今回の事件は簡単に言うと、「建物を破壊した」という一言に尽きる。もう少し詳しく言うと、「何の予告もなくショベルカーで建物を解体しようとしている所を見つかってしまった。」ということである。で、やめさせるために持ち主は警察に連絡。その間に、地主がやって来て「この建物は私のものだ。持ち主から返してもらった。」と言い張り建物の持ち主と言い争いに、仲介屋はシラッとして「後日」と言って名刺を渡して帰っていった。解体屋を手配したのは買い主。

これって、一体どのように解決すべきか。


日本司法支援センターによると、
【 民事訴訟】は、人と人、会社と人などの私人の間の紛争を解決するための手続です。
【刑事訴訟】は、起訴された被告人が犯罪行為を行ったのかどうか、刑罰を科すべきかどうか等について、判断するための手続です。

これ又、一言で言うと、民事はお金で解決、刑事は刑罰を科して解決。

民事だけで済めば前科はつかない、お金だけの問題である。その上、日本では高額賠償制度はないので、民事ではそれほどの金額は請求されない。


警察も初めは呆れて、被害届を受けて正式に捜査をして告訴状はこちらで書くを言ってくれた。それでも少しずつ警察の態度が変わって民事でやれと言い出し、告訴のコの字もない始末。

2回目、3回目の建物破壊は地主から土地を買い上げた日新プランニングが、警察の民事不介入をいいことに建物がまだあるにもかかわらず、早々と金融機関から融資を受けて建築事務所に設計を頼んでいた。新手の地上げである。

後日、こちらは事実確認のために、買い主は話し合いのために会うが、こちらの希望が「謝罪、壊すな、直せ。」だと分かると、居直って「全ては地主が騙した。俺たちは被害者だ。お前たちも加害者だ。」とエスカレート。またしても警察出動。

この様な地上げが許されるはずがない。絶対刑事事件として取り扱ってもらえないと、これからこの手の地上げが横行することになる。告訴状はこちらで用意することにした。よほどのことでない限り、告訴状を被害者側が作って警察に持っていくことは少ない。犯罪性があると認められるときは、警察が告訴状を作る。よほどの専門知識があれば自分で告訴状を作ることができるが、殆どの場合、弁護士に作ってもらい一緒に警察に行ってもらうのである。弁護士に頼むと30万円ぐらいはかかるし、その他の経費もかかる。それでも起訴されるとは限らない。起訴されるような事件の場合は警察が告訴状を作る。そうでないと貧乏人が被害者の場合、犯罪者は罰せられることがなくなる。
警察が民事でということは告訴状を書く気もないし、たとえ告訴状を持ってきても、起訴されることはまずないということである。何しろ日本では起訴されて有罪になる確率は99.98%なのである。少しでも、有罪にならない要素があれば起訴しないのが日本のやり方である。只、集団訴訟の場合は話が違ってくる。


じゃあ、民事ならと思われるが、これ又、経験してみなけれが実感が無いかもしれないが、たとえ勝ったとしても、弁護士費用に半分ぐらいかかったり、もしくは、赤字にさえなる。勝てば訴訟費用は相手の負担となるという判決が出るが、この訴訟費用とは訴訟にかかる印紙代程度のことで、実際にかかった弁護士費用は自己負担となる。民事とはいっても、余程のことがない限り満足の行くような結果にはならない。

事件が起こると、被害者は時間とお金と精神的苦痛のストレスにさらされる。世間の好奇の目にもさらされる。そのうえ警察が力になってくれないとなると普通の人の場合耐えられないだろうと思う。今回の被害者は、GIGAZINEの編集長という特殊性がある。これでだめなら、この新手の地上げは日本国中にその触手を伸ばしていくことであろう。

ヤミ金の場合も、初めは、「借りたものだから・・・」と警察も言っていたし、一家3人の自殺事件が発生して世間の風当たりが強くなるまでは、刑事事件とはして扱われなかった。悲惨な被害者が出てきてからでは遅いのである。