@chablis777  
シャブリ

---------------------------

----N----030----------------
----a-----------------------------
----t-----------------------
----u-Z-o-r-a--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------


(なつ)お兄ちゃん!
お兄ちゃん…。
(咲太郎)なつかよ…!
なつ!
えっ お兄ちゃん…。
なつ!
お兄ちゃん…。
一緒に 新宿に行かない?
みんな お兄ちゃんのこと 心配してるよ。
うん… 明日行くよ。
必ず行くって 川村屋のマダムにそう言っといてくれないか。
(戸の開閉音)
(松井)誰? あっ 何だ 咲坊か…。
松井さん! どこ行ってたんですか!?
おう あいつは?
いや 島貫さん カンカンに怒ってもうやめるっていなくなっちゃいましたよ。
そうか。 それは清々した。
また 博打ですか?
それが ツキまくってよ ハハ。
そういう時は ツキを放したくねえだろ。
勝ったんですか?勝ちまくった。
よ~し 咲坊 今夜は2人で パ~ッと…。
お願いします。そのお金を貸して下さい。
は?お願いします!
いくら?
10万。10万!?
あ… 1万でもいいんです。下がり過ぎだろ。
その間 いくらでも! お願いします!
お願いします!
しょうがねえな… 分かったよ。
これが 博打の戦利品なんだ。
質屋に持ってけば ひょっとしたら10万くらいになるかもしれねえぞ ああ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
翌日 咲太郎は 夜になっても川村屋に現れませんでした。
(光子)もう来ないわよ きっと。
どしたんだろう…。
もう お部屋に戻ったら?
(富士子)佐々岡さんが見に行ってくれてるので…。
(光子)それも 随分かかってるわね。
(野上)あっ 戻られました。
一人? どだったの?
(信哉)咲太郎が 警察に捕まった。
えっ! どういうこと!?
今日の昼前に質屋に 時計を持っていったらそれが 盗品として手配されていたものだったらしくそのまま 取り押さえられて…。
うそだ…。
♪~
なつたちは 翌日とにかく 浅草に向かいました。
咲ちゃんは やってないわよ 泥棒なんて。
えっ 本当ですか!
その時計は 3日前の晩に盗まれたっていうんでしょ?
その晩は 咲ちゃん 私と一緒にいたものず~っと朝まで。えっ?
それ 警察に話してくれたんですか?
話したわよ。でも ダメよ。 警察なんてね捕まえたもんを絶対に シロにはしないの。
そんで あんたは平気なのかい?恋人なんだよね?
そんなんじゃないわよ。咲ちゃんは好きだけどね。妹がいることも知らなかった。
よかったわね 会えて。
咲ちゃんは 本当にいいやつよ。
出てきたら言ってよ。また いつでも 遊びにおいでって。 ね。
じゃあ 出番だから。
(富士子)どうも ありがとうございました。
♪~
大丈夫さ。 やってないなら 必ず分かるさ。
でも… やってないならどして 質屋行ったのさ?
♪~
お帰りなさい。あちらで お二人をお待ちしております。
あっ 茂木社長。
先日は いろいろとお世話になりました。(茂木)いやいや。
どうぞ お掛けになって。
この方は 藤田正士さん。
人呼んで 藤正親分。
親分?ああ。
戦後のムーランルージュはその焼け跡を管理していたこの藤正親分が再建したんだ。ムーランがなくなるまで支配人もされていた。いわば 咲太郎君の親分ってわけだ。
(藤田)なつさんか。はい…。
北海道から よく来なすった。
兄が お世話んなりました。
私は なつの母親です。
あんたも偉い。いいえ…。
咲太郎は 戦後のマーケットでうろうろしてるところを助けたんだ。
それは ありがとうございました。
助けたのは俺じゃねえ。
戦前から ムーランで踊ってた岸川亜矢美っていう踊り子だ。亜矢美が あの子を俺のところへ連れてきた。亜矢美は 母親のように咲太郎をかわいがってた。だから 咲太郎にとってムーランルージュは母親のいる場所宝のような場所だと思っていただろう。
あいつは ムーランルージュが潰れた時それを 必死に買い戻そうとしたんだ。
兄がですか?
要するに だまされたのよ。
イカサマ興行師の口車に乗せられて10万円用意すれば 共同経営者として買い戻せると思い込み金貸しから借りたのよ。
それを そのイカサマ野郎に持ち逃げされたんだ。
10万もですか!?ああ。
金貸しも 10万もの金まだ ガキだったあいつにただ貸すわけがねえ。誰かが あいつの保証人になったんだ。だから 咲太郎はその10万円を作るまでは新宿に戻らねえ。そう言って 姿を消したんだ。
どこの誰なんですかね。
しかし まあ その保証人もよほどのお人よしか バカですな。ハハハ…。
マダム!?
えっ?
まさか…。マダムが!?
あ… 親分咲太郎は だまされたって 本当ですか?
咲ちゃんは私を だましたわけじゃないのね?
そりゃ違う。はあ~ おかしいと思ったわ。
たかだか 10万円で劇場を買い戻せるわけがないもの。
いや それを信じたの?マダムともあろう人が?
だって…私は 咲ちゃんの夢を買ったのよ。
だからね なつさん 私のせいなのよ。
きっと お兄さん私に 借金を返さなくちゃと思って…。
そうしないと 妹のあなたに請求されると思ったのかもしれないわね。
(佐知子)あっ いらっしゃいませ。
なっちゃん…。
信さん どしたの?
あっ… どうぞ。
すいません。
警察で 少し話が聞けたよ。えっ?
あいつは 泥棒はしていないと言ってるらしいけどじゃあ 誰からもらった時計なのかと聞かれれば それを言わないそうなんだ。多分 誰かを かばってるんだと思う。
お兄ちゃんは どうなるの?
分からない。
それで… 警察からあいつの手紙を預かってきたんだ。
「なつへ。また なつに会える日が来るなんて本当に信じられない。幸せに暮らしていると知って安心したよ。東京まで 兄ちゃんを捜しに来てくれてありがとう。でも なつ すまない…。お前は もうこんな兄ちゃんのことは忘れてくれ…。忘れて 北海道で幸せになれ。兄ちゃんも… お前を忘れる」。
♪~
「ごめんな」。
♪~
♪~
(照男)何だよ じいちゃんおっかない顔して。
(泰樹)お前…なつと結婚しろ。
えっ?なつと結婚するんだ。そしたら なつは正真正銘の柴田家の家族になる。
一生 この家にいることになるんだ。お前が そうしろ。
ああ なつよ 君のいない十勝でも何かが変わっていくようだけど…。
来週に続けよ。


about 4 hours ago via Twishort Web App