@chablis777  
シャブリ

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♪~
(咲太郎)師匠! 今日のステージはどうするんですか! 師匠!
(島貫)お前 出てこい。そんなの ここの客に通用するわけないじゃないですか!
いいから やってこい! 行け!
ええ~…。
♪~
なつよ… 覚悟はいいか?
いよいよ…。
(歓声)
なつよ…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(歓声)
お疲れさまです。 お疲れさまです。
お疲れさまです。
(マリー)咲ちゃん 出るの?
しかたないんだよ。ハハッ… 頑張ってね。
今夜も待ってる。
無事 生きてたらね…。
ああ 星がきれいな夜だ。
俺は この街で生きている 老けた浮浪児。
♪「雨の日も風の日も命のないように生きているのだ」
♪「街の人はいい人も 悪い奴も私は知ってる でも…」
♪~
♪「私は愛している この街角を」
♪「私は好きなのだ この街角が」
♪「私は見て来たのだ この目で」
♪~
もういい 引っ込め!早く女の子出せ!
うるせえ バカヤロー!
女の子だってな そうそう踊れるか!少しは休ませろ!
お前が休め!そうだ そうだ!
この野郎…だったら てめえが上がってこい!
(なつ)お兄ちゃん!
♪~
お兄ちゃんだ…。
間違いない。
誰だ?
(富士子)なつ!(信哉)なっちゃん!
お兄ちゃん…。
なつ…?
なつです。
なつ…!
お前 なつか!?
なつだよ。
私 なつだよ。
なつ… なつかよ…!
なつ!
えっ お兄ちゃん…。
なつ!
♪~
(拍手)よっ! いいぞ 兄ちゃん!
バカヤロー!この子は見せもんじゃねえ!
♪~(拍手)
♪~
お兄ちゃん…。
♪~
私は ずっと幸せだった。
本当か?
本当だよ。 これ以上ないくらい。
ありがとうございました!
いいのさ。
なつが 家族になってくれて私たちも幸せだから。
ありがとうございます。
けどね なつはねあんたや 妹さんのことを忘れたことは一度もないのさ。あんたも そでしょう?いつか 2人を新宿に呼ぼうとしてたでしょ?
えっ?角筈屋書店の茂木社長から聞いたんだ。
新宿に泊まってるのか?
ええ。川村屋さんには すっかりお世話になって。
川村屋さんが 部屋を貸してくれたの。
えっ!
マダムは 何か言ってたか?
うん 言ってたよ。
お兄ちゃんは新宿のムーランルージュを愛しててそこのみんなからも 愛されてたって。
それだけか?
ほかに 何かあんの?
あ… いや…。
ほかに 何があんの?
ほかにあるなんて 誰が言ったよ。言ってないけど 言ってるみたい。
言ってないよ。 いつ言った?何言ってんの?
咲太郎 どうした?いや どうもしないよ。
えっ?お待たせいたしました。
あ! 来た 来た!
おい なつ。ん?
ここの天丼は おいしいんだぞ。天丼 好きだったろ?
私が?何だ 覚えてないのか?
おやじが よく作ってくれたんだよ天丼を。
いつか その天丼を腹いっぱい食いたいってあのころの俺は そればっかり考えてたな。
さあ 食え 食え!
頂きます。
頂きます。頂きます。
うん!
どうだ?うん おいしい。
だろ?
だけどな おやじの天丼はこんなもんじゃ なかったんだよ。
そなんだ。おやじは 日本一の料理人だったからな。
あ… 食べて下さい。 おいしいですよ。
そんで… これから どうするの?
あんたは どうしたいの? なつを…。
俺は…。
なつは どうしたいんだ?
私は お兄ちゃんに会えたから今度は 千遥に会いたい!
千遥か…。どこにいるの?
それが 分からないんだよ。
おじさんの家 いつの間にか千葉から引っ越したらしくて。
えっ…。じゃあ その後の消息は分かんないのか?
だけど 心配ないよ。
千遥も 今は きっと幸せに暮らしてるよ。
どうして分かんのさ?
昔 手紙を書いたことがあるんだ。
なつの居場所を知らせようと思って。
そしたら おばさんから返事が来てな千遥は 今 すっかりこの家に懐いてるから変に手紙を書いたり会いに来たりしないでくれって…。
里心がつくと いけないからな。
そうなんだ。
ああ。
千遥は 今頃 俺たちのことをすっかり忘れてるかもしれないな。
そんでも 捜したい。
分かったよ。
それは 俺に任せろ。
うん。
お兄ちゃんは どこに住んでいるの?
今は宿無しだ。
全国の劇場を飛び回ってるからな。
これから 一緒に 新宿に行かない?
みんな お兄ちゃんのこと 心配してるよ。
うん… 明日行くよ。
明日の昼 必ず行くって川村屋のマダムにそう言っといてくれないか。
俺が 必ず お礼に行くからって。
分かった。 明日 待ってる。
ああ。
あ~ 食おう! なっ 冷めちゃう。
頂きます。
うん!
うまいだろ。
咲太郎は少し無理して笑っていたようです。
本当は もっと心の底から笑いたかったのにな… 咲太郎。
なつは やっと 兄の咲太郎に会えました。
だけど 何となく嫌な予感もしてくるのでした。
私もです。


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