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(野上)インド風バターカリーでございます。
(なつ)バターカレー?
バターカリーです。川村屋の名物でございます。
ふ~ん バターが…。
頂きます。(富士子)まだよ。えっ?
これから カレーをかけてくれるんでしょ。
ああ…。いえ。 ご自分で お好きなだけこちらのカリーを ライスと一緒にお召し上がり下さいませ。
あっ 自分でかけるんですか?お好きなように。
へえ 自分で…。手抜きじゃございませんよ。
フフッ。
よばれましょう。うん。
(富士子 なつ)頂きます。
おいしい!うん おいしい…。バターは あんまり感じないわね。
溶けて 風味だけになってんのさ。うん。
うん うちでも入れてみようか?
入れてみよう! こういう味になるかも。
それは どうなんでしょう…。
ご家庭のカレーとは また…。
あっ カリーだもんね!
カリーって何ですか?
発音でございます。
でも バターは きっと うちの方が勝つね。そりゃ そうよ。
それは どうなんでしょう…。
うちは牧場なんです。バターも手作りすることがあるんですよ。
一度 うちのバターを使ってもらいたいもんですねえ。
(光子)是非 自家製の北海道バターを試してみたいですわね。
あ… すいません 生意気なこと言って。
いいえ。
食べ終わったらお部屋に ご案内しますね。
とても おいしいです。本当に おいしいです。
なら よかったです。カレーを気に入ってもらえて。
マダム。 カリーでございます。
面倒くさい。
フフフ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪「口にする度に泣けるほど憧れて砕かれて」
♪「消えかけた火を胸に抱きたどり着いたコタン」
助かったね 宿代。あと何日いるか 分かんないもんね。
無理させて ごめんね。いいのさ。
あと少しいて手がかりなかったら 帰ろうか。
なして? 帰りたいのかい?
いや そういうわけじゃないけど…無理しても しかたないさ。
気ぃ遣ってるんだね 私に。
牛のことも心配だし。
東京は暑いもねえ。
ああ 気持ちいい風…。
夕見子がね 大学に行きたいんだって。
大学に?そう。
それも 札幌の北大 受けたいんだって。
北大? すごい!
夕見は 頭いいからね昔から 本ばっか読んでるし。
博士になるのかな? ハハハ…。
別に 何になりたいわけじゃなくて自由になりたいんだって。
へえ~… 今でも 十分自由にしてんのにね。
夕見らしいわ。
母さん 寂しいの?
私がいるしょ。
夕見子にね 言われちゃったのよ。
何て?
土地に縛るのは なつだけにしてって。
そんな気ないからね… いいんだよ。
いいって 何が?
もしも… もしもよ いざという時には私のことは 無理に母親だと思わなくていいからね。
おばさんだと思えばいいのよ。
ほら 9年間も一緒に過ごしたおばさんだと思えば逆に 家族と同じだって思えるしょ?
どんなことがあってもなつのことは応援してるしいつでも 味方になってくれる人だとそんなふうに思ってくれたら私は それで…。
えっ? どした?
なつ どしたの?
どして… そんなこと言うの?
したから 東京に連れてきてくれたの?
私を お兄ちゃんに返そうとしたの?
違うわよ!
やだ!
やだよ…私から 母さんを取らないでよ…。
母さんを取らないでや…。
やだよ…。
ごめん…。
そんなつもりで言ったんじゃないんだよ。
ごめん なつ…。
ごめん…。
♪~
(雪之助)はい お待たせしました。(雪次郎)来た!
え~ 新作のかき氷です。(夕見子)う~わ~!
氷ん中に 何 入ってると思う?氷ん中に?
パイナップル!うん。
パイナップルを忍ばせて上に 何かかってると思う?
香り豊かなリンゴのシロップ!ハハハ…。
商品名 何だと思う?
雪月の夏!(拍手)
全部言うのに 何で聞くのさ。
雪の夏って 矛盾してるけどね。
いや そこがいいんだ。
雪の中に パイナップルの月夏の風物詩 雪月の夏!よよっ!
とけるんで 頂きま~す。(雪之助)はいはい どうぞ。
うん パイナップル!
フフフフ…。
俺も 北大受けるかな。
北大? お前の成績と… 矛盾してるな。
じゃ 札幌で お菓子の修業するさ。いや ダメだ。
お前の修業先は東京って決まってんだから。
えっ 東京行くの? 雪次郎。
そうしろって言うんだ。
私が 修業してた店にねまあ 雪次郎にも行ってほしくてね。
えっ おじさんも 東京行ってたの?
うん そう。昭和6年だったかな。
17歳から5年間 東京は新宿川村屋というパン屋で修業してたんだ。
えっ 新宿?(雪之助)うん。
なつと母さんも 今 新宿行ってるよ。
えっ そなの?うん。(妙子)ちょっと忙しいのに いつまで かかってんの。
いや… なっちゃんと富士子さんがな今 東京の新宿にいるってさ。うん。
本当!?うん。何しに行ったの?
そこに なつのお兄さんがいたみたいで。
(とよ)ちょっと 忙しいのに何 油売ってんだい。
なっちゃんが 今 新宿でお兄さんと会ってんだって。
あら 本当かい!会ったわけじゃなくて 捜しに行っただけ。
新宿にいたとしか 分かってないんだわ。
いや~ 新宿か…。
ハハハ… 懐かしいな。
おじさんは新宿のパン屋で修業してたのか。
いや パン屋っていってもねもう そこには いろんなもんあってさインドカリーなんてものもあったわ。
私もね そこで 世界のチョコレートやクリームを作ること覚えたもね ハハハ…。
何より 視野を広げることを覚えたんだわ。
へえ~… すごい。
このクリームパン おいしい!うん おいしいねえ。
うん。
このクリーム雪月のシュークリームに似てない?
言われてみれば…。
じゃ じいちゃんに買ってくと喜ぶね。
雪月のシュークリーム 大好きだもね。
そだね。うん。
♪~
はい じいちゃん。(泰樹)どしたんだ?
帯広に出たから お土産。
雪月のシュークリーム みんなで食べて。
うん じゃあ 頑張ってね!
頑張って。 うん。
(悠吉)あの夕見子ちゃんが…!
(菊介)あんな笑顔を…!
女の子らしいとこ 初めて見たもなあ。
「じゃあ 頑張って」だもなあ! ハハハ…。
(照男)母さんと なつがいなければ気が利くんだな。
へえ…。
もったいなくて食えねえ…。
おやっさん 食べてるし。ハハハ…。
あと2つしかない…。
(野上)いらっしゃいませ。
(信哉)なっちゃん!どうしたの?
今日 浅草の芝居小屋を回って聞いてみたんだ。
ムーランルージュにいた人で浅草に流れた人もいるっていうから。
浅草に行ってくれたの?
そしたら 今 それらしい人がいるって。
えっ…。
本当かい?
まだ 見たわけじゃないけど 咲太郎かも!
♪~
(咲太郎)師匠!起きて下さいよ! どうするんですか?
(島貫)師匠と呼ぶな!
俺は 芸人じゃねえ 役者だ。先生と呼べ。
そんなこと言ってる場合ですか!もうすぐ出番ですよ!
しょうがねえだろ 相方が来ねえんだから。いや しょうがないってそんなこと言っててもしょうがないでしょう!
本当に どうしちゃったんですかね松井さんは…。
どうせ 博打だろう。
俺は もう やだね。あんなやつと 二度とやらねえ!
じゃあ 一人でも やって下さいよ。
役者も やめた!何言ってるんですか!
今日のステージは どうするんですか!師匠!
お前 出てこい。
俺が出て どうするんですか!
お前の好きな森繁久彌のまねでもしてくりゃいいだろ。
そんなの ここの客に通用するわけないじゃないですか!
いいから やってこい! 行け!
ええ~…。
ここの幕あいにコントと呼ばれる芝居をしていてそれの手伝いをしてるらしい。
♪~
なつよ… 覚悟はいいか?
いよいよ…。