HOME > 音叉センサについて
  
 
金属音叉は時計や楽器の音の基準になっていることからも、その振動数はきわめて安定しており、
正確です。
この振動特性をさらに引き出しやすくするため、二つの音叉を上下に組み合わせたものが、金属音叉
振動子です。
音叉振動子は測定機構に取り付けるときの障害を避けるため、てこや支点機構をモノブロック構造に
し、はかり機構部に組み込まれています。
電源を入れると、音叉振動子に取り付けられた圧電素子に電圧を加え、あらかじめ音叉振動子を一定
の周波数で振動させておきます。
計量皿に荷重Wが加わると、伝達機構を伝わって音叉振動子をひっぱり、周波数が変化します。
その変化は圧電素子によって読みとられ、CPUで処理して、重量信号に変換されます。
音叉式センサは、細長い振動子に荷重が加わると振動周波数が変化するという
原理を利用しています。小さな荷重でも大きく振動周波数が変化しますので、
この時の力または重量を測定します。
また、この方式はデジタル出力で処理されますので、A/D変換器を必要とせず
原理的な誤差要因が少ないため高精度が得られます。
新光電子はこの音叉式センサをはかりに採用し、1983年世界初の音叉式電子
はかりを発表しました。
その後も独自性ある高精度音叉式はかりを開発しています。 本質安全防爆構造
の型式認証や、新計量法での国内初の型式認証を取得。またヨーロッパCE
マーキングの認証を受けるなど、音叉式センサの性能は世界的にも高い評価を
得ています。
        
音叉式 ロードセル式 フォースバランス式
長期安定性
(年単位のスパン変化例)
優れている(1/20万) 低い(1/1万) 普通(1/5万)
A/D変換
(アナログ/デジタル)
不要(デジタル出力) 要(アナログ出力) 要(アナログ出力)
センサの消費電力 極小
(ロードセルの数十分の1)
耐ノイズ性 強い 弱い 普通
ウォーミングアップ 不要
国立天文台は2000年、ハワイ島マウナケア山頂に世界最大の光学式赤外線望遠鏡「すばる」を完成
させました。
400億円の巨額を投じて建設されたこの天体望遠鏡には、当社の音叉式センサが採用されています。
「すばる」の反射鏡は、口径8.3m、厚さ20cmの超低膨張ガラスで作られていますが、自重が23トンも
あるため鏡面が歪んで焦点が合わなくなります。この歪みをなくすには、直径100km(関東平野に
相当する広さ)の表面を±2mmの歪みに抑えるほどの超高精度が求められます。
このため、鏡面をコントロールする261本の主鏡能動支持機構には、きわめて高精度で長期安定性に
優れた力センサが必要になりました。そこで数あるセンサの中から、当社の音叉式センサが採用され
たのです。
音叉式センサの開発から二十年余りを経て、その技術的価値と社会的貢献が評価され、重量センサ
としての音叉振動式荷重変換機構が第27回発明大賞の栄冠に輝きました。