矛盾が皇族の結婚を複雑で困難にしているのだ。それを、秋篠宮家の問題だけに矮小化するというのは、どう考えてもおかしい。

秋篠宮バッシングは問題のすり替え、でっちあげと女性差別

 もっと不可解なのは、“美智子皇后が秋篠宮家の教育に眉をひそめている”などという記述だ。美智子皇后のこの問題に対するスタンスは昨年5月の宮内庁ホームページに掲載された「眞子内親王殿下に関する最近の週刊誌報道について」という声明ではっきりしている。

〈(眞子内親王の結婚問題について)両陛下は当初より一貫して変わらぬ対応をしてこられました。

 両陛下が第一に考えられたことは、これは眞子さまの内心に触れる事柄であり,何人といえども、恐らくはご両親殿下でさえ眞子さまのお考えを待つ以外おありでないということでした。そうした中、ご自分方として出来ることは,極力周囲の雑音から眞子さまを守り、静かな状況を保つ中で、眞子さまがご自分の考えを深められるよう助力なさるということでした。〉

 眞子内親王の結婚について、天皇・皇后は「内心」の問題であり、強引に立ち入るつもりはないし他の誰も立ち入るべきではないという姿勢を鮮明にしている。それが、佳子内親王の発言に、眉をひそめるというのはどう考えてもおかしいだろう。

 さらに、眞子内親王の結婚トラブルの原因を、自主性尊重やICUへの進学のせいにするにいたっては、ただの女性差別でしかない。週刊誌は秋篠宮や姉妹を叩くために、女性が自主性をもつことや本人が希望するレベルの高い大学に進学することが結婚トラブルにつながるかのような、男尊女卑丸出しの論理を口にしているのだ。

 週刊誌は秋篠宮を「『公』より『私』」を優先などと批判しているが、これもおかしい。秋篠宮は大嘗祭の費用問題などでもわかるように、公と私をきちんとわけるように主張するなど、現天皇皇后と同様、日本国憲法下の象徴天皇制について、高い意識をもっていることがうかがわれる。むしろ、「『公』より『私』を優先」というのは、雅子妃や愛子内親王との家庭生活に関心が集中している皇太子のほうではないか。

 それにしても、眞子内親王の結婚問題や佳子内親王の発言が、いったいなぜこうした過剰ともいえる秋篠宮バッシングに発展してしまったのか。いや、秋篠宮への批判は今週先週に限ったことではない。週刊誌では数カ月前から、批判記事や内部情報が散発的に掲載されてきた。それも、皇室タブーに強い「新潮」や「文春」だけでなく、ふだん、皇室のヨイショ記事しか掲載しない女性週刊誌までが秋篠宮を批判しているのだ。

官邸が流す秋篠宮批判情報、文春は安倍首相の秋篠宮批判を紹介

 これはもちろん、ネットが“秋篠宮家叩き”に盛り上がっているという状況が後押ししている部分もあるだろう。だが、もうひとつ、週刊誌の新たな情報源の影響も見え隠れする。それはズバリ官邸だ。週刊誌の皇室担当記者が証言する。

「これまでの秋篠宮バッシングは、保守的な他の宮家や宮内庁関係者、東宮周辺から出ていることが多かったが、ここ数ヶ月の秋篠宮家の記事は、それだけじゃない。皇室担当じゃなく、政治担当の記者が情報を入れてくるケースが増えてるんだ。官邸で皇室を担当している杉田和博官房副長官の周辺、それから内閣情報調査室あたりが、情報の出どころなんじゃないか、といわれている」

 また、全国紙の官邸担当記者に確認すると、官邸幹部や、安倍首相に近い自民党中堅幹部などが、秋篠宮への批判をオフレコでしゃべるようになっているという。

「皇太子殿下の秋篠宮批判や、抗不安薬の使用なども、宮内庁や皇室周辺ではこれまで聞いたことがなかった。もしかしたら、官邸や内調から出てきた情報なんじゃないでしょうか」(前出・週刊誌皇室担当記者)

 実際、一連のバッシング記事の中にも、安倍首相周辺や官邸が秋篠宮バッシングの情報源になっていることを物語る記述が出てくる。その典型が、「週刊文春」4月11日号に掲載されたこんな一文だ。

〈現天皇との“溝”を埋められない安倍首相。秋篠宮さまについても、昨年十一月の誕生日会見で「大嘗祭は内廷費で賄うべき」と発言されたことに対し、「反乱だね」などと言い放っていた。麻生氏も「内廷費も税金だし、なんで税金に介入してくるんだ」と不快感を見せていたという。〉

 さらに、同記事には、安倍首相に近い関係者のこんなコメントも掲載されていた。

「首相は眞子さまと小室圭さんの問題に関して『早いうちから色んな恋愛を経験していた方がいい。(眞子さまが)可哀想だ』と言っていた。悠仁さまの将来についても『多くの女性と接してもらった方がいいのかも』と。内定費問題をはじめ、首相には秋篠宮家への不信感が根底にあるようです」(前出・首相周辺)

「(前略、生前退位の意向報道について)首相はむしろNHKの情報源を気にしており『秋篠宮さまがリークしたようだ』と見ていました」(官邸関係者)

 どうも安倍首相自身が秋篠宮批判を口にし、それが側近を通じて外に漏れているようなのだ。そして、こうした安倍首相のスタンスを忖度した官邸スタッフや内閣情報調査室が、秋篠宮バッシング情報を週刊誌に流しているということらしい。

最後まで明仁天皇と敵対し続けた安倍首相は即位に乗じて新天皇取り込み

 もちろん、こうした官邸の動きの背景にあるのは、秋篠宮が現天皇・皇后のリベラルな考えを受け継ぐ姿勢を見せていることだろう。

 今さら説明するまでもないが、第二次安倍政権以降、明仁天皇と安倍首相は“対立”といっていい関係が続いてきた。護憲と戦争への反省、沖縄への思いを隠そうとしない明仁天皇と美智子皇后に対し、安倍政権は改憲と歴史修正主義を推し進めるために天皇夫妻の口をふさごうと、陰に陽にプレッシャーをかけ続けてきた。

 しかし、そんな安倍首相にとって、目の上のたんこぶになっているのが、明仁天皇のリベラルな姿勢を引き継ぎ、その意向を代弁し続けている秋篠宮の存在だ。とくに、昨年の誕生日会見で、大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」として、天皇家の私的活動費である「内廷会計での実施」を提案したことは、国家神道復活を目指す右派勢力をバックにした保守派の安倍首相と相いれないものであり、相当な不快感を募らせたと言われている。

「秋篠宮殿下の発言は、明らかに天皇陛下の意向をくんだものでしたが、安倍首相は相当、危機感を持ったようです。その頃から、やたらと秋篠宮を批判するような情報が安倍首相の周辺から出てくるようになった。さらに今回、眞子さまの結婚問題がきっかけになって世論が秋篠宮家に批判的になったことに乗じ、殿下の影響力を封じ込めようと、官邸が一気にバッシング情報を流し始めたということじゃないでしょうか」(全国紙官邸担当記者)

 安倍官邸が、野党政治家や政権批判するジャーナリストや学者など敵対勢力のネガティブ情報を出し謀略攻撃を仕掛けてきたことは有名だが、まさか宮家まで標的にするとは……。とても「保守」のやることとは思えないが、しかし、この官邸の姿勢が、本来、タブーである秋篠宮報道の姿勢に影響を与えた部分はあるだろう。

 “官邸が発信しているくらいだから、われわれが秋篠宮を叩いたって大丈夫だろう”。そんな空気がいま、メディアに漂っている。

 いまや、皇室タブーよりも安倍政権の力がはるかに強大になった今、秋篠宮はこれからもどんどん追いつめられていくということかもしれない。

(編集部)
参照元:悠仁親王の“机に刃物”でもやまない秋篠宮バッシング! 事件まで“秋篠宮のせい”にする攻撃
2019.04.27 08:00 LITERA

皇位継承安定化へ動き鈍く=安倍政権、「女系天皇」論を警戒
2019年05月02日07時29分 時事ドットコム

 天皇陛下の即位を受け、皇位継承資格者は秋篠宮さま(53)、悠仁さま(12)、常陸宮さま(83)の3人だけになった。手を打たなければ、皇位継承資格者がいずれ不在になる恐れが否定できない状況だ。皇位継承を安定的に維持していくには打開策の検討が急務だが、女系天皇容認論の再燃を警戒する安倍政権の動きは鈍い。

 政府は1日、天皇陛下が皇位の証しとされる剣や勾玉(まがたま)などを引き継ぐ「剣璽等承継の儀」を挙行。成年男性皇族2人が同席する中、女性皇族は一人も姿を見せなかった。皇位継承の中心儀式に女性皇族が立ち会えば、女系天皇容認につながりかねないとの保守派の懸念に対する配慮も背景にある。

 皇位継承の安定化は2000年代初頭に盛んに議論されるようになった。皇室典範は、父方をたどって天皇と血統がつながる男系の男子が皇位を継承すると定めるが、当時の皇室では1965年の秋篠宮さまを最後に長く男子が生まれていなかった。このため、関係者の間で皇位が断絶しかねないと危機感が強まった。

 こうした中、小泉内閣の有識者会議が05年に提唱したのが女性・女系天皇の容認だった。47年制定の皇室典範が規定する皇位継承資格は、それまで可能だった婚外子即位の道も閉ざし、歴史上、最も門戸が狭い。一方、日本社会で進む少子化の波は皇室にも押し寄せる。

 有識者会議は報告書で、こうした事情に触れながら、「一組の夫婦の出生数が2人を下回れば、男系男子は世代を追うごとに減少し続ける」と警告。女性の社会進出も考慮しつつ、「皇位の男系継承を維持することは極めて困難。女性・女系天皇への道を開くことが不可欠だ」と結論付けた。

 これに異論を唱えたのが保守派だった。当時官房長官だった安倍晋三首相も、その一人だ。史上数人いる女性天皇はともかく、全く例のない女系天皇は皇室の伝統に反すると批判。代わりに47年に連合国軍総司令部(GHQ)の指令で皇籍離脱した旧皇族の皇籍復帰を主唱した。

 しかし、旧皇族は約600年前の室町時代までさかのぼらなければ今の皇室と共通の祖先にたどり着かない遠縁。国民の理解を得られないとの声は強かった。議論が行き詰まる中、06年に悠仁さまが誕生。第1次安倍政権が発足すると、安定継承の議論は立ち消えになった。

 女性皇族は一般男性と結婚すると皇籍を離れるため、皇族が将来ほとんどいなくなり、皇室活動に支障が出るとの懸念も現実味を帯びる。野田政権は女性・女系天皇の議論とは切り離し、女性皇族が結婚後も皇籍に残る女性宮家創設に限って議論を進めようとしたが、第2次安倍政権発足でこれも棚上げになった。

 国会が一代限りの天皇退位を認めた際の付帯決議は、皇位継承の安定化を「先延ばしできない」と指摘。速やかな検討を求めた。

 だが、政府は「慎重かつ丁寧な検討が必要」との姿勢を崩さない。菅義偉官房長官は1日の記者会見で「まずは天皇陛下の即位に伴う一連の儀式がつつがなく行われるよう全力を尽くす」と表明しており、着手は早くても秋以降になる見通し。政府関係者は「検討を始めても、ふりだけ。結論は数十年後だ」と語った。
参照元:皇位継承安定化へ動き鈍く=安倍政権、「女系天皇」論を警戒
2019年05月02日07時29分 時事ドットコム

秋篠宮さま、高齢で即位は「できない」 タブーの辞退論
2019年4月20日20時20分 朝日新聞DIGITAL

天皇陛下が「身体の衰え」を訴え、退位の意向をにじませた2016年8月のビデオメッセージから2年8カ月余。陛下のお気持ちは高齢化社会に直面している日本国民の共感を集め、あと10日で、約200年ぶりとなる天皇退位が実現する運びとなった。ただ、今回の退位は法的には一代限り。「その次」はどうなるのか。

「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」

 一昨年6月、天皇陛下の退位を実現する特例法が成立した後、秋篠宮さまが皇位継承についてこう語るのを関係者は聞いた。当事者として、高齢で即位する難しさを指摘した形だ。代替わり後、秋篠宮さまは皇位継承順位1位の「皇嗣(こうし)」となる。「天皇になることを強く意識している」という皇室研究者の見方が報じられると、「そんなこと思ったことがない」と打ち消す発言もあったという。

 近代以降、天皇は終身在位制となり、逝去すれば疑問の余地なく、皇室典範で定められた次の皇位継承者にバトンが回ってきた。だが今回、高齢を理由とした退位が認められたことで、タブー視されてきた「即位辞退」の可否もが議論の俎上(そじょう)にのぼり出した。

 2月27日、衆議院予算委員会第1分科会。国民民主党の津村啓介氏は「皇嗣の地位にある方が、世代が近い、高齢などを理由に皇位の継承を望まない意思を公に表明した場合、皇室典範の中でどう解されるのか」と疑問をぶつけた。

 皇室典範は、皇位継承者の意思による即位辞退を想定していない。宮内庁の西村泰彦次長は「仮定を前提にした質問」として回答を控えたが、津村氏は、皇太子さまと秋篠宮さまが同世代であることを踏まえ、「決して非現実的な想定だと思っていない。国の根幹に関わる部分について、さまざまな内部検討をお願いしておきたい」と訴えた。

 しかし、保守派からは異論もある。麗沢大学の八木秀次教授(憲法学)は「退位の実現は皇室を危機にさらすパンドラの箱。将来的な即位辞退をも認めることにつながれば皇統を揺るがしかねない」と危惧する。かねて①短期間での退位や即位拒否を容認する余地を生み皇位継承を不安定化させる②退位が政治的に利用されかねない――と退位そのものに反対してきた。
参照元:秋篠宮さま、高齢で即位は「できない」 タブーの辞退論
2019年4月20日20時20分 朝日新聞DIGITAL

未来の天皇「やっぱり愛子さまがいい」「当然、悠仁さま」
いろんな意見があるけれど…
2015/01/13 週刊現代

明治以前には8人10代の女性天皇がいた。明治になり、女性の存在しない陸海軍のトップである大元帥の地位に天皇が就いたため、男である必要があったけれど、戦後は事情が違います。天皇は軍事力も財政力ももっていないんです。憲法でも男女同権になり、六三制の教育制になって男女共学にもなった。女性自衛官も生まれてきた。天皇は国の象徴にとどまる上、男性と女性の性差がなくなりつつある今、僕は女性天皇も有りだと思っています」

現法律では悠仁さま

ここで「女性天皇」と、「女系天皇」の違いを説明しておこう。歴史上の女性天皇は、いずれも男性の天皇や皇太子の皇女だった女性が即位したもので、つまりは「男系女子」の天皇だ。仮に愛子さまが皇位に就いた場合も、父が天皇家の血統なので男系女子の天皇ということになる。

一方、「女系天皇」とは、仮に女性天皇が非皇族の婿をもらって子を産み、その子が皇位を継承したら、その天皇は男女にかかわらず女系天皇ということになる。つまり、愛子さまが天皇になったとして、その子を天皇と認めるか否か、というのがポイントだ。

文化学園大学客員教授の渡邉みどり氏も、愛子さまが天皇になる道は開いておくべきだと主張する。

「女性の時代だからこそ、逆に男系男子でつながってきた天皇家の希少性、伝統の価値を大切にしたいという考えもわからなくはない。ただ、伝統を守りつつも、新しい風を入れていかないと、皇室そのものが滅びていく可能性がある。

かつて、皇后美智子さまが初の民間出身皇太子妃となったとき、昭和天皇は喜んでおられました。意外かもしれませんが、男系男子を主張する人々より皇室の方々のほうがよっぽど、新しい風を入れていく姿勢をお持ちだと思います。時代に合わせてリベラルに考えることが、皇室の将来に繋がるのではないでしょうか」

渡邉氏は、皇位継承資格を「男系男子」ではなく「皇統に属する長子」が継承できるように皇室典範の改正を考えるべきと言う。現行の皇室典範は憲法下にあるため、他の法律同様に国会で改正が可能だ。

「天皇の直系が次の天皇になる」という考え方は非常にシンプルに思えるが、事はそう単純ではない。麗澤大学の八木秀次教授はこの意見に強く反対している。

「そもそも、現皇室の直系の祖先は、江戸時代中期の光格天皇。その光格天皇は先代の天皇にとっては傍系にあたるのです。ですから、直系を重視するということは、今の皇室の血統を否定することになりかねない」

次世代の後継者である悠仁親王が天皇になるべきだと言う八木氏は、皇位における男系男子の重要性についてこう説く。

「一般の家庭では、男系継承というのは馴染みがないかもしれませんが、それは財産継承が基本だからです。祖先の築いた財産を守るため、能力が高い人物が後継者になるのが望ましい。しかし、天皇の地位は日本の最高の祭祀者の地位であり、権力者の地位ではない。能力ではなく純粋に男系の血筋による系統でなくてはならないんです。

日本が中長期的に安定した歴史を築いてこられたのも男系継承を守ってきたから。もし、女系にまで皇位継承権を広げてしまったら、収拾がつかなくなり、必ず争いに繋がりますよ。日本が根本から変わってしまうかもしれない」

もっとも、現行法通りに悠仁さまが天皇になるべきと語る識者のなかには、愛子さまの立場を考えて、「女性天皇」のみを容認してはどうかという意見もある。

教育方針もそれぞれ

今上天皇の「ご学友」の橋本明氏が語る。

「男系皇族による皇位継承は維持すべきだと思います。この条文は天皇存立の基盤ですし、皇室と関係の深い神社本庁の宮司たちが、一致して『女系はダメ』と言っている以上、そこは変えられない。

そこで、言い方は悪いですが、愛子さまには歴史上と同じくつなぎの天皇になっていただくのです。そして愛子さまが婚姻されたときには、本来の継承権をもつ悠仁さまに譲位していただいた上で、皇室にとどまっていただいてはどうでしょうか。こうすることで皇室のご公務も分担され、悠仁さま一人に負担がかかることも避けられます」

現在の皇室典範に従うと、将来、愛子さまが結婚ということになれば、法律の定めのとおり、皇族の籍から離れる。たった一人残る男系男子の悠仁さまに、皇統の全てを担うという重圧がのしかかることになる可能性が高い。

今上天皇も悠仁さまが生まれる前、「皇室の中で女性が果たしてきた役割については私は有形無形に大きなものがあったのではないかと思います」と、女性天皇への一定の理解があるとも取れる発言をしている。

あるいは、男系と女系といった、歴史的な原則論とは別の観点からも議論が出ている。愛子さま、悠仁さまと実際に接している皇室関係者や宮内庁の人々の間で話されているのは、未来の天皇として、よりふさわしい教育をされているのはどちらかという問題だ。

「悠仁さまは女性の学校であるお茶の水女子大学の附属小学校で教育を受けている。本当なら学習院初等科で帝王教育を施されてしかるべき悠仁さまだけに、将来の天皇として、今の教育で大丈夫なのかという声はあります」(宮内庁OB)

最近では、悠仁さまの次姉の佳子さまが学習院大学を中退して国際基督教大学に入り直したときも、秋篠宮殿下は佳子さまの意思を尊重した。その自由な教育方針に、不安を覚える人も少なくないようだ。

ただ、これも「愛子さま派」か「悠仁さま派」かで見方は大きく異なる。まずは「悠仁さま派」。

「悠仁さまは天皇陛下によくお会いになっていますし、伊勢神宮や神武天皇陵、春日大社にも行かれている。秋篠宮殿下が、自分たち天皇家のルーツとなるところに連れていって、きちんと教育されているのです。

むしろ、あまり両陛下とはお会いになっていない東宮家のほうに不安があります。帝王教育で一番大切なのは、じかに天皇にお目にかかって、天皇というのがどういう存在なのかを学ぶことなのですから」(前出・皇室担当記者)

確かに、秋篠宮家と比べ、皇太子一家は天皇皇后両陛下と距離を置いているように思われがち。雅子妃の「適応障害」もいまだに癒えず、そんな複雑な家庭環境で育った愛子さまの「不登校」問題など、なにかと目立ってしまう部分は多いかもしれない。一方、「愛子さま派」で皇太子一家をよく知るある皇室関係者は語る。

「皇太子殿下は自立し、次代がどうあるべきかということを真剣に考えておられる。宮中祭祀も陛下の後について、きちんとこなしており、その姿勢は本当に素晴らしい。これも幼少の頃からきちんとした帝王学を教えこまれ、天皇という立場をよく理解しているからこそです。

その様子を日ごろから見ているためか、愛子さまも日々勉学に励んでおられ、内親王という立場も自覚し始めておられるようです。現状では、愛子さまのほうが国の象徴となられる資質が備わっているように感じます」

教育にこれだけ大きな注目が集まっているのは、次のような問題が控えているからだ。皇室ジャーナリスト・久能靖氏が説明する。

「現行の皇室典範のままであれば、愛子さまは紀宮(黒田清子)さまと同じように、皇室を離れなければなりません。皇后美智子さまは、紀宮さまが民間に嫁いでも大丈夫なように、さまざまな教育を行い、結婚前には一緒に旅行して、お二人が布団を並べてお休みになったりしました。従来の皇室では親子が枕を並べて寝るようなことはないが、民間では当たり前。だから、一般生活を教えてあげていたのです。

それと同じことを、これから雅子さまは愛子さまにしてあげなくてはいけないが、愛子さまが天皇になるのか、民間に行くのかによって、教育が違ってくる。そこがどうなるかわからないから、皇太子殿下と雅子さまは悩んでいるのです」

学習院幼稚園のとき、愛子さまはICカードを使って目白駅からJRで帰られたり、ミニバスに乗られたこともある。これらは、愛子さまが民間に嫁ぐことを考慮した雅子さまの教育の一環だと久能氏は言う。

どちらが自然に感じるか

愛子さまと悠仁さま。未来はまだ誰にもわからない。将来、悠仁さまがご家庭をもったとき、女児のみを授かる可能性もある。

愛子さまが天皇となった場合でも、前述のように、民間から婿を迎え、男児をご出産になった場合、その子供に皇位を継ぐ資格があるかという問題は残る。そんな複雑な事情を孕んだまま、お二人はどんどん成長を続けている。

「議論しているのは、伝統や歴史を研究している人たち。けれども、そういうことを知らない一般国民の多くにとっては、この問題は、お二人のうちどちらが天皇になられるほうが、自然に感じられるかという感情の問題です。そして、天皇という存在はその国民の感情こそが重要でもある。

しかも、当事者である皇室の方々に発言権はないのです。担当政権の意見だけではなく、もし、国民全体に皇位継承権問題を問うということになれば、どういう流れになるかわかりません」(宮内庁関係者)

どちらが即位するほうが良いのか。もう一度向き合って、国民的な意見を集約していくべき時期ではないだろうか。

「週刊現代」2015年1月3日・10日合併号
参照元:未来の天皇「やっぱり愛子さまがいい」「当然、悠仁さま」
いろんな意見があるけれど…
2015/01/13 週刊現代

秋篠宮家バッシングなぜ過熱? 眞子さまと小室圭さん、結婚騒動の今を皇室ウォッチャー解説
2019/05/03 19:30 文=サイゾーウーマン編集部

 5月1日、新しい天皇が即位し、「令和」の時代が開幕した。日本国民は祝福ムードに包まれているが、一方で、昨年から続く秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんの結婚延期問題が、平成のうちに決着しなかったことを問題視する向きもある。当初は、借金トラブルを隠していた小室さん側に国民の批判が集中していたものの、最近では、眞子さま、ひいては秋篠宮家バッシングも盛んになる中、この現状を皇室ウォッチャーX氏はどう見ているのか、話を聞いた。

――眞子さまと小室圭さんの結婚延期騒動がなかなか決着を見せず、世間では双方へのバッシングが吹き荒れています。

皇室ウォッチャーX氏(以下、X) 当初は借金トラブルを抱える小室家への批判が吹き荒れていましたが、今ではそんな圭さんと眞子さまのご結婚を許可した秋篠宮ご夫妻に対する批判に切り替わっている印象です。「小室家の借金トラブルを、きちんと調査をしていればよかったのに」という意見もあります。さらに、眞子さまが圭さんを結婚相手に選んだのは、秋篠宮家の「自由な家風」による教育の影響ではないかという批判も起こっているのではないでしょうか。

――世間の批判の矛先が、秋篠宮ご夫妻に向いたきっかけはありましたか。

X 「圭さんのアメリカ留学」ではないでしょうか。昨年8月に国際弁護士の資格取得を理由に、圭さんは3年間のアメリカ留学に発ちました。もちろん、この謎の留学に対しても批判は起こりましたが、圭さんが日本からいなくなったことにより、週刊誌も彼の取材を行うのが困難になったようで、近影はおろかニュース自体が減ってしまったのです。同時に、圭さんの母親・佳代さんもまったく姿を現さなくなりましたから。そんな中、秋篠宮家の方々がご公務を行う様子などは変わらず報じられていましたので、自然と批判の矛先が秋篠宮家に変わってしまったのだと考えます。

 もう一つ、これは「きっかけ」ではないですが、結婚延期から1年以上たったのにもかかわらず、秋篠宮ご夫妻が具体的な行動を取っていないのも、批判が起こった「理由」だと思います。かろうじて、昨年秋篠宮さまが、お誕生日会見で踏み込んだ発言をされたものの、事態はほとんど動いていない。そんなもやもやとした状況に国民が業を煮やしたのかもしれませんね。

――ネット上を見ていると、国民は秋篠宮家の方々それぞれに対して、意見や要望を訴えている様子が垣間見えます。

X 秋篠宮さまに対しては、小室家への調査が甘かったことを批判されている印象です。また、破談を望む国民からは「早く小室さんを説得して結婚辞退させてほしい」という意見が聞こえるように思います。紀子さまに関しては、眞子さまとのコミュニケーションが取れていないという週刊誌報道によって、「眞子さまと今以上に、結婚についての話し合いを進めてほしい」との声が上がっているのではないでしょうか。そして、眞子さまに対しては、やはり「なぜこれだけの批判が起こっているのに、皇族というお立場を考慮して結婚を諦めないのか」という批判が目立っています。さらに佳子さまは、最近大学を卒業する際に発表した文書で「姉個人の希望が叶ってほしい」と、眞子さまの結婚を応援するスタンスを取られたことで、一気に集中砲火が起こりました。また、悠仁さまご本人に対する直接的な批判は目立ってありませんが、問題を抱えている秋篠宮家が未来の天皇陛下である悠仁さまをきちんと教育できるのかといった不安の声があると思います。

秋篠宮さまは「自由」、紀子さまは「カリカリ」

――もともと皇室ウォッチャーの間で、秋篠宮家はどのようなご家族であるととらえられていたのでしょうか。

X 秋篠宮さまは幼い頃から、お兄様である天皇陛下に比べて、自由奔放なご性格だったように思います。学習院大学で紀子さまと出会われてご結婚したことも、皇族では珍しく「自由な恋愛をされた」と見る向きが強いです。また、ナマズや家禽類のご研究に没頭されていたり、お好きなことをやられている印象もあります。紀子さまは、秋篠宮家の職員への対応が時に厳しくなることがあるそうで、よく人員の入れ替えがあるという話も耳にしました。お出ましの際は、いつもにこやかにされている紀子さまですが、私生活では求めるハードルが高く、カリカリしている印象があります。

――平成のうちには、決着がつくだろうとみられていた結婚延期騒動ですが、結局何の動きもありませんでした。今後、どのような展開を見せると思われますか。

X とりあえず言えることは、今年中は即位関連の儀式が続くので、結婚延期騒動の決着はないでしょう。秋篠宮ご夫妻も、そんな大切な時期に事態を動かそうという思いはないと考えられます。あるとすれば、来年に入って早々、結婚延期が発表されてから2年たった頃なのではないかと思います。宮内庁の発表でも2020年までの延期とされていますし、ちょうど延期から2年たった節目は動きやすいのではないでしょうか。その際は、発表された内容同様に、結婚関連の儀式スケジュールが発表されるのか、もしくは圭さんから結婚の辞退が公表されるのか、もしくはさらなる延期期間を設けるかの3択しかないと思います。令和になっても、まだしばらくは騒動が終わることはないでしょう。
参照元:秋篠宮家バッシングなぜ過熱? 眞子さまと小室圭さん、結婚騒動の今を皇室ウォッチャー解説
2019/05/03 19:30 文=サイゾーウーマン編集部

新天皇陛下、気取らず温かく 英のパブで友とビール
毎日新聞2019年5月1日 00時05分

 新しい天皇陛下は、若いころから多くの人と気さくに交流されてきた。皇室を取り上げるテレビ番組製作に長年携わるディレクターに新陛下とのエピソードを聞いた。

TBS・MBS系「皇室アルバム」を製作する毎日映画社のディレクター、大谷丕昭(ひろあき)さん(71)に聞く

 50年近く皇室を追いかけてきました。取材は、園遊会や一般参賀、行事出席や海外親善訪問など宮内庁が設定する場面でカメラを回すのが基本です。とはいえ、天皇や皇族の素の表情を撮りたいという思いは常にあります。視聴者に喜ばれますし、何よりそうした表情にこそ個性や人柄がにじみ出ると思います。

 新陛下の「オフショット」を撮影できた忘れられないスクープがあります。1986年、新陛下は英国王室の結婚式に参列するために渡英し、オックスフォードに宿泊しました。オックスフォード大に留学された経験があったので、空き時間は英国の友人と旧交を温めるだろうと踏んで、事前に一軒のパブに狙いを定めていました。

 公式行事のない時間にパブに行ってみると、新陛下は友人たちとテニスを終え、ビールを飲んでいました。友人と語らうリラックスした表情からは、かつての留学生活の充実ぶりが想像できました。新陛下は笑顔で撮影を承諾してくださった。後日、側近の侍従に写真を渡すと、焼き増しをお願いされました。新陛下は写真を友人に届けられたそうです。優しい気遣いをされる方だと感じました。

新陛下を小学生のころから取材してきました。スクープの背景には、皇太子になる前だったので周囲のガードがゆるかったという状況に加え、信頼関係もあったと思います。物心がついた時からカメラに囲まれ、一挙手一投足を撮られる環境を負担や不快に感じた時期もあったはずです。それでも、節度ある取材を心掛ければ、取材者を信頼し、温かく気さくに接してくださいます。

 登山の取材でも気取らない人柄が伝わってきます。新陛下の方から取材者の調子を気遣う声をかけられる。日ごろから運動し、健脚な新陛下はさくさく登られる。取材陣は遅れないよう必死です。もちろん自分の荷物は自分で持たれます。山小屋では持参したウイスキーかブランデーを紅茶に混ぜ、同行してくれるガイドや護衛たちにふるまわれたこともあります。

 山の地図やガイドブックを調べて登山ルートを吟味し、登山計画を立てるのがお好きだそうです。普段の地方訪問の日程は、訪問先の都道府県と宮内庁が調整して決めるので、登山ルートに考えを巡らす過程には、私が考える以上の楽しみがあるのだと思います。

 即位され、今まで以上に立場上の制約があると思いますが、登山を含め、これまで続けてきた研究活動もできる環境であってほしい。研究熱心な姿勢は父である前の天皇陛下そっくりです。新陛下は国連など国際的な舞台で何度も水問題の研究成果を発表していますが、皇族のこうした活動は一昔前は当たり前ではありませんでした。将来の天皇が海外で講演することに驚きながら取材をしてきました。

 即位されても優しくて気さくな人柄は変わらないと思います。新たな一面の発見や驚きに触れることも期待しつつ、新陛下を撮り続けます。
参照元:新天皇陛下、気取らず温かく 英のパブで友とビール
毎日新聞2019年5月1日 00時05分

【解説】 学問と家族を大切に、新時代を担う新天皇
2019年04月30日 BBC NEWS JAPAN

日本では4月30日夕、皇居での退位礼正殿の儀を終え、天皇陛下が退位した。5月1日午前0時をもって皇太子徳仁親王(59)が新天皇に即位し、元号が令和に変わる。

新天皇は、これまでの伝統にのっとった天皇とはさまざまな面で異なったアプローチをするとみられている。

徳仁親王は皇太子時代、家族や学業を優先することで、常に周囲の期待に挑戦してきた。

皇太子さまが天皇という立場を、新時代の要請に合わせてどう変えていくのか注目されているが、実際には歴代天皇の伝統の上に、自分なりの天皇としてのあり方を築いていく必要があるかもしれない。

学問に注力

新天皇は、以前とは大きく異なる日本と日本の皇室を代表することになる。

天皇陛下と異なり、徳仁親王は若いころ、自分自身の夢や学問を追求する機会があった。

学習院大学文学部史学科を卒業した後には、1983~1985年に英オックスフォード大学のマートン・コレッジへ留学した。

オックスフォード大学ではテムズ川の水運史を学び、その後、学習院で博士課程の研究を続けた。

オックスフォードでの生活は、徳仁親王に大きな影響を与えた。1993年に発行された回顧録「テムズとともに 英国の二年間」では、この時代を人生で「もっとも幸福な時間」だったと振り返っている。

1991年に皇太子となり、皇族としての責務が重くなった後も、徳仁親王は学問と世界の水運問題への情熱を絶やさなかった。2007~2015年には、国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁を務めている。

家族への献身

徳仁親王は30歳まで家族と同居していた。それまでの皇室では、未来の天皇は侍従によって育てられるのが伝統だったが、当時皇太子ご夫妻だったご両親の強い意向で、ご両親に育てられた。

かつては皇位継承者の教育において、皇族としての立場を自覚し、自分よりも国民を優先する姿勢を身につけることが重視されたが、徳仁親王が生まれた時代には、家族との生活も同様に大事だと考えられるようになっていた。

徳仁親王にとっての家族の重要性は、後に皇太子妃雅子さまがストレスによる「適応障害」に苦しんだ時にも表面化した。

元外交官の雅子さまは、皇室での生活や、男子の後継者を生まなくてはいけないという圧力から、2004年に適応障害と診断された。

そのため、徳仁親王は一人娘の愛子さまの子育てで積極的な役割を担い、公務を怠っているという批判から雅子さまを守り、強力に擁護した。

娘の愛子さまも、天皇継承をめぐる議論の的になっている。1947年に制定された皇室典範では、男子だけが天皇の位を継ぐことができる。

2004年、小泉純一郎首相(当時)は、この法律を改正して女性天皇を認め、愛子さまが未来の天皇になる可能性を作り出そうとした。

この計画は2006年、愛子さまのいとこに当たる悠仁さまが生まれたことで中断され、男性後継者がいないという危険は回避された。

令和を迎えて

5月1日をもって徳仁親王は新天皇となり、日本は令和の時代を迎える。

令和は「うつくしい調和」を意味し、古代の歌集「万葉集」から引用された。

中国の漢詩などから元号の名前を取る1300年来の伝統も、ここで終わりを告げた。

世論調査によると、日本人の7割以上が令和という新元号を気に入っており、新天皇に対しても好意的だ。

こうした高評価がある一方、変化の激しい日本において新天皇が持つ役割については疑問点が残る。

天皇の任務は象徴的なものがほとんどで、各地をめぐっての国民とのふれあいや、他国の元首や政府高官との会談が主だ。

しかし、第2次世界大戦後に生まれた最初の天皇は、それ以上の変化を期待されているかもしれない。

日本経済新聞は社説で、世界が移り変わる中、この新しい時代に新天皇がどのようにご自身の立場と責任を捉えるのか注視していると述べた。

娘が天皇になれないと定める法律には、特に関心があるだろう。

新天皇が法改正を望むのかどうかに注目がある待っているが、これまでのところ、徳仁親王はこの話題を避けている。

学問びいきの皇太子はその代わり、まずは歴代天皇に学び、公務を続けたいと述べている。

(英語記事 The prince taking Japan into a new era)
参照元:【解説】 学問と家族を大切に、新時代を担う新天皇
2019年04月30日 BBC NEWS JAPAN




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