先日、本紙の熱烈読者である小林広報から、こんな質問を受けた。
「ずいぶん前だと思うんですが、岩瀬さんが四球に関する3つの戒めを守っているって記事を読んだんですが、あれって何でしたっけ?」。すぐに過去記事を検索したところ、その記事は2010年7月に掲載されていた。「先頭への四球は当たり前」だから、厳密には2つだった。いわく「連続の四球」と「塁を進める四球」であった。
この日、先発の又吉が与えた4四球は、すべて「岩瀬の戒め」に引っ掛かっていた。1回の上田(無死一塁から塁を進める四球)、青木(連続&塁を進める四球)、6回の雄平(先頭への四球)、西浦(塁を進める四球)。そして、4人のうち3人は生還を許している。
「無駄だよね。いいところに投げようとしすぎだから。自分の持ち味が何なのかを忘れちゃっている。打たれればいいのに。打たれる前から打たれたようなピッチングになっちゃった」
又吉には岩瀬さんほどの制球力はない。だけどレジェンドはこう答えた。なぜ四隅にこだわる。アバウトでもいい。大胆に。そして力強く。それが又吉の投球じゃないのか…。
「せっかくの先発チャンスなんだから、思い切っていけばいいのに。又吉はそうやって抑える投手だし、それができると僕は思う。だからもったいなかったよね」
四球にまつわる記事を書くときにはいつもそうだが、本物の制球難はプロの1軍にはいない(と信じている)。雰囲気にのみ込まれているか、それともこの日の又吉のように慎重になりすぎているか。そして多くの投手は四球の後でストライクを欲しがり、痛打を浴びる。
9回2死から完封こそ逃れたが、小川からついに四球を選ぶことはできなかった。中日打線が無四球に終わったのはこれで2戦2敗。中日の投手が無四球でつないだのは1戦1勝。「岩瀬の戒め」は永遠にして不変の理なのだ。