知らないと損をする!実況見分調書と供述調書作成の際の注意点
交通事故に遭ったとき、警察官を呼ぶとその事故が人身事故の場合には事故現場で実況見分調書が作成されますが、実況見分調書…
交通事故被害に遭った!どうすれば現場検証(実況見分)で、警察官に言い負かされずに、自分の主張を正しく伝えることができるのでしょうか?
まず事故後の流れを簡単にご説明します。事故発生後、「いつ」現場検証が行われるのか?から解説していきます。
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よくある軽い事故の場合は、交通事故現場で警察に電話で連絡をして、警察がその場に到着して、即、現場検証(実況見分と言います)となります。
しかし、事故現場にいた被害者が怪我をして即入院してしまったり、大きな事故の場合は、後日調書を作るために呼び出しがあります。
そして所要時間は事故状況によりますが、20分から1時間で終わります。また稀ですが、再検分(1回で終わらず2回に分けて実況見分をする)場合もあります。
しかし、どの場合であっても、当然ですが、被害者は警察と「話さなくては」いけません。
では以下の様な場合はどうなってしまうのでしょうか?
警察官には良い方もおりますが、人間ですので時々横暴な方もいます。
また逆に、警察のほうは普通にしているだけなのに、被害者のほうが動転してしまってうまく話せない場合もあります。
また、自分が怪我をした場合、当然自分の間違いをみとめず、相手がすべて悪いと考えたくなるのは自然な心理です。
その食い違い・スレ違いの時間を埋めるため、交通事故現場で何を語れば良いのかを、法律的立場から、ご説明させていただきます。
こちらが話すのを拒否すらしたい被害者であるにもかかわらず、加害者がこちらの落ち度を強く指摘してきたり、警察官もそれに流されてこちらに強く質問してくるというケースはよくあることです。
など確認をとられることがあり、警察官に対して、不信感を持つことがあります。
また怖いのは警察官だけではありません。稀な例ですが、目撃者探しをして立会いをしてもらった「その目撃者」が嘘の証言をつく場合や、「誤認」することもあります。これには、どんな人もその時間、動転してしまいがちです。ただ、これも嘘ではなく、被害者が知らない真実をかたっていることもありますので、決めつけはよくありません。
重要なことは、調書は基本的には取り直しはダメですので(例外もあります)、その場でしっかりと目撃者・警察官・加害者に対して主張すべきことは主張しましょう
そもそも交通事故の場合は、当事者双方が「自分の方が被害者だ」と認識していることも多いため、双方の主張が真っ向からぶつかることも少なくありません。ではこのような場合は、どう対処するのが正解なのでしょうか。
実況見分調書は、過失割合の認定において最も重要な証拠です。
人身事故の場合は、その場で警察官が現場検証を行い、その内容を実況見分調書に書き起こします。そしてこれが交通事故の公式な記録として残ります。ですから、後から加害者と過失割合を話し合う際にはこの実況見分調書に書いてあることがベースとなります。
そのため、実況見分の際にしっかりとした主張をして記録しておいてもらわないと、あとで裁判になったときにこちらが非常に不利な時間となります。
被害者が口べたであっても、実況見分の際には事実をありのまま正確に警察官に伝えるようにしましょう。
ポイント:はっきりと思い出せないことは適当に答えないということが重要です。
警察官に嘘の供述をすることは絶対にダメですが、はっきりと思い出せないことがある場合は、加害者の圧力に流されて「そうだったかもしれません」などと言ってはいけません。
口べたで気弱な方は、実況見分が相手のペースで進んでしまう可能性があるため、最低限次のことに気をつけましょう。
「〜だったかもしれない」これはNGワードです。あなたは予想で答えているつもりかもしれませんが、実況見分調書には「〜だった」と断定的に記載される恐れがあります。
自分にとって有利となる事実は、必ず実況見分調書に記録してもらいましょう。どうしても双方の言い分が食い違う場合は、それも踏まえて記録してもらうしかありません。くれぐれもあなたの主張だけ抜け落ちることのないよう注意しましょう。
警察官は、現場確認はしますが、損害賠償という民事の部分については一切タッチしません。そのため、警察官に対して、「あっちが悪いですよね?」「過失割合は相手が大きいですよね?」などと同意を求めたところで意味がありません。警察官は、当該事故の当事者が交通違反をしているのかどうか、刑事罰に該当する可能性があるのか。などについてしか興味がありません。
「過失割合」を決めるのも警察の仕事ではなく、保険会社が決めます。
そのため、警察官を味方に付けようとしても全く意味がないのです。
実況見分調書は事実を記録するものですので、とりあえずあなたの主張は必ず記録してもらうようにしましょう。その場で加害者と話し合ってその内容を調書に書いてもらう必要はありません。意見が食い違うのであれば、それも含めて記録をしてもらうしかありません。
その場で議論をしてしまうと、口べたな方の場合は大抵言いくるめられてしまうため、その場は事実のみをしっかりと記録してもらい、後は保険会社の担当者か交通事故に強い弁護士に依頼すれば何ら問題はありません。
よって、交通事故に遭った時、すべきことの一つとして「全ての情報の記録」があります。
もちろん、事故直後に負傷している、加害者側の負傷も確認できる場合は治療が優先されます。ただし、事故の多くは大きな負傷の無い軽微な事故が大半です。
ですので、事故情報の記録が可能な場合がほとんどです。ゆえに、ここは後々の為にも、証拠の確保を推奨致します。
当然、警察への連絡を怠らなければ、警察の方が事故現場の記録は取ってくれます。しかし、これだけでは後で争いになった時に有利に事を運べません。加害者と被害者が後で争うことなど良くあることですから、念の為に事故の記録は自分でも付けておくに越したことは無いのです。
あなたに有利な証拠を記録し、持っておけばおくほどあなたに有利に働きます。車対車の事故の場合は、100%被害者になるのも難しいです。過失割合の決定に有利な証拠は集めて置く方が懸命です。人対車で、100%被害者の時も同じです。賠償額が変わってきます。
とにかく加害者は自身に有利になるよう嘘をつく場合もあると言うことです。ゆえに、事故情報の記録は必須と言えるのです。
交通事故に遭い警察への連絡を済まし届け出を行うと、警察が現場に出動し実況見分調書の作成を行います。簡単に言うと、事故の状況を調査して記録を取ることです。車の位置関係、信号、交差点の状況…と言った様々な情報を収集し、事故当時の状況を再現しつつ、記録を取っていきます。この時に加害者や被害者の話しも聞きつつ行います。
ゆえに、被害者であるあなた自身も思っていることや感じたことを、出来る限り正確に警察の方に伝えるようにしましょう。また、警察官はプロの方ですので嘘は通用しないことは頭に入れておきましょう。被害者側が嘘をつくことは考えにくいですが、加害者側は嘘を突く動機は十分です。
ただ、警察の方はブレーキ痕や車の状況などを見れば、事故状況についてはだいたいわかりますので、心配する必要はありません。要は、「もっと、スピード出ていただろ!」「ブレーキ踏んでいないだろ!」と言った互いの不毛な罵り合いは起こらないと言うことです。無駄な行為です。
警察官の質問には、あくまで冷静に事故の状況について、お話されるのが最もベストな判断です。
警察が記録を取ってくれるのならば、「なぜ、自分で事故情報の記録を取る必要があるのか?」と言うと、それは主張の相違が起こるからです。警察の方は事故の情報を取ってくれますが、被害の過失割合などについては、基本的に口出しはしません。過失割合などの事後のやり取りは保険会社が行うのです。
保険会社間のやりとりで完了すれば問題ないのですが、「10:0だ」「9:1だ」と言った過失割合について、双方の主張がぶつかり合うことはよくあります。被害者は100%被害者であると思っていますし、加害者は少しでも過失割合を減らしたいと思っています。主張に相違があって当然です。
ここで大切になってくるのが証拠なのですよ。警察の方の記録とは別に自身でも記録をとっておくことで、この戦いを有利に運べるのです。
今回の事故の件も含めてですが、有事の際に記録を取るのは定石です。人間の記憶と言うのは曖昧であり、証拠能力としてはあまり高くありません。つまり、裁判にでもなった時に、「○○だとはっきり記憶しています」と言ったところで証拠としての価値は大変低いと言うことです。
しかし、記録は違います。「○○だと書いている」ならば証拠としては高く評価されるのです。結果、記録があった方がそれだけ有利に働くのです。ゆえに、有事の際の記録は定石とされているのです。相手の言動や事故の記録、また時刻なども正確に記録しておきましょう。
最後に収集すべき証拠類について触れたいと思います。もちろん、事細かに記録を取ることも必要ですが、今はスマートフォンの時代です。写真でも動画でも、映像として記録するのは簡単です。これを利用しない手はありませんね。事故現場を可能な限り写真や動画に収めておくと良いでしょう。
近くから、中距離から、上からと様々な角度からの写真を記録するのがコツです。また、取るべきスポットとしては、車のボディ、特に破損部分は取っておきましょう。他にも、路面のタイヤ痕、ガードレールなどの損傷、また事故当時に身に着けていた物も撮っておくと後々役に立ちます。
なお、被害者の方の負傷がひどくすぐには証拠の記録ができない場合も考えられます。その時は、後からでも良いので、証拠の記録のために現場に向かわれることを推奨致します。もちろん、親族や身内の人間が記録に向かっても構いません。事故現場は時間の経過と共に証拠が失われますので、早めの記録が求められます。
被害者が動けない場合も、出来る限り早めに現場に向かい証拠の収集に動かれることが、後々のトラブルを避けるためには肝要なのです。
現場に駆けつけた警察官から「人身事故にすると被害者であるあなたも刑事処分を受けるから、物損事故扱いにした方がいいですよ」と言われるケースがあります。これは非常に多いパターンで、実際にこれによって物損事故扱いにしてしまう方が多くいます。
結論からいうと、これは真実ではありません。そもそも刑事処分を受けるかどうかは警察ではなく検察が判断することです。ですから、人身事故の届出をすると被害者が処分されるということではないのです。あなた自身に落ち度がなく、かつ、怪我をしているのであれば、ここはきっぱりと人身事故として処理をしてもらいましょう。
警察官は、人身事故として扱うと、実況見分調書を作らなければならず仕事が増えるため、あまり人身事故の受付に前向きではありませんが、被害者としては人身事故として届出をしておかないと、実況見分調書が作られないため、過失割合の認定に手間取ることになってしまいます。
ですから、怪我をしているのであれば、そこは断固、人身事故として処理してもらうようお願いしましょう。
加害者側の保険会社から「物損事故で処理しても、治療費は支払いますから大丈夫ですよ」と言われるケースがあります。
結論をいうと、これは事実です。ただし、あくまで記録は物損事故ですから、あなたの怪我が軽微なものであればよいのですが、むち打ち症など今後通院の必要性が出てきそうな怪我の場合は、安易に物損事故として処理されると、あとあと厄介になります。そのため、怪我をしている場合は極力人身事故にしてもらいましょう。
軽い交通事故の場合や、加害者が急いでいるような場合に、加害者がその場で被害者に対して口止め料などの金品を渡す場合があります。
これらの金品を受け取ったからといってそれで当然に示談成立となるわけではありませんが、少なくとも示談が終わるまではこのような根拠が不明確な金品は加害者から受領しない方が良いでしょう。なお、その場で示談などを提示してきても絶対に応じてはいけません。
たとえチラシの裏面に書いた示談書でも、あなたはその内容に拘束される事になりますので、絶対に注意しましょう。
なお、万が一これらの金品を受け取ったとしても、必ず警察に連絡して現場確認を行ってもらいましょう。ただ、金品を受け取った場合は、その後の示談交渉において、その金品分相当額を慰謝料などの賠償金から控除される可能性が高いでしょう。
気が弱い人や、口べたな人は、事故現場に置いて不利な状況に立たされる可能性があります。ただ、事故現場では無理に相手と議論をする必要はありません。大切なことは事実を正確に記録してもらうことです。
たとえ加害者と主張が食い違ったとしても、あなたが事実だと認識していることについては必ず記録してもらい、絶対に折れたりしないよう注意しましょう。