体操の個人総合で争う全日本選手権は28日、男子は谷川翔(20=順大)の2連覇で幕を閉じた。
数々の波乱があった大会は、20年東京五輪を見据えた時に、希望と不安では、不安が先行する大会となった。
84・699点と87・598点。優勝は予選と決勝の合計点で競われたが、前者は28日の決勝に限った谷川翔の6種目合計点で、後者は昨年の世界選手権優勝者ダラロヤン(ロシア)の得点。比較をすると、その差が顕著になる。約3点の差は1種目目平均で約0・5点にもなる。
「キング」内村航平(30=リンガーハット)が予選落ちし、白井健三(22=日体大大学院)も足首痛の影響で万全ではなく、決勝では最下位30位に終わった。リオデジャネイロ五輪で団体金メダルを獲得したメンバーは上位におらず、では世代交代が成功しているのか。水鳥男子強化部長は「彼ら(内村と白井)2人爆発的な力が日本の力になっていた。そういう意味で苦しい全日本だった」と総括した。上位者にも細かなミスが多く、高レベルとは言い難かった。谷川を指導する順大の原田監督も「いまの彼が世界選手権に出てもメダルはない」と冷静に見定めていた。
シーズン序盤で各選手が難度も最高には上げていない事情を差し引いても、日本体操界をけん引してきたリオ組を欠く今秋の世界選手権(10月、ドイツ)となれば、いまのままでは苦戦は必至だ。同本部長が「採点の減点がシビアでミスできないプレッシャーがある中でも、できている。中心的な役割を持っていく」と評価する谷川を筆頭に、個々の向上が求められる。