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2019.03.21

カーボン塗装技術に15年、はじまりは偶然 アストンからも受注 その軌跡

塗装を定着させる手法

ふたつ目の課題はラッカーをカーボン表面に強固に定着させることだった。通常の金属ならまず下地用塗料を塗る。これは金属表面と化学的に結合して、上に塗る塗料のために強固な基礎を作る。だが、カーボンでは使用することが出来ないため、紙やすりで物理的に表面に凹凸をつける必要がある。十分な下地を作るには比較的粗い目のやすりが必要だが、レジンの層は薄く容易に剥がれてカーボンファイバーまでダメージを受けてしまい、これでは部品が台無しだ。

代替案を思いついたのはキングの友人で、BARホンダF1のメカニックチーフを経てカーボンの造形に携わっていたアレステア・ギブソンだった。「蒸気マッティング」とは微小なガラス粒子を含む水と蒸気の混合物を用いる方法だ。キングは塗装機器の製造メーカーと協力して特別な混合物を開発し、設備に多額の投資を行った。

「それでも、技術の確立には至っていませんでした」とキングはいう。「大きな部品では損傷させるリスクが残っていたのです」高圧ジェットは局所的であり、使用する混合物は正しくとも方法に問題が あると考えた。「じれったい気持ちでした」彼は続ける。

「カーボンファイバーの仕上げを研究してすでに10年が過ぎていました。そしてふたつ目のひらめきが降ってきたのです」必要なのは従来の小さなノズルのコントロール性を備えた、より大きな放出ノズルなのではないか。キングは再び製造メーカーと特注の機械を完成させ、ついに問題を解決した。

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