外信記者懇談会で発言
韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官(写真)は3日、北朝鮮の人権問題について「北朝鮮と非核化を交渉するテーブルで、人権問題は優先順位(priority)のあるものではない」と語った。対話の局面では北朝鮮の癇に障りかねない問題は取り上げたくない、という趣旨だと受け止められる発言で、論争になることが予想される。
康長官は3日、ソウルのプレスセンターで開かれた外信記者懇談会にて、「韓国は北朝鮮の人権問題に消極的」という指摘に対してこのように答えた。康長官は「非核化平和システムを作っていく過程で北朝鮮が国際社会と交流を拡大すれば、北朝鮮の人権状況は好転し、いずれはこの問題をもう少し本格的に議論できるだろう」と発言した。なお、康長官は「北朝鮮の人権問題をめぐる国際社会の努力に、韓国政府は積極的に参加してきており、北朝鮮が国連の各人権機関と積極的に対話するよう引き続きメッセージを送っている」とも主張した。
韓国内外の専門家や人権運動家らは「文在寅(ムン・ジェイン)政権は北朝鮮の人権問題から目を背けている」と指摘してきた。北朝鮮人権財団は、2016年に関連法(北朝鮮人権法)が制定された後も理事グループを立ち上げることができず、昨年には財団のオフィスが閉鎖された。
さらに「北朝鮮には非核化の意思がない」という指摘に対して、康長官は「そうではない」とし、「金正恩(キム・ジョンウン)委員長はハノイを訪れた際、確固たる措置を準備してきたが、米国の立場からは十分ではなかった」と主張した。当時北朝鮮は、数ある核施設のうち寧辺1カ所についての部分的な非核化と、2016年以降に採択された全ての安保理制裁の解除を取引しようとした。ワシントンの外交消息筋は「米国はこれを契機に、北朝鮮の非核化の意思を本格的に疑うようになったが、康長官の認識はこれと大きな隔たりがある」と指摘した。