令和初完封こそ逃れたが、菅野に通算1000奪三振で花を添えられた。次回以降の攻略につながる糸口があるとすれば、ビシエドだと思う。
「攻撃的でコントロールもいい。ミスピッチがないから、積極的にいくしかないんだ。考えていて打てる投手ではないと思う」。9回無死一、三塁から、低めのフォークを中前に転がし、チームに令和初得点をもたらした。2回にも左前打を放っており、今季も菅野とは互角以上の戦いを期待できそうだ。
菅野の奪三振をカード別に見ると、中日はセ・リーグ最少の151。三振の数を競っているわけではないにせよ、通算4三振のビシエドは主力級の中でもかなり少ない。なおかつ昨季は4割3分8厘、通算でも27打数10安打(3割7分)は菅野キラーといっていい。
「タンケ(ビシエドの愛称)がコーチならどう攻略する?」。僕の質問に、両手を挙げ困った表情で答えた。
「僕への投球と他の選手は違うだろうから、どうしていいかはわからないよ。きょう、僕が三振を取られた球も素晴らしかった。あれは打てない。一つ言えるのは、菅野に2ストライクを取られたら、ノーチャンスなんだ」
7回に奪われた菅野にとって999個目の三振の決め球は、151キロのフォーシームだった。昨季のセ・リーグで規定投球回に達した8人のうち、2ストライク後の被打率が最も良かったのが菅野だった。何と、1割3分2厘。首位打者のビシエドをして「ノーチャンス」と言わしめる強さはここにある。
つまり、三振を取らせないことも攻略法の一つではある。球種が多彩。制球力も抜群で四球は期待できないから、待球したところで早期降板が望めるわけでもない。ならば球種ではなくゾーンで絞り、振っていく。このタンケ流が最短ルートなのかもしれない。